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2度目の城下町は開拓といきましょう 2



コンコン


鞄の中に教材と返却された試験用紙を詰め込んで、すっかり来る事に慣れた部屋のドアをノックする。



「ヴァン先生、いらっしゃいますか?トゥシェです。」

「どうぞ。」



向こうからすぐに返事が返ってきたので、私はゆっくりドアを開ける。先生は丁度ハーブティーを入れ終わった所だったらしく、グラスをいつもの場所まで運んでいた。失礼しますと言ってから部屋に入り、グラスが置かれた席に着いた。



「先生、今日もよろしくお願いします。」

「こちらこそ。ルルーさん、先日の中間試験お疲れ様でした。編入して数ヶ月でこの成績、よく頑張りましたね。」

「!ありがとうございます!」



先生に褒められた!基本的に聞き役で、私の機関銃のようなお喋りを聞いてくれるヴァン先生が自分から褒めてくれた。うわ〜嬉しい。



「でも、今回の成績に納得して勉強サボったら絶対痛い目にあうので、引き続き補習はしていただきたいです。」

「問題ありませんよ、引き続き頑張りましょう。ではまず、試験問題の復習からしていきましょう。」



先生に促されて鞄の中から勉強道具を取り出す。そして今回の補習が始まった。午後の実技時間をまるまる使っていた時と比較するとどうしても短時間になってしまうので、今日も私は集中して必死に教えを乞いた。




「…今日はここまでにしましょうか。」

「はい、ありがとうございました。」



終了を告げるとともに、先生はハーブティーのお代わりとお菓子を取りに行く。以前からの習慣になっているからか、補習が放課後になった今でも先生は毎回お菓子を用意してくれていた。今日のお菓子はプリンだった。



「いただきまーす!」



口に入れた瞬間プリンはとろけて、ほっぺたが落ちそうになる。



「先生、今日のプリンめちゃくちゃ美味しいです。」



プリンを見つめながら真顔で言うと、先生は「それは良かった」と言ってから私に続いてプリンを口に運んだ。うん、先生も美味しいって表情してる。多分。先生の表情は相変わらずカタイけど、雰囲気的にそう思ってる気がする。



「先生はいつも美味しいお菓子を用意してくださってますけど、このお菓子達はどこで買ってるんですか?」



ふと、ずっと疑問に思っていた事を聞きたくなって尋ねてみた。



「そうですね、殆どのものは、城下町の東エリアで購入しています。」

「東エリア?城下町ってエリア分けされてるんですか!?」

「ええまぁ。明確に境目がある訳では無いのですが、王都の城下町は西側と東側で大きく雰囲気が異なるんです。わかりやすく言うと、西に行くほど高級に、東に行くほど庶民的になります。」



そうなんだ!王都にやって来て数ヶ月経つけど、そんな話は初めて聞きました。



「ルルーさんは、王都に来てから城下町に行きましたか?」

「編入してきてすぐの頃に1度だけ。フルール様と行ったんですけど、庶民的なお店なんて見当たりませんでした。」

「おそらくその時は西エリアにしか行かなかったのでしょう。彼女はモーヴェ公爵の御息女、きっと平民向けの店には用事が無いのです。」



確かに、フルール様みたいな身分の方が平民だらけであろう場所に行くのは相応しく無いな。



「東エリアって、西とはどんなふうに違いますか?その、具体的に。」

「西も東も活気はありますよ。ただ、やはり西の方が上品ですね、立ち並ぶ店もひとつひとつが立派で広い。東は道が狭く、店も所狭しと並んでいますから。食べ歩きしてる人もいます。」



なにそれ楽しそう。行きたい!という気持ちが一気に膨らんだ。

そんな場所があるならもっと早く行く計画立てれば良かったな。休みの日といえば、勉強したり魔法の練習をしたり、この前みたいにお茶会に呼ばれたり。あと、フルール様が貸してくれた恋愛小説を読んだりして過ごしていたから、また城下町に行くという発想が頭に浮かばなかった。

貸してもらった小説は王子とメイドの身分違いの恋のお話なんだけど、これがめちゃくちゃ面白い。もともと小説が好きな私はどハマり中。でも結構長編で、昨日何個目の章がやっと終わったところ。章の途中まで読んでいたら続きが気になって出かけようと思わない気がするし、明日はお休みだし…これは丁度良いのでは?



「私、明日東エリア行ってみます!おすすめのお店の場所とか教えてもらって良いですか?」



声のボリューム大きめで、勢いよく上体を先生に近づけてしまった。先生びっくりしてちょっと後ずさったよ、ごめんなさい。

私がおずおずと座り直すと、先生も姿勢とメガネの位置を正した。それから机の端に寄せていた紙とペンを取り、いくつか店名らしき物を書き始めた。




「…ルルーさん、もし良かったら、明日…ーーいや、何でもありません。」



ペンを走らせながら先生は何か言おうとしたけれど、何故かはぐらかされてしまった。


メモを受け取り、教材とは別の鞄のポケットに仕舞い込む。最後に次の補習日を決めて、私は先生の部屋を出た。



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― 新着の感想 ―
[一言] おい先生よ、、、「一緒に行きましょうか?」言ってヨォ( ;∀;)
2021/06/06 06:52 退会済み
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