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ようやく会えたあなたは予想外でした 2



この学園に通い始めて1か月が経った。

編入初日は気候的に着用していなかったジャケットも羽織る日が少しずつ増えてきた。王都でこの気候だから、ボール村はもう少し肌寒い頃だと思う。


フルール様と城下町に行った日に届けたクッキーと紅茶へのお礼と、近況報告の手紙が少し前に届いた。実家からと、伯父さん伯母さんから。あと個別でランからも手紙がきたので合計3通。私が村を出て寂しさもあるけれど、皆元気に過ごしているよ〜との事。

ランからの手紙には靴紐を送った事に対する文句と、ほんのちょびっとだけお礼が書いてあった。約束通り良いものを送ってやったのになんなんだこの手紙は。若干イラっとしたので、時期を開けてまた靴紐を送ってやろう。



身なりを整え朝ごはんを食べにカフェに向かうけど、相変わらず朝のカフェは人が少ない。理由は簡単、長期休暇が終わって学園が再開しても自分の屋敷から馬車を使って通学する生徒がほとんどだから。位や仕事内容にもよるけれど、お貴族様は基本的に王都に住まいがある。そしてその住まいは、学園側から見て王城の反対隣に広がっているのだ。

だから寮に泊まる生徒は私のように遠方に家がある者か、屋敷に帰りたくない者。そしてたまに、学園に遅くまで残って勉強なり作業をしていて、帰るのが面倒になった生徒が宿として利用する程度だ。



「ミラさんおはよう!今日のメニューは?」

「おはようトゥシェちゃん、今日のモーニングはフレンチトーストとベーコン、サラダにオニオンスープよ!」

「ありがとう今日も美味しそう、いただきまーす!」

「慌ててこぼすんじゃないよ。先週もそのテンションでトレーまるまるひっくり返したの、この目で見たんだからね。」

「う…大丈夫、大丈夫。今日は慎重に運ぶから。」



カフェで働く人達ともすっかり打ち解けた。お昼はゆっくり喋れないほど忙しそうだけど、朝晩はカフェスタッフもゆとりを持って仕事しているからこんな風に気兼ねなくお喋り出来る。それにカフェスタッフは半分以上が平民出身で、さっきのミラさんもその1人。だから馴染みやすいってのもあるのかも。

教員は殆どお貴族様だけど、それ以外の学園で働いている人…カフェスタッフや清掃員の人達には結構平民出身者もいる事がわかった。立場は違えどぼっち平民ではないという事が、私の気持ちを軽くしてくれていた。




登校の時間になったので、カフェの隣の通路から学園に入って教室へと歩く。窓の向こうには、お嬢様おぼっちゃまを乗せてきた馬車が続々と門をくぐる様が見える。なんて豪華な光景。私がこの場所を通る時間がほぼ固定だからか、見かける馬車もだいたい毎日同じ。

ん?あの黄色い馬車初めて見たぞ?初めて…だよね?流石に見た馬車全部を把握しているわけじゃないから自信はないけど。馬車の主が普段と違う時間帯に来ただけだろうし、微塵も気に留めず歩みを再開した。




「おはよう御座いますトゥシェさん。」

「おはようございますフルール様!」



今日は彼女の方が私より早かったみたい。私は躊躇う事なく彼女の隣の席に座った。

編入初日に助けられ、週末には一緒にお買い物もしたフルール様とは、今やクラスで1番仲良くなっていた。ランチも勿論、一緒にカフェ裏で食べている。何気ない話をしていると、珍しく彼女が欠伸をした。



「フルール様、寝不足ですか?」

「昨晩は王城でのパーティーに出席していたので、どうしても普段より休むのが遅くなってしまって。」



パ、パーティー…!!しかも王城!!そんなイベント発生しそうなものが昨日の夜行われていたなんて…無理なのわかってるけど覗き見したかったー。



「フルール様は、どんなドレスを着たんですか?」

「私は、昨日はオフショルダーの薄紫のドレスを着ましたわ。トゥシェさんが着たらとても似合いそうな。」

「いやいや、私ドレスって柄じゃ無いし!」

「でも先日のうちのお茶会でのドレス姿はとても様になっていましたわ。」



フルール様じゃない声が聞こえてきたのでそちらを向くと、そこに居たのは御令嬢トリオのリーダー格、オリヴィア様。



「オリヴィア様おはようございます!あれは…どこをどうしたらいいのかサッパリだった私に、スザンヌ様とシャルロット様達がいろいろ手解きしてくださったからです。だからかろうじてそれっぽくなっただけで、様になんてなってませんよ。」




先日とは直近の休みの日の事。御令嬢トリオでお茶会をするのでぜひ来て欲しいと招待されたのだ。誘われたのは素直に嬉しかった。でもお貴族様のお茶会って、フルール様と行ったお買い物と違ってドレスコードだったりするのでは…?そう思い、ドレスなんてこの前フルール様に着せられた以外着た事ないし柄じゃ無いので一度は断った。そしたらなんと、お茶会当日ににスザンヌ様とシャルロット様が寮に突撃してきて、あれよあれよと言う間にドレスアップさせられてしまったのだった。そしてその流れで馬車に乗せられ、オリヴィア様の屋敷まで連行されたのでした。


お茶会そのものはとても楽しかった。トリオともぐんと仲が深まったように思う。それに、着せられたドレスはフルール様からプレゼントしてもらった白のパンプスとよく合うドレスだったので、パンプスを履いてお出かけ出来たことが嬉しかった。



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