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断罪の場3

「エレーナ・アナスタシア嬢、今、石から流れた声は確かに貴女と父上であるアナスタシア伯爵の声だったね?」

「…そうでしたでしょうか?」

「このピンク色の宝石に見に覚えがありますよね?貴女に差し上げた髪飾りですよ。本当は貴女にお会いしている間に聞き出したいと思っていたのですが、なかなか尻尾を出さなかった。そこでこれを使わせてもらいました」

「クロフォード様からいただいた髪飾りは今も身に付けておりますわ!!」

「あぁ、元々全く同じものを2つ用意していてね。先日侍女に交換してもらったんだ」

「!!あんた達!私を裏切ったのね!!?」


殿下が手で示した先にいたのは、アメリアとミリーだった。


「私共は()()の命令に従ったまでございます」


アメリアはそう言い、2人そろって殿下に深々とお辞儀をした。


「この一件の筋書きはこうだ。アナスタシア家とルモンド家は国の各地で毒草を国民に飲ませ、それを偽巫女に薬草で治させる、という自作自演で偽の巫女を仕立てあげた。巫女たる実績を作ったわけだ。しかし、それだけでは当然巫女とは認められない。そこで、人々から意識を奪う薬草サキュスを使い、まずは近衛兵を洗脳。彼らにアナスタシア伯爵こそが国王陛下の側近であると信じこませ、指示系統を奪い騎士団を掌握した。ちょうど騎士団長であるバランタイン公爵やその家の者達が、各々の任務や私の外遊の護衛で外している時を狙ったわけだ」


玉座の裏には、ロザリオ様やリューク様のお父上であられる騎士団長・バランタイン公爵様と、お2人のお兄様であられる近衛兵長・リード様が厳しい表情で立っていた。

恐らく、ご自身らの不在時に起こった一件について、腹に据えかねる思いがあるのだろう。


「指揮下においた近衛兵に、国王陛下がお持ちである

事前に用意された署名入りの書面を取ってこさせ、それを国内の貴族に送る。急務の際、内容を書けばすぐに送れるよう、常に書面を準備してらっしゃったのを逆手にとったんだな。そして集まった貴族達にも城でサキュスの香りを嗅がせ、意識を混濁させ、そこにちょうど王太子妃としての勉強に来ていたフェリスティア・アーリア嬢を拉致、彼女を一方的に糾弾するだけの裁判を行い、悪者と信じこませ牢に閉じ込め処刑を謀った」


そこまで語ると、殿下はなおご自分の腕を掴んで離さないでいるエレーナ様を見やった。


「威圧的な雰囲気のもと行われた裁判で、逆に参列した貴族に偽巫女こそが本物だと信じこませた。そして私に事の次第を手紙にして送り、事後報告という形で納得させようとした。私のことも、陛下や近衛兵達のようにサキュスで意識を弱らせ、エレーナ嬢を王太子妃に据える約束を取り付けさせようとしたのだろう。エレーナ嬢?君からは何度か手作りのお菓子や飲み物をもらったけど、そのすべてからサキュスの成分が検出されたよ。調べさせてもらった」


殿下の合図により、エレーナ様は騎士らによって殿下から引き剥がされてしまった。


「そんな、そんなクロフォード様!私のこと美しいって…私を妃候補にしてくださるって!」

「フェリスティアが私を騙しているなんてあり得ない。私は自分の確信とフェリスティアを信じている。この事について、他の誰にも邪魔はさせない」


クロフォード殿下…。

こんな事になっても私を信じてくださった。

今まで堪えていた気持ちが溢れるように涙が溢れた。


「発案がアナスタシア家、計画がルモンド家であったことを考えると、大方目的はエレーナ嬢を王太子妃に据え、アナスタシア家が国政の実権を握ること。そしてルモンド家がそのおこぼれを頂戴するといったところか」


アナスタシア家とルモンド家の者達は、すでに騎士らに取り囲まれ、殿下の足元にまとめられていた。


「国民や国を守る騎士達に危害を加え、あろうことか国王陛下の御身を傷つけた。その上、国に保護される大事な巫女を亡き者にしようとした。傷害、文書偽造、違法薬草の栽培…国を混乱に陥れた罪は重い。貴様らは後程()()()裁判で裁かれることになるから覚悟しておけ」


それを合図に2つの伯爵家の者達は、抵抗しながらも騎士らに連行されていった。

特にエレーナ様は女性貴族であるため手荒に扱われないことに乗じて、騎士達の手を噛んだりと一際の抵抗を見せている。

殿下はそれをご覧になると、静かにエレーナ様に近づき、ご本人や同じ赤絨毯の上にいる私にだけ聞こえるような冷たい声でこう仰った。


「エレーナ嬢、私のフェリスティアを傷つけた君の罪は特に重い。牢でよく自分のやってきたことを省みることだ」


それを聞いたエレーナ様は、みるみるお顔が赤くなり、今までの抵抗をピタリと止めると焦点の合わない目で突然叫びはじめた。


「なによっ!!クロフォード様なんてただのゲームキャラでしょっ!!?私の攻略対象なのに、なにシナリオ無視して、ザコキャラと出来ちゃってんのよ!!主人公は私なのよっ!!それを無視したあんた達が悪いんでしょっ!!」


えっ?ゲーム?攻略対象?ザコキャラ?

前世の言葉のオンパレードだけど一体どういうこと?


「狂ってしまったか。連れていけ」


私の脳内の疑問に答えることなく、エレーナ様は連れていかれてしまった。


全員が連れていかれてたのを見届けると、クロフォード殿下が私の方を振り返る。

そのお顔に先程までの怒りや厳しさはない。


「やっと会えた…。すぐに助け出せず、すまなかった」


1歩ずつ近づいてくる殿下のお姿に思わず胸が高鳴り、思わず手を伸ばす。

と、その時だった。


「フェリスティア!!きこえる??嵐が…嵐が完成しちゃった!」

ざまぁはここで一段落です。

ようやくここまでこれました…。

いつもお読みいただいている皆様のお陰です!

次話以降また不定期投稿になります。

精進します!


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― 新着の感想 ―
[一言] 狙われるのがわかっている当主、次期当主候補、守る立場にいる騎士がなんの耐性もつけてないことが愚かすぎる。というか何で洗脳されてるが如く全ての人間が描いてないのか理解不能だがな。
2022/02/05 08:42 退会済み
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