初めての城下町散策です 2
馬車の進行方向に向いた側に私とフルール様、反対側にスクレさんが座った。城下町へと続く景色を見るのは2回目、だけどあの時とは違う風に見えた。夕方じゃなくて昼間ということも関係あるけど、1人じゃなくて友達とお喋りしながら見ているから、だと思う。街並みが前よりもキラキラして見えた。
揺られることおよそ15分、馬車が止まり御者さんが扉をノックした。
「失礼します。お嬢様、目的地に到着致しました。」
「ありがとう。」
扉がガチャリと開かれて、私達3人は外に降り立った。
数え切れないほど多くの行き交う人、あちこちから聞こえる賑やかな声。それは決して耳障りではなく、気持ちを明るく高揚させてくれるそんな声。人々は皆笑顔でとても楽しそう。私は雰囲気に圧倒されそうになったのは束の間、その気持ちはすぐワクワクへと変わった。
「…すごーい!!こんなところ来たの初めて!!」
思わずあちこちぐるっと見回す。回転した時にワンピースのスカートがふわりと広がって足元に風が通った。
「トゥシェさん、盛り上がっているところ申し訳ないのですが、はぐれないように気をつけてくださいね。」
はっ
フルール様の声が思ったより遠くから聞こえたので、慌てて近くに戻る。田舎者丸出しでごめんなさい、でも楽しいんだもん!
「目的の店はあちらです、早速向かいましょう。」
スクレさんに案内されて私達はお店の中に入った。
入ったんだけど…
「…ここ、靴屋さんじゃないですよね?」
案内されたのはドレスがいっぱい並んでいるお店だった。状況を飲み込めていない私そっちのけでフルール様はドレス見てるし、スクレさんもフルール様と店員さんの橋渡ししてるし!私、場違いなのでは…?そう思ってお店の端で存在感を薄くしていたら、フルール様に声をかけられた。
「トゥシェさん!こんなところにいてないで、さぁフィッティングルームに行きますわよ!」
えっ
ええええ〜〜!?!?
…何がどうなっている?
私は今日、フルール様が城下町の靴屋さんに行くのに着いてきた。そのはずだ。
なのにどうして、私は今ドレスを身に纏っている???
正面にはお似合いですわ〜とか言いながら目をキラキラさせたフルール様と満足気に頷くスクレさん。いやいやドヤ顔今求めてないから。
「お召しになっていた水色のワンピースもお似合いでしたけど、こちらのピンクのドレスも素敵ですわ。でもきっと、あのオレンジ色のドレスも…スクレ!」
「かしこまりました。すいません、あちらのドレスのフィッティングもお願いしてもいいですか?」
「え?いやだから、フルール様のお買い物のはずなのになんで私が…ちょちょちょ!?」
無常にも私はまたフィッティングルームに追いやられた。
状況には全く着いて行けていない。けれど、さっきまで来ていたピンクのドレスも、今着せられようとしているオレンジ色のドレスも本当にかわいい、これは事実。こんなフリフリふわふわキラキラなドレスを着てテンションが上がらない女子はいるのだろうか。全員じゃないとは思うけど、少なくとも私はとても嬉しい。身に纏うものひとつでこんなに心は弾むのか。そう思っていると、2着目のドレスのフィッティングが完了していた。
「まぁ…先程のドレスも良かったけれど、こちらのドレスも大輪の花が咲いたようで素晴らしいですわ。じゃあ次は…」
「コホン」
再び別のドレスを選ぼうとしたフルール様の横でスクレさんが咳払いをした。フルール様はハッとしたような顔をして私に聞いてきた。
「トゥシェさん、どちらのドレスの方がお好みでしたか?」
「え?えっと…どっちも可愛くて素敵だと思います!」
「そうですか…では気を取り直して次の店に向かいましょう。」
「かしこまりました。そちらの2着、キープしておいて頂けますか?」
「えっキープってどうして」
「さぁどんどん行きますわよ!」
流れるようにもとのワンピースに着替えさせられ、手を引かれ店を移動した。
さっきのドレスより普段着るようなワンピースなどが並ぶ服屋さん、コスメショップにアクセサリーショップ…行くのは全然いいんだけど、何故フルール様はフィッティングしないの?私ばっかり試されてるよ??
一通りお店をまわってから私達はケーキショップに来た。
奥のイートインスペースの他の客から少し離れたテラス席に案内される。メニューの中から希望を尋ねられたので、フルーツタルトと1番上に書いている紅茶を注文した。




