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あなたの考えが私にはわかりません 7



【オルロージュside】



俺と同じ時の魔法の使い手であるトゥシェちゃんと出会ってから、俺は不登校を辞めた。

理由は簡単、大切な友達であるフラムが本気で好きになった子がどんな子か見ておきたかったから。まぁ俺、女の子と関わるのが好きだしね。

あと、フラムは恋愛耐性のないど素人だし、玉の輿目当ての変な子に騙されている可能性も考えた。もしそんな子だったら、その子の目当てをそれとな〜く俺にシフトチェンジさせて適当にやり過ごしつつ、フラムの目を覚まさないといけないとも思っていた。



ところがトゥシェちゃんは、俺が今まで出会った女の子達とは一味も二味も違っていた。


俺が今まで仲良くしてきた子達は、どこか言動が計算されていたり、綺麗に作られた笑顔をしていた。声をかけ、口付けてから屋敷の離れに案内する時も、嬉しいとかいった温かい気持ちよりも、すぐ届く何かで欲を満たしたくて付いてくるって感じ。でもそれは俺も同じだったので、特に気に留める事はなかった。



でもトゥシェちゃんにはそんな素振りは全く無かったんだ。彼女は真っ直ぐで努力家で裏表が無くて。目の前の事に一生懸命な、太陽みたいな女の子だった。出会って初日に挨拶した際、思いっきり膝蹴りでやられて戦闘不能に陥ったのも、今となってはいい思い出…いや、よくは無いかな?


何はともあれ、学校に行って彼女と過ごす午後の時間は、いつの間にかとても居心地の良い時間になっていた。親友の為に変な子じゃ無いか見極める…最初の目的はもう忘れていた。思い出す必要も無い、トゥシェちゃんはそんな子じゃ無いと、俺自身が肌で感じているのだから。




彼女と出会って1ヶ半、あの日の彼女はなんだか普段と様子が違っていた。



ポニーテールにまとめられているトゥシェちゃんのセピア色の髪が、何故か自然な形におろされていた。



「今日髪の毛下ろしてるんだね、可愛い!」



いつものノリで思った事を伝える。でも、普段なら「何言ってんですか」みたいな感じであしらわれるのに、返ってきたのは硬い返事と小さいため息だった。

おかしいな…と思いつつも、魔法の練習を開始する彼女を見つめる。両手を添えた大きめの水晶に魔力を送っていき、魔力の流れをコントロールする事が目的のいつもやっている練習だ。



ところが何故か、水晶がいつものように光らない。送られている魔力が少ないようだった。

練習を中断させ、心当たりが無いか尋ねてみる。真っ直ぐ見つめると、自覚があるかはさておき彼女は明らかに狼狽えた。



「…あるなら言って欲しい。それとも、俺じゃ頼りない?」



ちょっとずるい言い方をしてしまった。でも、素直で隠し事が苦手な彼女が何を抱えている事は明らかだった。頼って欲しいのも本心、でもそれだけじゃ無い。このまま誤魔化されるのはなんだか信頼されていない気がして悲しいと思った。



「そんな事ありません、先輩はとても頼りになります。…この話をすれば、もしかしたら先輩を不快にさせてしまうかもしれません。それでもいいですか?」



トゥシェちゃんは、ラピスラズリの瞳に不安を宿しながらも真っ直ぐに俺を見てくれた。そして、ゆっくりと話してくれた。彼女が今朝みた、まるで魔法で視る映像のような夢の事…その夢の中で起こった事。彼女が全部話し終わった後、俺はすぐに返事をする事が出来なかった。



フラムがトゥシェちゃんの寝込みを襲う…?そんな事があり得るのか?だってアイツ、恋愛初心者の童貞君だぞ?

本音を言うと、フラムにはトゥシェちゃんが視たという映像のように、大胆な行動が出来るとは俺には思えなかった。けれどトゥシェちゃんの宿しているであろう魔力や能力…何より彼女自身の様子と人柄から、客観的に考えてもその映像は未来に起こる出来事で間違いない。


俺は頭をフル回転させながら、なるべく柔らかい口調で丁寧に自分の見解を述べた。魔力の容量オーバーによる暴発、それによって無意識のうちに夢のような形で魔法を発動してしまったのではないか…と。

そこから魔法の暴発予防についてに話が逸れたので、区切りがいいところで軌道修正にかかる。トゥシェちゃんが視た映像は未来予知で間違いないだろう。つまり、今から対策をとれば回避も可能と考えられる。



「そうですね…私の布団に関する映像だから、布団変えるとか?でもそれだけだとなんか不安が残るな。しばらく別の場所で眠れたら1番良いんでしょうけど…。」



それを聞いていいアイデアが浮かんだ。この学園は、使用していてもしていなくても、生徒全員に寮の1室があてがわれている。幸い俺の部屋は未使用だ、入学した時に家財を運んだ後は入ってすらいない。男子寮ゾーンになっちゃうけど、窓の隣に木があるからそれを使って出入り出来るはず。


俺の考えを伝えると、最初は大声出されちゃったけど詳細説明で納得してもらえました。




「トゥシェちゃん、これからしばらくの間は寮の俺の部屋を使うんだ。勿論、夜中の寝る時以外は自分の部屋に戻っても問題無い。ただそこで寝落ちはしないよう注意してね。夜は俺の部屋で寝て、朝の登校するまでにこの石で魔術の痕跡がないか確認する。そしてどうだったかを俺に教えてね。どのくらいの期間になるかわからないけど…俺は君を守ってみせるよ。」



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