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貴族のお仕事

「国王陛下、女王陛下、クロフォード殿下、お招きいただきありがとうございます。本年もアーリア家の事業に励み、王国へ貢献して参る所存でございますので宜しくお願い致します」

「ルーベン、今年も宜しく頼む。そんなに固くならないで、パーティー楽しんでいきなさい」


今回のパーティーは乾杯などなく、主催者である国王陛下と女王陛下、王太子殿下にご挨拶。

その後、貴族同士の挨拶や歓談となり、ダンスの時間となる。


まずは国王陛下を始めとする王室の皆様にご挨拶だ。


「フェリスティア嬢は今年が初めての参加ね!ぜひ楽しんでいってちょうだいね!」


女王陛下から温かいお言葉をいただくが、その目はどう見ても『いい人見つけてガンガン踊ってらっしゃい!』と言っている。


恐らく隣のクロフォード殿下も同じことを感じとったのだろう、場を仕切り直そうと咳払いをした。

とにかくご挨拶も済んだし、後がつっかえているのですぐに退散だ。


~・~・~・~・~


その後はルーベン様と共に、お付き合いのある貴族の皆様にご挨拶(というよりも向こうがこちらを見つけて挨拶にいらっしゃる)と歓談だ。


さすが国内でも上位の貴族の公爵家。

お仕事関係のお付き合いや遠戚のお家なども多く、人の波が絶えない。

一団去ったかと思えば、すぐに次の方に声をかけられる。


小一時間ほどそんなことを繰り返し、ようやく一段落かしら、と思っていると、ルーベン様から小さく耳打ちされた。


「これから来る者と貴女は話さなくていいです」


え?と聞き返す間もなく、声をかけられた。


「ルーベン様!はじめてお目にかかります!突然お声かけしまして申し訳ございません。今、お時間よろしいですか?」

「…えぇ、はじめまして、良い夜ですね」

「えぇ、本当に壮観で素晴らしい会ですね。私、ルモンド家のピカサと申します。以後ぜひお見知りおきを。こちらは息子のピサロです」


そう紹介されたのは私より少し年上に見える男性だった。


「実は我がルモンド家も、アーリア家の事業や研究の分野でお手伝いできる所がないか、ぜひルーベン様とお話したいと思いましてね。娘さんになられたフェリスティア様のすばらしい評判も聞いておりますので、ぜひ息子も含めてお話したいなと」


突如私に話の矛先が向く。

驚いたが、ルーベン様に言われた通り、黙ってニコニコしておく。


「そういうことでしたらうちの事業にも詳しい家を紹介しましょう」


ルーベン様はそう言うなり、近くにいた伯爵公に声をかける。


「こちらは私も懇意にしていて、部下でもあるトラッド伯爵。事業の細部については彼の方が私より詳しいからぜひ話してみてくれ」

「はじめまして、ピカサ・ルモンド様ですね?トラッド・カーサと申します」


トラッド様はそう言うなり、ニコニコとピカサ様、ピサロ様と話し始める。

アーリア様はそんな3人を置いて、私を連れその場を離れた。


「…あの、いいんでしょうか?お話の途中だったようですが」

「いいんです。あれは多分貴女目当てですから」

「私ですか?」

「えぇ、向こうの息子さんも年頃のようですから結婚相手に、とでも思っているのでしょう。そろそろダンスの始まる時間ですし」


なるほど、この歓談の時間は単なる近況を語り合うだけの場ではないのだ。


そんなことを考えている間にも、次々とルーベン様に挨拶したい方々がひっきりなしにやってくる。

さすが公爵家当主だ。


そうこうしているうちに、場内に流れていた音楽が変わり、ダンスの時間が始まった。


国王陛下が玉座から進み出て、女王陛下の手をとり、エスコートして場内の中央に降りていらっしゃる。

すると、あちらこちらでもペアができ、同様に場内で進みでて、ダンスが始まる。

きらびやかシャンデリアの下、大勢の人達が華やかなドレスで優雅に踊る姿は圧巻だ。


近況を報告しあっていた私達も手を止め、陛下らのダンスを見守る。

一曲目が終わり、国王陛下と女王陛下が会釈をし挨拶すると、場内は割れんばかりの拍手で包まれた。


「皆、楽しんでいってくれたまえ」


陛下はそう仰ると女王陛下をエスコートし、再び玉座にお戻りになる。

音楽も2曲目が始まり、本格的なダンスタイムのスタートだ。


ただ、ルーベン様とお話したい方々の列はまだまだ止みそうにない。

今回は私は踊らずに済みそうだ。

そう思ってひそかに胸を撫で下ろした。


~・~・~・~・~


「クロフォード様よ!」


歓談中、突然黄色い歓声が聞こえた。

こちらもお話中のため、声の先をこっそり見ると、どうやら王太子様が踊りに出ていらっしゃったようだ。


隣には、白地に赤と金の刺繍が施され、凛としたドレスに身を包んだロザリア様を連れていらっしゃる。

やはりこのお2人が並ぶと絵になる。


お2人の周囲には、次こそはぜひ自分と!というご令嬢達が待ち構えている。

この分だと、今回は王太子様と踊ることはないだろう。

少し寂しい気もするが仕方がない。


…うん?寂しい?

今、私寂しいって思った?


まさかまさか、今はアーリア家の一員としてお話に集中しないと。


明日こそは王太子様、本格登場です!

前説が長くてすみません

いつもお読みいただきありがとうございます!

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