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卒業パーティー当日となりました 1



日付が変わり朝日が昇る。清々しい程の快晴のこの日、サントル魔法学園の奥に位置する講堂には、この後始まる卒業式典の為に多くの人が集まっていた。

在校生である私やフルール様は指定された席に着いて待機中。今は来賓の方々が順に入ってきている感じです。結構待たされているので時間が早く過ぎて欲しいと思う反面、早く過ぎる=卒業パーティーの時間が迫るという現実…それに加えて、昨日王城であった一連の出来事。待ち時間が長いせいで、私はどうしてもそれらのことばかり考えていた。



最後のダンスを誰と踊りたいかー…何度も考えて頭の中で繰り返しイメージした。けれどどうしても、1番踊りたいと思える相手がわからなかった、ストーリー上必ず踊らないといけないなら、もう全員と踊りたい!という考えまで浮かんでいる。それは出来ないし流石にしないけどさ…。


だから、誘ってくださった4人には本当に申し訳ないんだけど、全員にごめんなさい踊れませんと伝える事に決めた。でもそう決めたのは今朝、寮から出る直前の事。つまりまだ誰にもこの気持ちを伝えられていない。言うのは出来るだけ早い方が良いよね…式典後、パーティーの準備の為に一旦帰宅する前に捕まえるべき?



…まずは誰から?誰にどのタイミングで言うのかベストなの??

告白の返事をする事について悩むなんて初めてだし相手は複数って…恋愛初心者には鬼畜すぎませんか!?



仮に全員に踊らない意思を伝えて了承を得たとする。そうすれば私は、この乙女ゲーム?の世界で誰のルートにものらなかった事になるだろう。その場合、私自身に何か災難が降りかかったりするのかな?ヒロインのノーマルエンドなんて想像がつかないんだよね…。

ヤバいって感じたらボール村に帰るのもひとつの方法か。きっとあの村で生活していた時期はゲームと無関係だし、辺境まで逃亡できたらゲーム補正関係なくなるでしょ。



ただ、踊らない意思を伝える事が出来たとしても、全員素直に受け入れてくれるんだろうか?

特に、フラム殿下。最後のダンスのパートナーへの返事をしていないにも関わらず、昨日の彼は私と踊る気満々だった。まるで私に拒否権など無いような…そんな雰囲気さえ感じられて。



そして昨日のお茶会だ。あんな状況で城から追い出されて気にならない訳がない!

今朝の教室で、フルール様に何か知り得た情報が無いかそれとな〜く聞いてはみたものの返事はノー。彼女も知りたいとは思っているけど、彼女ですら殿下達から何も聞いていないという。

昨日のうちに事の真相に近い何かは見つかったの?そもそも本当に毒殺未遂で正解だった?事の発端は私のはずなのに全くその後の情報を知る事が出来なくて、蚊帳の外状態でもやもやが止まらなかった。





「…卒業生の入場でございます。」



講堂内に響き渡るアナウンスでハッとする。列になって中央の通路を進む卒業生の列に対して慌てて拍手を開始した。

先頭に見えるのは昨日私の手を引いた紅い瞳の王太子。舞台の中央で真っ直ぐ前を見つめ、卒業生代表の挨拶をする彼は、私の知っている殿下とは別人のようで思わず見惚れてしまった。




卒業式典は滞りなく終了し、卒業生が講堂から出る姿を拍手で送ってから私達も席を立った。

フルール様と話しながら自分達の教室に戻る。そして教室ではトリオも交えながら、この後開催される卒業パーティーの話になった。



「はぁー、長い式典もやっと終わりましたわ〜、楽しみはここからです!」

「本当に!私達のような身分の令嬢が王城で開催されるパーティーに堂々と出席できる数少ない機会ですもの、ワクワクが止まりませんわ。」



トリオは卒業パーティーが本当に楽しみらしい。いいなぁ…私だって何も考えずに楽しみたいぞ…。


感じ的にトリオはモブキャラな気がする。ゲームの世界だからか顔面偏差値が高いので容姿はそれなりに整っているけど、フルール様みたいな目立つ美しさはしていないもん。いっそのことモブに転生していれば…そうすれば、メインキャラクターの尊いやり取りを端から観察して楽しめたんだろうな。

彼女達が羨ましい。言わないし、言えないけど。



「そういえばトゥシェさんは初めての卒業パーティー参加ですよね。初めての登城なら、私達より緊張されているんじゃないですか?」

「あっ、実は昨日王城には行ったんです。」

「そうなんですか!?」



オリヴィア様が声のボリューム大きめで驚く。スザンヌ様とシャルロット様も同様にびっくりしていて、言わない方が良かった?と苦笑いするけどもう遅い。トリオからの怒涛の質問攻めがスタートしてしまった。



「どどどどういう事ですの?どうしてそのような事になったんですか!?」

「えと、実はフラム殿下とフリュ殿下から招待されまして…。」

「招待!?王子殿下達から!?トゥシェさん、お2人と親交がありますの?」

「まぁ一応…。」

「一体どうやって知り合ったんですか!?私達は話すどころか近くに寄ったことすら無いのに…。」

「「「羨ましいです!!!!」」」



めっちゃ綺麗にハモるじゃん…。

そうだよね、普通に考えて王族とこんなに関わりあるのって普通じゃないもんな。しかも私は平民の編入生、あり得ないどころの話じゃないか。



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