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フルール様の屋敷でお茶会です 7



着替えが終わり、帰る支度が整った私は、ドレス姿のままのフルール様に玄関まで案内してもらった。ヒールがだいぶ低くなったのでとても歩きやすい、私に高い踵の靴は不向きである現実が身にしみる。



歩きながら、以前から気にしていることを改めて考えた。フルール様は、学園でのランチタイムで殿下と積極的に話さない。むしろ私と殿下が話すようにアシストしている感もある。そして先程のお茶会。本来なら私達クラスメイトとの時間よりも、婚約者で王族のフラム殿下と過ごす時間を優先するべきだと思う。でも彼女はそれを後回しにして、私に殿下の相手をさせた。フルール様がどういった考えのもとでこんな態度をとっているのか…。



そうかわかった!フルール様、自分じゃない女の子を殿下に差し向けて、自分の素っ気ない態度を見た殿下に焦って欲しいんだ。差し向ける役に私がうってつけで、だから今日も敢えて殿下と私を置いていった、そう考えると納得。てかそれ以外考えられない!なーんだ、2人の間に恋愛感情はなさそうって勝手に心配してたけど、私の思い違いだったのね!あースッキリした。



私がぶつぶつ言っているからなのか、フルール様もスクレさんも私に話しかける事は無かった。スクレさんのオーラはさっきよりは落ち着いたけど、それでも不機嫌が残っていそうでなんとも言えない。




「今日は本当に、何から何までありがとうございました。本当に楽しかったです。」

「それはこちらの台詞ですわ。わざわざご足労いただいた上に私のわがままも聞いていただいたんですもの。薔薇園の案内もあります、またいつでも遊びに来てくださいね。」

「はい!…それにしても、行きも帰りも馬車まで用意してもらって、本当に頭が上がりません。」



玄関に到着し、ドアを開ける前に改めてお礼を言った。フルール様も応えてくれて、お互いに笑い合った後スクレさんがドアを開いた。外には私を寮まで送り届ける為の馬車が待機している。足を進め、乗り込もうと馬車を見上げた。




「あれっ、いつもと馬車の色違うんですね。」

「ああ、それは…」



フルール様が言いかけた時、ガチャリと馬車のドアが開いてそこから人が降りてきた。




「…殿下?なんでここで馬車止めてるんですか、そしてなんで降りてきたんですか?」

「フラム様もそろそろ帰られるとの事だったので、ついでにトゥシェさんを寮まで送っていただけないかお願いしたんです。そしたら快諾していただけましたわ。」

「なんでですか?これも焦らせ作戦の一環ですか!?」

「訳わかんない事言ってないでさっさと乗れ、じゃあなフルール。」

「はい、ご機嫌よう。」



理解が追いつかないうちに馬車に乗せられ、屋敷を出発してしまった。フルール様、思惑があるとしても流石にやり過ぎじゃ無い!?だって…





今、馬車の中には私とフラム殿下しかいない。正真正銘の2人きり。



シュポールさんはどうしたのか聞いたら御者として絶賛運転中らしい、気づかなかった。




「私服姿も初めて見た。」

「そりゃあ、殿下とは学園でしか会ってないですからね。」

「やっぱりいつもと雰囲気が違う。」

「化粧はそのままだからですかね。」



お茶会の時と違って普通に会話出来そう。あんな空気はもう御免だと思っていたので、ホッと胸を撫で下ろした。




「…なぁ。」

「はい?」



何気なく馬車に揺られていたら、殿下が急に改まった口調に変化した。どうしたんだろう。



「お前にとっての俺は、オルロージュよりも魅力が無いのか?」

「え?なんなんですか急に…あ。」



少し前のランチタイムでの会話を思い出す。フルール様に、フラム殿下とオルロージュ先輩のどっちがタイプか聞かれて、私は先輩の方が好みだと答えた。それに対して不満があったって事?…確かに殿下って『俺カッコいいだろ?』とか思ってそうなキャラだもんね。



「もしかして以前、私が先輩の方がタイプって言ったの気にしてるんですか?」

「なっ、いやそんな事は…その…。」



絶対気にしてるじゃん!自尊心傷つけられてへこんでるじゃん!昨日今日の話じゃ無いのに今更聞いてくるとか、ズルズル引きずりまくりじゃん!



「別に殿下の事が嫌いって訳じゃ無いですよ。ただちょっと…かなり面倒くさいなーと思う時はありますけど。でもその点はオルロージュ先輩も同じです、同列です。あの時はいきなり聞かれたし、あんまり熟考せずに答えちゃいましたけど、殿下は充分カッコいいと思います。」



ルックスはね、とは黙っておいた。これだけ言えば殿下の機嫌も治るでしょ。案の定私が喋る途中から殿下の口角がどんどん上がっていた、単純だな。



「そうか…そうだよな、俺の方がオルよりも魅力的だよな。トゥシェは本当はそう思っていたけど言いそびれたんだよな。世話が焼ける。」

「それはこっちの台詞です。」

「なんだと?」



その後も馬車に揺られながら会話は続いた。解釈違いだと感じる部分もあったけど、殿下の機嫌が治ったっぽいのでよしとする。馬車が寮に到着した為降ろしてもらい、笑顔の殿下にお辞儀を返して見送った。




殿下と先輩、どっちの方がタイプか。その日の夜に部屋で熟考してみたけど、ちらちらと頭の中を横切るランの姿が邪魔で答えは出なかった。



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