結果発表
演劇後、ラスティーク達がサロンに戻るとそこではエトワールが堂々と居座っていた。
演目中の事故により最優秀賞を取り逃しただろうと落ち込んでいた4人はエトワールを見て四者四様の反応を示した。
「竜精霊様……!??」
「どうしてここに居るんでしょう?クリュッセル様にお留守番を言われていたのでは?」
「あら、そうだったのね。でもまぁ何も出さないのも良くないから私、紅茶を淹れますわね」
「…………なんでかは聞かないようにしておくわ。とりあえずその手の本を置いてくれるかしら?」
「……おや、お疲れ様、契約者。分かったよ」
エトワールが爽やかに微笑み、手元の本を1度本棚に戻すと魔法で氷の椅子を作り出し、座る。
「私の質問には一切答えないのですね?」
「まさか、全員が座ってから答えるつもりだよ。それに、少し話したいこともあるからね」
その言葉に首を傾げ、話を聞く為に少し片付けを行っていたウィーナも席に着く。4人が席に着いたところでラスティークが切り出した。
「……あの、もしかして先程の演劇の事でしょうか……?」
「うん、そうだね。……でも、私がなんでここに居るかって話からなんだけど、単に興味本位ってところと虫の知らせ……かな」
聞き慣れない言葉にラスティーク達が頭に?を浮かべる。
「あ〜……そうだな。言い換えるなら悪い予感がしたんだよね。ほら、私って一応?それなりの力がある精霊だし?予言の得意な水精霊のある意味親戚なわけだからね?そりゃあ稀にその悪感が当たるんだよね。だからリャイナには悪いけど眠ってもらったんだ。そもそも寝不足だったし」
頬を掻きながらエトワールが言うとラスティーク達は成程と納得し、クリュッセルは後でどうやってあのリャイナを眠らせたのか聞き出そうと思った。
「それでなんだけどさ、演劇の時、照明が落ちてきたでしょ?契約者とそこの平民の子の所に。あれ、気付いてるかもだけど仕組まれてるよ。」
真剣な目付きでエトワールが断言すると4人は少し黙りこみ、頷いた。
「あの方でしょうね」
「まぁ、それ以外の方々の可能性も捨て切れませんが……ほぼ確定ですわね」
「おや、もう目星がついてる感じかな?どうする?
特徴だけでも言って答え合わせでもしておくかい?」
悪戯っぽく笑みを浮かべてエトワールが問いかける。その問いに同じように悪戯っぽく笑いながら『勿論』と答えるとエトワールは特徴を告げると同時に考察と本来の結果を述べた。
「金色のストレートヘアに青い宝石。ドレスの色は白と空色。顔に雀斑あり。ちなみに彼女は魔法を使っていないみたいだから多分、薬品か魔道具だろうね。相当の経済力と知識がないと出来ない芸当だよ。あとは……契約者の真上に落ちてくるようになっていたみたいだし偵察する人手は充分にあるだろうね」
「「「「グレイス(様です)ね」」」」
エトワールの述べた特徴に4人が声を揃える。
そして、1拍置いてラスティークが声を上げた。
「……え?待って下さいませ。先程、契約者の真上にとおっしゃいましたか?」
「うん、そうだよ。流石に人が脆いのは喰ったから知ってるんだ。だからあの時少し魔法を使って落ちる位置をずらしたんだよね。多分そのグレイスとかいう人は契約者に重症を負わせるか殺すかしてトラウマつくらせようって魂胆だったんだろうな。失敗して少し慌てていたみたいだけど」
「えっと、じゃあ私ってエトワールがいなかったら……」
「うん、八割方神のおひざもとかな?」
エトワールの言葉に若干蒼くなりながら問いかけたクリュッセルが本気で心の中で感謝している横でロゼールとウィーナが無意識的に手を繋いで震え合う。ラスティークは自分のせいだと思い手が震えていた。
「ま、大丈夫だよ。前に契約者が君たちにアクセサリーとか渡してたでしょ?あれ、一度だけなら身代わりになれるやつだからさ。安心しなって。壊れたら私のとこに繋がるから。たとえ契約者じゃなくても、その大切な存在なんだから助けるって」
そう言うとエトワールはパッと氷の椅子を壊して変身すると窓から飛び立って行った。
それと同時に扉からノック音がし、結果発表が行われると呼ばれたのだった。
舞台に立つのは代表者のみ。ラスティークが最後に演劇の衣装のままで舞台に上がると全てのライトが消える。
ギュッと目を閉じて祈るラスティークを横目に余裕の表情のグレイスは何て言おうかと考える。
スポットライトが再び付くと最優秀賞と優秀賞が声高々に発表された。
「最優秀賞は……【天羽に問う】!優秀賞は【湖のほとり】!」
舞台裏では歓声が上がる。舞台上では喜ぶ最優秀賞者と逃し、悲しみながらも賞を取れた安堵で微笑むラスティークが花束を受け取っていた。
今回はいつもよりも真面目なあとがきを。
さて、確定毎週金曜投稿はここまでとなります。
何度も何度も言い続けて来ていますが、私生活の変化によるものが1番大きいです。
それでも、私としては執筆時間が少なくなっただけで筆を折る訳では無いと思っているので、投稿されることがありましたら、今までよりもゆっくりではありますが付き合って頂けると幸いに思います。
それでは、またこの作品のあとがきで。




