祝福の日々
昨日はお休みいただきすみません。
ここから後半戦です!
クロフォード様からありがたいプロポーズをいただいた後は怒涛の展開だった。
馬車でアーリア家の屋敷に帰ると、すぐにルーベン様に呼び出され、王太子殿下から求婚の話が来ている旨を伝えられた。
「急なお話だ。よく考えてから答えをだして構わないし、貴女の気持ちを優先しなさい」
「お心遣いありがとうございます。ですが、ぜひお受けしたいと思います」
「…そうか、わかった。おめでとうフェリスティア嬢」
~・~・~・~・~
「「おめでとうございます!フェリスティア様!」」
ルーベン様のお部屋を出ると、アメリアやミリーを始めとする侍女や使用人達が勢揃いし、大きな拍手で迎えてくれた。
ミリーが両手で抱えるのがやっとの大きな花束をくれる。
「みんな、ありがとう。でもどうして…」
どうしてたった今、決まったことをみんな知っているのか。
「ルーベン様でございますよ」
アメリアが優しく微笑んで教えてくれた。
「ルーベン様はフェリスティア様のお気持ちに薄々気付いてらっしゃったんですよ。ですから王太子殿下から求婚のお話があった際、恐らくフェリスティア様が了承するとお考えだったのです」
「それで先程私共が呼び出され、自分の代わりに出来る限り祝福をしてほしいと仰られたのです」
ルーベン様は口下手ですからな~などという声が飛び交う。
するとルーベン様のお部屋の扉がゆっくり開いた。
「…余計なお世話だ」
出ていらしたルーベン様はいつもの無表情だが、耳が赤くなっており、場は笑いに包まれた。
私はまた、涙がこぼれそうになっている。
この中の一員になれて、家族になれて本当によかった。
「ルーベン様、みんな、本当にありがとうございます」
~・~・~・~・~
その後、国王陛下や女王陛下へのご挨拶や王族と婚約する際の様々な手続きを済ませ、プロポーズから1週間後、正式に婚約が国内に発表された。
「食事会お疲れ様、フェリスティア。疲れてない?」
私は今、国王様に招待いただいた晩餐会を終え、帰りの馬車が来るまでの時間をクロフォード様と過ごしている。
「せっかく婚約者になれたんだから、今後は名前呼びで」と言われ、そのようにしているが未だに慣れない。
「はい、とても賑やかで楽しい晩餐会でした。ご招待いただきありがとうございます」
「主に賑やかなのは母上だけどね」
そう言いながら、クロフォード様は苦笑いだ。
女王陛下、シェリル様(こちらもぜひ名前で呼んで!とのたってのご希望だ)は「娘ができてうれしい!」ということで、とにかくハイテンションだった。
見送りいただいた際も「今度一緒に街にお買い物に行きましょ!お忍びで!」と言って、クロフォード様にたしなめられていた。
「全くあの話好きには困ったものだ」
「ですが、アーリア家の食卓はいつも静かなので、本当に新鮮で楽しかったです」
「まぁたしかに、母上とルーベン神官長じゃ真逆もいいところだからね」
確かに、今日のルーベン様は、シェリル様に圧倒されたのか、食事中もほぼ無を貫いていた。
「それにしても本当によかった」
「?なにがでしょうか?」
「フェリスティアと無事、婚約できて」
「え?どういう意味でしょうか?」
「プロポーズした時、君が涙を流し始めて「ありがとうございます」って言うから断られるのかと思ったんだ」
「えぇっ!そんな…でも確かに紛らわしかったかもしれないですね。申し訳ございません」
確かに、「ありがとうございます。ですが~」と繋がってもおかしくはない。
紛らわしい真似をしてしまったようだ。
「こうして無事に婚約できたんだからいいんだ。背中に冷や汗かいて、一瞬目の前は真っ暗になったけどね」
そう仰って、クロフォード様はニヤリと少年のような顔で笑う。
思わず私も吹き出して2人で笑い合った。
愛する人と笑いあえる。本当に幸せな時間だ。
~・~・~・~・~
発表の翌日、学院でも多くの方に祝福の声をかけていただいた。
初めてのお茶会の授業でご一緒してから、良くしていただいているコーネリア様やイリス様はその1番手で「今度ぜひお茶会をしましょう!その際、ぜひどんなロマンチックなプロポーズだったかお聞かせください!」と息巻いてらっしゃった。
しかし、そんなありがたい声に浮かれている場合ではない。
今日の午後、私にとっての難関が待ち構えているのだ。
「フェリスティア!お勉強?」
「精霊さん、そうなんです。最後の追い込みなんです」
精霊さんが覗きこんでいる私の手元には、薬学のノートが握られている。
そう、今学院はテスト週間で、今日は薬学のテストなのだ。
今まで勉強の時間や隙間時間をこの勉強に費やしてきた。
薬草関係のお仕事も扱うアーリア家の娘の威信にかけて、この講義、絶対に落とすわけにはいかない。
ふむふむ、とノートを覗いていた精霊さんがはっ、とした顔で辺りを忙しく見回し始めた。
「精霊さん?いかがしましたか?」
「…なんだか、イヤな感じがする」
「えっ?それはまさかこのテ…」
その一言を言い残し、話の途中で精霊さんは光の中に消えていってしまった。
イヤな感じ、薬学のテストのことだったらどうしましょう…。
お読みいただきありがとうございます!
これからも続きますのでよろしくお願いします!




