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人間の屑

敵との距離は1㎞、数は千ほどか。


よし、今だ!


腕力奴隷が岩を投げ、風魔法が後押しをして物凄い速さに加速される。加えて、岩に纏わせた風魔法が空気抵抗を無くしているため速度を落とすことなく騎馬兵の元へ飛んでいく。


騎馬兵達は急いで迎撃をしようとしたのだろうが、質量も体積も大きい高速運動をしている物体を止め切れるはずもなく、

そのまま岩は中央へ直撃。敵の兵が百人ほど死んだ。というかバラバラに吹き飛んだ。

生き残っている者達も何が起こったか分からない様子で狼狽えている。


もはや士気は無くなっているが当初の通り、もう一人が奴隷を投げ飛ばし、風魔法で援助をする。


すると、いとも簡単に障壁を突破。すかさず、自らの命を犠牲にした特大の炎が騎馬兵を全て飲み込んだ。

その瞬間反魔法の障壁が消えたが、炎は構わず燃え続けた。こちらまで凄まじい熱気が伝わって来たので、風魔法の奴隷を扇風機代わりにし何とか乗り切った。


そして、十秒ほど燃えていた炎は消滅し、騎馬兵が全て燃え去っていることが確認できた。

よし、無事勝利したようだな。

ただこちらの犠牲が酷いな。改造を施した腕力強化魔法の奴隷は二人とも死亡。風魔法は四人、火魔法は一人死んでしまった。

そして得られたものはゼロ、か。


うーん、できれば奴隷を増やしたかったんだがな、と思いながら敵のいた場所を見る。



ん?いやちょっと待てよ。

まだ誰か生き残りがいるぞ。


視線の先には、全身を屈めながら障壁を体に纏わせ震えている反魔法使いがいた。


あいつ生きてたのか。というか、そんな簡単に障壁の大きさを変えることが出来たのか。

なら、奴隷だけ外に出るように障壁を小さくすれば良かったのではないか?


ふむ、よく分からんな。奴隷にするついでに直接聞くことにしようか。



1㎞離れた反魔法使いの所まで歩いてきた。

風魔法で移動しても良かったのだが、これ以上奴隷を減らすわけにはいかないので仕方がない。


「おい、お前起きろ」

「ひぃっ、こ、殺さないで下さぃぃ」

「じゃあその代わりに答えろ、最後火魔法を防ぐ時、何で自分の体が入る大きさにしたんだ。奴隷だけが外に出るような大きさにすることも出来たはずだろう。そうすれば全滅することもなかっただろう」

「そ、それは...あの、火魔法の威力が物凄いことが発動する瞬間に分かってしまったんです...それでどうしようもなく怖くなってしまって、ホ、ホントはいつもみたいに皆を助ける大きさにするつもりだったんですうぅぅ、でも怖くてぇぇ!!ごめんなさいごめんなさいごめんなさい皆ごめんなさい!!!」


うわあ、こいつ...人間の屑だな。

普段は皆を守るとか調子のいいこと言ってるくせに、いざとなったら自分の身を守る事しか考えていない最低のゴミだ。


しょうがない。その腐った性根を叩き直して改心させてやろう。


「ほら、手を貸してやる。立て」

「あ、ありがとうございます!殺さないでくれるんですね!」


体に纏われていた障壁が消えさる。


「ああ、殺しはしないさ」


奴隷にはするがな。


手を取り、奴隷化に成功した。

優しくしてやったのは、安心させてやらなければ、障壁を解かなかったからだ。

さて、生まれ変わったこいつに聞いてみよう。


「お前は誰だ」

「あなた様の奴隷です」

「誰のために生きているんだ」

「全てはあなた様のためです」


自己中心的な屑だったこいつも、人のことを考えられるいい奴に変えることが出来たようだ。

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