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あなたの考えが私にはわかりません 1



まどろみの向こうから目覚ましの音が聞こえてくる。あれ、もう起きる時間?薄目を開けて何時かを確認したら、普段より30分も早い、まだ起きなくてもいいんじゃ…

再び目を閉じようとした時、自分の部屋とは違うダークウッド調の家具達が遠目に見えた。



……。




いや良くないわ!!!!



慌てて飛び起きる。ここ、私の部屋じゃ無いんだった!

瞬時に頭が覚醒していく。そうだ、私は今、昨日見た予知夢っぽい事が現実に起きない様にする為に、オルロージュ先輩の部屋を借りている状態だった。目覚ましの音を止め、改めて時間を確認する。この時間に起きられるよう調整したの私自身だわ、良かったー起きられて。


ホッと一安心するともに、のんびりはしていられないので大きく伸びをしてから洗面台へと向かった。顔と口をすすいで昨日の夜に着ていた着替えると、布団や使った物を整えてから窓を開ける。振り返って最終確認をした後、窓を開けて目の前の木に足をかけた。



「とりあえず初日、ありがとうございました〜!」



よっ、と木に乗り移って窓を閉じる。そして軽々と木を降って、本来の自分の部屋やと歩き出した。朝の空気は思ったよりも冷え込んでいて、今晩もお邪魔すると場合は上着を羽織って来たほうがいいかもしれないなんて、考えながら。


昨晩と同じルートを進んで自室に到着した。毎日繰り返し開けているドアなのに、もしかしたら…という気持ちがよぎってなかなか鍵を開けられなかった。



ええい怯むな、女は度胸だっ!



意を決し、ガチャンと鍵をさしてひねるとすぐにドアを開けた。




…窓は閉まっている。その他の場所も昨日私がここを出た時と変わりは無く、人が踏み入ったような痕跡はなかった。

ポケットから先輩に渡された石を取り出し、手に乗せた状態で腕を伸ばす。石はかけらも光らず、ひんやりとしたままだった。




「…つまりこの夜には殿下は来なかった、って事だよね。流石にそんなすぐには来ないか〜。」



ホッとしたような、残念なような…。

来て欲しいとは微塵も思わないけど、来ていただかないと私はいつまで経ってもこの部屋で寝れませんからね。なんだこの心境は、自分の望みがわからなくて苦笑いだわ。




望みねぇ。

そもそもフラム殿下は、どうして私の部屋に来る事になるんだろう。何を思って、何を望んで、何を目的として…?



…わからん!!朝っぱらから難しい事考えるのやめやめ。制服に着替えて髪括って、朝ごはん食べに行こう!

クローゼットから制服を取り出し着用する。ポニーテールを作ろうとドレッサーの椅子に座ってゴムに手を伸ばした時、黄緑色の石が付いたヘアゴムが視界に入った。


フラム殿下は私にこのゴムを外すよう強く言ったけど、あれは何故だったんだろう。本当に理由がわからない。でも心当たりが無いとはいえ、今の状況で彼の機嫌を損ねる事はとてつもなく避けたいと思った。

私は黒の飾りがないヘアゴムでポニーテールを作り、石のついたほうはそっと引き出しの奥にしまい込んだ。




「…よしおっけい。あーお腹すいた!今日の朝ごはん何かな〜。」




時間を見計らいカフェに行く。毎朝同様にトレーを受け取る時にミラさんとも普通にお喋りしたし、朝ごはんは美味しかった。昨日の私の様子が気がかりだったらしい彼女は安心したとの事。無意識のうちに心配かけてたみたいで、申し訳ないなぁと思った。



教室に到着すると、今日はフルール様の方が先に登校していた。

おはようございますと挨拶を交わし、彼女の隣に着席する。昨日のランチでは気まずい雰囲気のまま解散したから、どうやってお話ししよう…普段何喋ってたっけ!?やばい、なんか変に意識したらいつもの接し方がわからなくなってきた。これではフルール様に失礼だぁぁあ!

脳みそフル稼働させていたら、クスッと笑う声が聞こえてきた。



「良かったです。トゥシェさんがいつも通りの百面相で。」

「…えっ、どういう事ですか?」



良かった、と呟いたフルール様のお顔は柔らかな笑みを浮かべていた。どうやら嘘は言ってなさそうですが、何が良かったの?



「昨日のトゥシェさんはどこか元気が無さそうだったので。特に、ランチの時間頃からは怯えているようにも見えました。だから今日、こうやっていろんな表情をするあなたが見られてホッとしているんです。」



昨日、私の様子がいつもと違う事に気づいてくださってたんだ…。

ミラさんだけでなく、フルール様にまで心配かけてたなんて。私みっともない。でも気遣ってくれた事は嬉しい。でも申し訳ない。



ふたつの気持ちが交差する。でもそれは悟られたくない。バレたら多分、もっと気を遣わせてしまう。



「…そんな風にみえましたか?でも大丈夫です、ありがとうございます。心配かけちゃってごめんなさい。」



本音を隠してなるべくフランクに返事をした。



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