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ようやく会えたあなたは予想外でした 1



【???side】



コンコン


「おはよう御座います坊っちゃま、朝食をお持ちしました。」



俺の1日は、くたびれた婆さんのノックと、ドアの外から聞こえる声で始まる。



「うう〜ん…どうかしたの?」



屋敷の端の離れにあるベッドから起き上がる。隣には寝ぼけて目を擦る女の子、寝癖が付いて可愛いね。



「朝ごはんが出来たんだって、君も一緒に食べるといい。」

「いいのー?嬉しい、ありがと。」

「ばーちゃん、ワゴンそこに置いといて〜。」

「かしこまりました。」



足音が聞こえなくなるのを確認してドアの方に行き、ワゴンごと室内に持ち込む。ベッドの上で状態を起こした女の子に優しくあーんしてあげた。朝食が済むと彼女は乱れたままの身なりを整え、笑顔で手を振り何事もなかったように部屋から、屋敷から出て行く。俺もにこやかに見送った。



「あー、可愛い子だったなぁ。」



彼女を見送った後、俺自身も身なりを整え部屋を出る。午前中に少し書斎で本を読み、昼前から屋敷の庭で剣技や弓の練習。陽が落ち始める時間まで鍛錬をしたら風呂に入り、そしてお楽しみの夜の城下町だ。適当に可愛い女の子捕まえていい感じに口説き、先程の離れにお持ち帰りする。その後?野暮だなぁ、仲良く遊ぶんだよ。



「坊っちゃま、今晩は王城でパーティーがありますので、入浴後の『お散歩』は控えていただきますようお願いします。」



げぇ、そうだった。

練習用の剣を差し出しながら釘を刺してきたばーちゃんこと屋敷のメイド長、ゾエ。武芸さえ磨いていれば放任主義の親父と俺が幼い頃に亡くなったお袋の代わりに、俺の世話を焼いてくれている。『お散歩』の事も何度も注意されたが、俺がやめる気配もなく親父は何も思っていないので今となっては適当にあしらってくれている。時々注意喚起されるけど、決まって今日のような理由がある日だけだ。



「わかったよ、適当に服選んどいて。」



ばーちゃんから剣を受け取り練習を再開する。王城に行くのは久しぶりだな。初見のいい子がいたら仲良くなれるかな?街の子達も可愛いけど、着飾った女の子も嫌いじゃないからね。

なんて事を考えながら俺は剣を振るった。






「おー、目の保養だね。」



新月で月明かりのない外とは正反対の眩さだ。オーケストラが生演奏する中、曲に合わせて踊る者、談笑する者、出席者は皆正装で煌びやかで。ドレス姿の女の子達は素敵だけど、初見の子は居なさそうだな。



「オルロージュ!久しぶりだな。」

「これはこれは。お久しぶりですね殿下。」

「なに堅苦しい呼び方してんだよ、気持ち悪いぞ。」

「それもそうだな俺も気持ちが悪い。」



嬉しそうにこちらに向かって歩いてきたフラムと笑い合う。歳は俺がひとつ下で身分的にも王族と貴族で異なるが、俺達は昔から気が知れた友達だ。

離れた場所に友達の婚約者を見つける。ローズピンクの髪を結い上げ薄紫のドレスを纏う彼女は、まるで大輪の花のようだ。



「いいのかよ?婚約者放ったらかしで俺の所なんか来てて。」

「俺と揃っての最低限の挨拶は済ませたんだ、あとは適当に参加者と喋ってるだろ。アイツといても人形みたいで面白くない。」

「人形みたいって…あんなに可愛いなら、お人形でも良くない?」

「良くない。」

「全くこれだから童貞は。」



ぶぅーっと剥き出す童貞王太子。



「おまっー…!?お前の方こそ、その女癖なんとかしろよ。女性に対して失礼だとは思わないのか?」

「思わないね。だって俺、誰にも本気にならないし。それに仲良くする相手はちゃんと選んでるよ?後腐れとかないタイプの子。」



はあ〜と頭を抱えられてしまった。俺からすれば、色恋のいの字も知らないフラムの方が問題だと思うんだけどな。このまま親が、国が決めた婚約者と結婚しなければならないコイツを不憫に思う。



「…フラム、お前気になる子とかいないの、許嫁関係なく。」



問うた瞬間、彼の顔がボンッと真っ赤に染まった。

おや、これはもしかして…



「…いるんだな。」

「ばっ、違、その、トゥシェの事は別に、そんなんじゃ…。」

「ふぅ〜ん、トゥシェちゃんって言うんだ、その子。」



おおおマジかよ!!フラムにもついに春が来たか!

でも聞いたことない名前だな。社交会に出るような貴族だったら覚えてるはずなのに。



「トゥシェちゃんとはどこで知り合ったの?」

「気安くアイツの名前を呼ぶな。…トゥシェは先月学園に編入してきた平民の女だよ。歳は俺の2個下で、時の魔法の使い手だ。」



予想もしていなかった返答に、俺の心臓がドクンと動く。



「…時の魔法?」

「そういえばお前も時の魔法の使い手だったな。現れたんだよお前以外にも、学園内では有名な話だぞ?オルがサボってばかりだから知らないだけで。」



そう、なのか。


時の魔法は特別だ。16、もう少しで17年生きている中で、俺以外にそれを使える存在を初めて聞いた。



「…俺今日はもう帰ろうかな。」

「なんでだよ、せっかく久しぶりに会えたのに。」

「学校行くためには早起きしなきゃ、だろ?」

「……はぁ!?」



今晩は久しぶりに本来の自室で休もうか、制服は離れには置いて無いならね。時の魔法が使える、平民出身のフラムが好きな女の子か…どんな子だろう?可愛い子だといいな。なんだか面白い事になりそうでワクワクしてきた。




どういう風の吹き回しだ何考えてるんだ〜って声を無視し、鼻歌まじりに俺は退城した。



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― 新着の感想 ―
[一言] 噂のもう一人の時の魔法使いはオルロージュと言うんですね! トュシェちゃんのこと本気で好きになるとかないかな~(≧∇≦)♥ ・・・ありそうな予感、、いやあるな( ̄ー ̄)ニヤリ 楽しみ~!!
2021/05/18 23:16 退会済み
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