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初めての城下町散策です 6



馬車の窓から見える景色は既に茜色に染まっていた。1週間前の、今と同じように茜空を眺めていた自分に言いたいな。翌週にはお買い物に誘ってくれる友達と同じ景色見てるぞーって。信じなさそうだけど。


本当に楽しかった。こうやって、同年代の女の子と買い物するのは前世含めて人生で初めてだったの。前世の私には、そもそも一緒に出かける友達なんていなかった。転生した今世だって、ボール村からだと街に買い物に行く事そのものが一大イベント、しかも村には私と同年代の女の子がいなかったから。ランはいたけどアイツ男子だもん、やっぱり違うじゃん?



隣を見ると、フルール様がちょっとうとうとしていた。なんとか寝ないように頑張っている子供みたいで、可愛いなーなんて思う。



「昨晩の寝不足がたたったのでしょう、そのままにしていただけますか。」



正面に座るスクレさんからのお願いに、勿論ですと首を縦に振った。



「スクレさん、今日は本当にありがとうございました。私みたいな人間、本来なら大切なお嬢様の隣に座ってていいはずないのに、文句言わずに一緒に出かけてくださって。」

「気にする事はありません、私も今日は楽しめましたよ。あんな風にはしゃぐお嬢様を久しぶりに見れたので。」

「そう…なんですか?」



そういえばケーキショップでも言ってたな、やっと心置きなく一緒に過ごせるお友達が出来た〜とかなんとか。



「私がフルールお嬢様の侍女となったのは私が12歳、お嬢様が7歳の時です。その時既にフラム王太子殿下とお嬢様の婚約が決まっていました。同年代の御令嬢が好きなように遊び、親同士の繋がりで知り合っても毒気なく語り合えるご年齢のうちから、お嬢様は未来の王妃として勉学に励み、大人達の世界で過ごしていらっしゃいました。そして現在、非の打ち所がない令嬢の鑑となられましたが、それはお嬢様の努力の結果であり本来の姿ではないのです。」



そう口にするスクレさんがフルール様を見る眼差しはとても優しい。彼女は言葉を続ける。



「お嬢様は慈悲深いだけでなくとても感情豊かなんですよ。貴女といる時、貴女の話を私にしてくださる時、お嬢様は本当に楽しそうでした。感謝を伝えるのは私の方です。トゥシェ様、フルール様とお友達になってくださって、本当にありがとうございます。そして今後ともお嬢様を宜しくお願いします。」



スクレさんはゆっくりと私に頭を下げる。



「えっ、ちょ、そんな…。こ、こちらこそ宜しくお願いします!」



私は凄い勢いで頭を下げた。その瞬間、車輪が石を踏んだのか馬車がガタッと揺れ、バランスを崩した私は慌てて両手を壁についた。



その時映像が頭の中に流れた。

視えたのは2人の女の子。今より幼いフルール様と、今の私くらいの年頃のスクレさん。とても楽しそうにお喋りしていて、本当の姉妹のようだ。さっきスクレさんは、本当のフルール様は感情豊かだって言ったけど、そうあれたのはスクレさんがずっとそばにいたおかげなんだと思う。

いいなぁ、お姉ちゃん。ちょっとフルール様が羨ましくなっちゃった。



先程の振動でフルール様が完全に起きてしまったため、感謝を伝える雰囲気は終了となってしまった。フルール様は何を話していたのか聞いてきたけど、スクレさんと2人で笑ってはぐらかした。



馬車が寮に到着したためここで解散だ。もうすっかり目が覚めたフルール様一緒に降りてきて、が寂しそうに見つめてきて可愛い。お持ち帰りしたいって言う人の気持ちがわかった気がします。



「今日は本当に楽しかったですわ。」

「私もです、本当に楽しかったです。」

「結局ケーキしかプレゼント出来ませんでしたわ…次こそは、トゥシェさんが欲しいと思うものをもっと見つけに行きましょう。念のため、今日試着したドレス類は全てキープしてあるので、やっぱり欲しいとなったらすぐに言ってくださいね。」

「キープはいらんし欲しい物は自分で買いますけど、お買い物はまた行きましょう!」

「ありがとうございます!それから…」

「お嬢様、そろそろ。」



スクレさんに連行される形でフルール様は馬車の中に戻っていった。私は馬車が見えなくなるまで見送った後、ゆっくりと寮に帰った。






夜。自分の部屋で故郷への手紙をしたためる。書いている途中ドアがコンコンと叩かれた。こんな時間になんだろう?



「はい。」

「夜分にごめんなさい、速達らしくってたった今届いたの。」

「ありがとうございます。」



寮母さんから手渡された箱はそれ程重くない両手で持っていいくらいか、ちょっとはみ出るサイズだった。なんだろう、誰から?心当たりはないけど、とりあえず開けてみる。



「…えっ、これって……もう、フルール様ってば!プレゼントはいらないって言ったのに!」



口調は怒ってみるけど、思わず口角があがっちゃう。

箱の中身のソレは私の足にピッタリで、白に瑠璃色の石がキラリと光っていた。



本日2ページ更新します、次ページは22時頃に更新予定です。

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