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卒業パーティーとは何ですか 4



午後の授業が終わり、私は気持ち早足でヴァン先生の部屋へ向かっていた。最近先生は忙しいらしくて、今日は久しぶりの補習なんだよね。聞きたい事かなり溜まってるけど時間足りるかなぁ?

なんて考えてるうちに目的地に到着。目の前のドアをコンコンとノックした。



「失礼します、トゥシェ=ルルーです。」

「どうぞ。」



向こうから聞こえる声に合わせてドアを開き、お邪魔しまーすなんて言いながら部屋の中に入る。席についてから用意してくださっているハーブティーを一口いただき、放課後の補習は始まった。先生にいろいろと質問しながら問題を解いていくいつもと変わらない光景。ふと窓のほうを見ると、いつの間にか外がかなり暗くなっていた。



「あれっ、もうそんな時間!?」



手を止め慌てて時計を確認する。確かに普段より遅い時間にはなっているけど、それでも30分くらいのズレだった。



「日が沈むのが早くなりましたからね。帰りも冷え込むでしょうし、今日はこのくらいにしておきますか。」

「えーっ、まだ聞きたい事残ってます…。」

「だったら近いうちにまた機会を作りますので…お菓子用意しますね。」



勉強は切り上げるのにお菓子はだしてくれるんだ。まあいっか、先生とゆっくり喋れるのも久々だもんね。



今日のお菓子はマカロンだった。何種類か用意してくださっていた中で、個人的にはピスタチオ味が1番美味しく感じた。



「なーんか私、先生にすっかり餌付けされちゃってますよね。」

「餌付けって…勉強で使った脳に糖分を送るためには、お菓子を食べるのも大切な事ですから。」

「仰る通りですね、今日のマカロンもこれまた絶品です。」

「それは良かった。」



眼鏡のレンズ越しに見える瞳が嬉しそうに煌めいた。お茶とお菓子をいただきながら、長閑なティータイムは続く。



「この調子で私、学年末試験乗り越えられるんでしょうか。」

「ルルーさんはとても一生懸命に勉強しているじゃありませんか。僕も力になります、大丈夫ですよ。」

「ありがとうございます。でも先生だって、試験が近づくって事は試験問題作らないといけないでしょ?中間と違って実技もあるし…私の補習、続けてもらって大丈夫なんですか?」

「問題ありません。心配してくれるのは有り難いですが、その辺りをきちんと調整してこそ教師だと思うので…。」



私が気にするような事じゃ無いんだよーって言われてしまった、でも気にしちゃいますよ。もし私の為に無理に時間を割いているのなら補習は今日限りでいい。勉強は不安だけど自分で頑張るし。



「特別扱い、しなくていいですからね?」

「…。」

「って、個別補習してもらってる時点で特別扱い受けてるかー!先生も突っ込んでよぉー!」



おどけて笑ってみせた。先生も笑ってくれると思ったのに、予想に反して彼の表情は固いままだった。



「先程、今日出来なかった範囲の補習を近いうちに…と言いましたが明日はどうですか?明日なら調整がつくと思うので。」

「明日ですか?明日の放課後はちょっと、先約があるので…。」

「先約?」

「はい。学年末試験が終わったら卒業パーティーがあるじゃないですか。それに参加するにあたって、ダンスが踊れた方が楽しめるってフルール様に言われたんです。ほら私、想像つくと思うんですけどダンスなんてからっきしなんですよ。それで、フルール様が教えてくださる事になったんです。」

「ルルーさんが、ダンスを踊るんですか?」



先生からの問いに首を縦に振って返事した。驚かれた?意外だからかな。確かに私自身もフルール様に言われるまでは、ダンスを踊るつもり無かったしね。



「踊る相手は決まっているんですか?」

「いいえ全然。でも万が一誰かに誘われたら、せっかくなので踊ってみたいなーと思ってます。私から誘おうと思う相手も特にいないですし。」

「そう、なんですね。」



なんだろう。この数瞬のうちに、先生から放たれるオーラがコロコロと変化しているような…気がする。気がするだけだけど。



「では明明後日はどうですか?業務前倒しで進めて、ゆっくり時間を取れるようにしますので。」

「先生がそれでいいなら私は大丈夫です。でも、前倒しとか出来るんですか?無茶はしないでくださいね?」

「ありがとうございます、君は本当に…優しい生徒ですね。」



気づけば外は真っ暗だった。これはいけないと私は慌てて帰る準備をする。時間も遅いし寮との通用口まで送ります、という先生の申し出をやんわりと断ってから、私はいそいそと自分の部屋への帰路についた。



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