↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/145

私の魔法ってそんなに珍しいんですね 5



コンコン


「どうぞ。」

「失礼します。」



昨日の朝ぶりにノックしたドアの向こうから声が聞こえたことを合図に、ガチャリとそのドアを開ける。ヴァン先生は、奥にある椅子から立ち上がりこちらに歩み寄ってきていた。



「ヴァン先生、今日はよろしくお願いします。」

「学園長から頼まれた事を引き受けただけですよ。さあこちらへどうぞ。」



相変わらずカタイなこの人、言わないけど。先生に促され、部屋の中程に位置するテーブルに荷物を置いて椅子に腰掛けた。

部屋の中はスッキリ整頓されていて、先生の人となりを表しているようだった。所々に観葉植物みたいなのが飾っていて、心なしか空気も澄んでいるような気がする。



「先生って、何の魔法が使えるんですか?」

「僕が使える魔法は風と植物です。補習を始めますので教材を出してください、何から手を付けますか?」



秒で本題に入られたよ。もうちょっと打ち解けてからでも良いのでは…教えてもらう立場なので黙りますけど。



「えっと、昨日と今日あった授業でわからないと思った部分にはしるしをつけておきました。あと、昨日の内容は可能な範囲で勉強してきたので、そこで出てきた新たな疑問もあります。なので、出来れば昨日あった授業の科目中心に教えていただきたいです。」



線を引いたり付箋を貼った教材を先生に手渡す。先生は眼鏡をくいっとしてから、それらに目を通し始めた。



昨日は気づかなかったけど、この人もなかなかのイケメンだな。王太子殿下みたいな華やかな美形とは違う、落ち着いた雰囲気と言いますか。なんで昨日そう思わなかったんだろう。先生背が高いからハッキリ顔がわからなかったのと、私がガチガチに緊張していたのが関係してそう。眼鏡男子…私が眼鏡男子推しだったら、先生のファンクラブ作ってたかもな。




「…あの、」

「はい。あっ、どんな感じの理解度かわかっていただけました?」

「それはある程度…それより、まじまじと僕の顔を見ないでもらえますか?何か付いてますか?」



はうぁっ!やっちまった!顔がいいからってガン見し過ぎた!



「すいませんっ、なんでもありませんっ!」

「…そうですか。…手始めに歴史からいきましょう。まずはこの付箋の部分ですが…」



ヴァン先生の教え方はとても丁寧で、的確でわかりやすかった。グリモワールさんの言っていた通りどの科目でもそれは変わらなくて、彼が優秀な教師である事を肌で感じた。

振り返りると確かに、教室の座学でもヴァン先生の授業はとても丁寧だったな。私が以前から授業を受けていたらもっと理解は深まってたんだろうけど、こればかりはどうしようもない。積極的に質問を繰り返し、先生の一言一句を必死に脳内に叩き込んだ。





翌日の朝の教室。そこには申し訳なさそうな顔をしたフルール様が私を待ち構えていた。



「トゥシェさん、昨日のお昼はご一緒することが出来ず申し訳ございませんでした。用事が長引いてしまったのです…結局昨日はお1人でランチを食べられたのですか?」

「それは仕方がないです気にしないでください!…途中までは、1人だったんですけど…。」



貴女の婚約者様がキャラ変してグイグイ詰め寄ってきました。

…とは、流石に言えない。



「…もしかして、フラム様とご一緒でしたか?」



なんでわかった!?顔に書いてた?女の勘か!?

大きな2つペリドットが興味津々といった感じでこちらを見ている。そりゃそうか、自分の婚約者がほかの女と2人きりだったら心穏やかではいられないよね。誤魔化した方がいいかな、いやこの瞳に見え透いた嘘は通じないな。

小さく頷いた後、言葉を続けた。



「…ランチ食べ終わってしばらくしたら来られました。でもその、なんというか…」

「…なんというか?」

「…なんというか、しんどかったです。」



私の言葉が予想外だったのか、フルール様はキョトンとしている。



「しんどかった、とは?」

「…こんなの婚約者のフルール様に言っても信じてもらえるか分からないんですけど、一昨日と昨日では殿下の様子が違ったんです。」



フルール様は「まぁ」とだけこぼした。どうキャラ変したか言うべき?いやもしかしたら、殿下って女の子と2人だったらグイグイいけるタイプって可能性もある?だとすると、フルール様が絶対知ってる事を告げ口するみたいな事になるな…言わないでおこう。



「私、殿下と2人だと何話せば良いかわからないし、気を遣ってしまって。フルール様がいてくださった時はそんな事なかったのに…フルール様がいたら楽しいのに。私が一緒にランチをしたかったのは、殿下じゃなくてフルール様です。」

「…まぁ。」



あっ、余計な本音も言っちゃった。わがままな言い方をしてしまった、と恥ずかしくなってフルール様のほうをちらっと見る。彼女は口元に手を当ててふるふると震えていた。



「トゥシェさん、これからは絶対、毎日一緒にランチしましょう!フラム様が来ても勿論一緒にいますわ!」



フルール様がぐん、と距離を詰めてきた。でも、昨日殿下に詰め寄られた時とは違って素直に嬉しく思った。殿下が参加する前提なのが引っかかったけどまぁいいや。私は「ありがとうございます」と彼女に返事をした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。