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2度目の城下町は開拓といきましょう 5



「お待たせ!当店自慢の唐揚げ定食特盛りだよ!」



おばちゃんのハキハキとした声と共に、私達の目の前にドン!と唐揚げ定食が置かれた。揚げたてであろう湯気をまとった茶色いそれは、食べておくれと言わんばかりの食欲そそる匂いを放ちまくっている。



「ありがとうございます!いただきまーす!!」



両手を合わせて速攻でフォークを持ち唐揚げを突き刺す、そして大きく口を開け、勢い良くかぶりついた。

あつっ!噛んだ瞬間溢れる肉汁、柔らかな肉とぷりぷりの皮の食感…堪りません!あまりの美味しさに無我夢中で食べ続ける。しばらくして水を飲もうと顔を上げると、なんとも興味深そうに私を見る殿下とスエテさんが視界に入った。



「…何か?」



恐る恐る訪ねる。私まずい事した?それともこんな風にがっつくのが駄目だった?何か言ってください…。



「…いや、ただ美味しそうに食べるなぁと思って。」

「へっ?だって美味しいんですもん、当たり前でしょ!」



予想外の返答に拍子抜けした。その後も私は延々と舌鼓を打ちながら特盛り唐揚げ定食を完食。流石に満腹なのでしばらくここで座らせてもらう事になった。



そういえば、店頭でおっちゃんと喋ってた時も、ここにしばらく座っていたいとお願いする時も、殿下はとてもスムーズかつ親しげに話しかけていた。フルール様はフリュ殿下の事を口下手と言っていたけど、それを疑う程に。



「殿下はこの店の人とはもともと親しいんですか?」



疑問に思ったので聞いてみる。殿下本人は「まぁ。」としか言わなかったけれど、代わりにスエテさんが意気揚々と答えてくれた。



「勿論です!なんてったって我が主人は、東西に広がるこの城下町の商人ほぼ全員と面識がおありなのですから!」

「え、ぜ、全員!?東西関係なく?どうしてそんなに顔広いんですかやっぱり王子様だからですか!?」



予想外の返答に思わず大きな声が出てしまった。やば、こんな所に王子様がいるなんてバレたら大騒ぎに…



あれ?ならない…。お店の人どころかお客さんでさえ、一瞬こちらを見た後さも当然と言った感じで業務や食事に戻っていった。…なんで?普通驚くところでしょ?



「第2王子殿下であらせられる、確かに理由のひとつですが、それはお飾り程度の理由です。

フリュ様は幼い頃より大変優秀でいらっしゃいました。一般的に使用できる魔法が細分化されると言われる10歳の時点で水の魔法を極められ、やがて光の魔法も使えるようになられたのです。そしてその頃から、城内ではわからないこの国の姿に触れたいと、城下に出かけるようになりました。

はじめは正体を隠していたのですが…風の噂とやらでしょうか。何度も訪れるうちに、殿下の素性は城下町全体に広まっていたのです。しかし、噂が広がっても気にされる事なく城下を訪問する姿、嘘偽りなく城下の人々と触れ合う様子から、街の人々はそれまでと変わらない態度で殿下と接する事を選んでくれたのです。自分はもう嬉しくて嬉しくて…!」



話しながら鼻をすするような音を出すスエテさん。本当に泣きそうなのかわざとなのかは微妙な所。彼は話を続ける。



「殿下も嬉しかったのでしょう、いつからか城下の国民が困っている事や望む物を情報収集するようになられました。そして自らまとめ上げ、国王陛下やフラム王太子殿下に改善策について掛け合われるようになりました。例えば先程の警備隊、配置システムの改善を指示したのはフリュ様なんですよ。」

「そうなんだ…。フリュ様って凄い人なんですね。」



確か私より1歳下だよね?魔法も出来て、しっかり王国の役に立っていて…本当に関心する。でも当の本人はそんな風に思っていないらしい、本気で褒めたのに当然の行動だと言われてしまった。本人より側近の方が鼻高々ってどういう状況よ。



「フリュ様のご活躍の話は王都を飛び出し、王国全体に広まりつつあります。自分はこのようなお方に仕えることが出来て大変光栄です。この城下町をはじめとして多くの地域がフリュ様の人柄を認めておられます。そしてゆくゆくはこの国を治めて欲しいと…」

「それ以上言うな、話はそこまでだ。」



フリュ殿下が急に話の制止をかける。声と眼差しが瞳のアクアマリンのように冷ややかな色を帯びているようで、スエテさんは眉を八の字にして「失礼致しました」と呟いた。



何だったんだろう今の。



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