↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/145

あなたの考えが私にはわかりません 4



次の日もその次の日も、私の部屋で石が光る事は無かった。そして週末になってしまった。

明日は休日だ。なのでもし今晩、殿下が私の部屋に来たとしても、翌日にオルロージュ先輩に伝える事が出来ない。それにこの休日が明けたらフラム殿下が学園に戻ってくる。私は彼に会った時に、平静を保てるのかな…。



「何かあったら休みとか関係なく頼ってよ!って言いたい所だけど、連絡手段がなぁー。ごめんね、俺明日は王城のパーティーで警備補佐的な役割り振られててサボると怒られちゃうから、何かあってもすぐに行けないかも。」

「気にしないでください、お貴族様だもん仕方ないです。私、何とかこの週末を乗り越えてみせます。」



携帯電話があったらな〜なんて思うのは、前世持ちだからですね。

先輩にごめんと言われたけど、この件に関して彼は全く悪くない。むしろ私の方がお世話になりっぱなしで申し訳ない、謝るべきはこっちなのに。襲われ騒動が終わったらちゃんとお礼をしなくちゃ。

先輩の部屋で休むのもだんだん慣れてきた。あの部屋のベッドで眠ると、夢の中で誰かが優しく寄り添ってくれている気がして、なんだか安心して眠る事が出来るんです。





次の日の朝。休日なので普段よりはのんびり、でも魔術の痕跡が消えないくらいの時間には起床して、何度目かの朝の部屋移動を行なった。自分の部屋の鍵を開けて、石を空間にかざす。しかし今日もそれは無反応だった。



それにしても今日はなんだか外が騒がしいな。窓から遠くを見ると、寮を囲う塀の向こうに普段より多くの馬車が王城方面向かって進んでいた。今夜のパーティー用かな、王城にいろいろな物が運び込まれているという事だろう。隣国から元々この国のお姫様だった人が来てるんだもんね、さぞ豪華なパーティーなんだろうな…私関係ないけど。



…待てよ?フラム殿下がこんな大掛かりなパーティーの日に抜け出すなんて事はあり得るの?わざわざ今晩私の部屋に突撃するなんて事は無いんじゃないかな?つまり今晩は来ない?


いやいや油断大敵。今日は大丈夫と勝手に見越して襲われたらどうする?滑稽すぎるし、先輩に合わす顔が無くなるぞ。今日も先輩の部屋でお世話になっとけ。



天使と悪魔の脳内バトル的なやつが始まりかけている。いやいやいや、自分対自分で争ってる場合じゃ無いでしょ私。

そうだ魔法!魔法使って魔力の消費しとかなくちゃ。何でやろっかな〜…。



窓枠に手をつきながら目でいろいろ見回す。って、今丁度窓枠触ってるんだしこれで良いじゃん。そう思い、窓枠に両手をしっかり当て直して魔力を注ぎ込んだ。出来ることなら今晩の映像が視たいです…なんて思いながら。





…ー視えたのは、ゆっくりと開いた窓の外から窓枠に足をかけるフラム殿下。




うん。

本当に今晩の映像かは定かじゃ無いけどやっぱり危険!今晩も先輩の部屋で寝ようっと。




その後は勉強したり本を読んでいつも通り過ごし、21時頃に先輩の部屋に移動する為私は外に出た。ひんやりとした風に乗って微かに音楽らしきものが聞こえる気がする。パーティー、盛り上がってそうで何よりです。

そう言えば、フルール様がこのパーティーでフラム殿下に会う時いろいろ言ってやる〜的な事を仰ってたな…何言うつもりなんだろう。私の事なんて忘れて楽しんで欲しいんだけどな。

立ち止まって風上を向くと、丁度建物の隙間から、明るく照らされる王城らしきものが見えた。


先輩の部屋に到着し、のんびりと寝る支度を進めていく。

明日フラム殿下に会わなければならない。それが怖いと思う自分が消せなくて殿下に後ろめたいと思ってしまった。その日はなんだか寝付くまで時間がかかってしまった。


今晩も、私の髪をふわりと風が撫でたような感覚があった。





浅い眠りを繰り返したからか目覚めるのも早くて。翌朝の私は、この部屋で起きる予定の時期よりも更に30分早くベッドから起き上がった。片付けと着替えを済ませ、慣れた足取りで窓から木、木から地面へと移動する。まだ温まっていない空気を吸い込むと、寝不足のせいでスッキリしない頭が覚醒していった。



自分の部屋に到着し鍵を開ける。1歩、室内に踏み入った時、ズボンのポケットに今まで無かった温もりを感じた。どういう事?ポケットの中には、確か…。




心臓がドクドクと脈打つ感覚がする。

恐る恐るポケットに入れていた物…魔術発動に反応するという石を取り出すと、濡羽色だったはずのそれはぼんやりと白緑色を帯びていた。




「これ、って…。」




石を右手のひらに乗せ、腕をまっすぐ前に伸ばす。ゆっくりと部屋の奥に進めば進むほど、石の色ははっきり変化していくとともにやがて発光を始めた。


部屋の最奥にある窓枠に石を置くと、さっきとは比べ物にならないくらい石が光を放った。この場所で魔術が発動されたよ…って、訴えるかのように。




「嘘でしょ…て事は本当に…。」




フラム殿下がこの部屋に来たのだろう。昨夜、魔術を用いて。




殿下が来た事が確認出来たから、今晩からはまた自分の部屋で眠れるんだ!…なんて能天気には考えられなかった。


私の魔法は確実だ。発動さえすれば、時期はどうであれ必ず触れた物に関する映像が視える。だからわかっていた。いつか絶対にフラム殿下は私の部屋に侵入してくると。



わかっていた、はずなのに。





本当に起こったのであろうこの出来事、もし予知出来ていなかったら私はー…。



途端に実感が湧いて、腰が抜けるとともに一気に血の気が引いていった。




昨日窓辺で視た映像が、自らが視たいと望んだ時の映像だったと気づけないほどに。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。