私の生きる場所
切れ目の関係で短めです
先生が部屋を出られた後、代わって両親が部屋に入ってきた。
婚約についてはすぐに手続きを進めること。
結納については、来月執り行われることを伝えられた。
「これ以上、清嗣様達にご迷惑お掛けするわけにはいかん。早く体調を治しなさい」
そう言うなり2人は部屋から出ていった。
私のことを心配する言葉は1つもなかった。
~・~・~・~・~
「あれは夢だったのかしら」
目が覚めたら素敵な王子様に助けていただいたこと。
かわいらしい精霊さんと出会ったこと。
優しい家族に恵まれ、学校生活を謳歌したこと。
きらびやかな社交の場にでたこと。
自分にしかできない仕事に打ち込んだこと。
クロフォード様にプロポーズしていただいたこと。
「よく考えたらすべて、私が心の底で憧れていたことだものね」
それにしても最後は断罪・婚約破棄なんて。
夢ならば、せめて最後まで夢を見させてほしかった。
「あついっ!!」
自嘲気味に思い出を振り返っていると、急に胸元が熱くなる。
「これは…約束の石?」
胸元に手を当てると固いものに当たった。
それはソフィア様からいただいた約束の石だった。
暗い部屋の中で水色の淡い光を放っている。
「夢じゃなかったの?」
私の呟きに応えるように、光が揺らめいた。
全てが夢でないのだとしたら、本当に私はあの世界にいて死んでしまうはずで、精霊さん達のご厚意でこの世界に戻ってきたのだ。
精霊さんが最後に言っていた『グリンフィールドはおわりだ』という言葉は本当なんだろうか?
『おわり』とはなにを意味するかわからないが、国を助けに行かなければ。
その思いと共に、罪人としてたくさんの人に糾弾されたこと、クロフォード様に婚約を破棄されたことが強烈に思い出された。
国を助けに行くということは、身震いするようなあの場に戻るということだ。
しかももしあの世界に行くというなら、再び井戸に身を投げるということだ。
もし失敗すれば、今度こそ目覚めることはないだろう。
せっかく精霊さん達が助けてくれた命だ。
定嗣さんと結婚し、神守家の嫁として家に尽くす。
そして実家を守り、両親の望みを叶える。
本来あるべきだった人生を送れば、少なくともあの世界でよりは長く生きることができるだろう。
私は目をきつくつむる。
でも、それでも私は―。
石を強く握りしめ、私は静かにゆっくりと布団をはい出た。
~・~・~・~・~
外に出るとまだ夏の終わりだというのに、思いの外涼しい夜だった。
薄い浴衣を着ただけの病み上がりの身には少し堪える。
幸い誰にも会うことなく、あの古井戸にたどり着いた。
恐る恐る覗きこむと、最初の時と同じように深く冷たい暗闇が広がっている。
私は1つ深呼吸し覚悟を決めると、井戸の中へと飛び込んでいった。
いつもお読みいただきありがとうございます!
話のストックがなくなってしまったため、1週間ほど更新をお休みします(>д<)
これからクライマックスに向けて、ざまぁ&ハッピーエンド目指して頑張って参りますので、忘れずにいただけますと幸いです(;_;)




