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私の魔法ってそんなに珍しいんですね 4



視界に映ったのは予想していない人物だった。思わず一歩下がろうとしたが、ベンチに座っている私にそれは叶わなかった。



「よお、今日はアイツいないんだな。」



そう言いながら私がフルール様用に空けていたスペースに座ってきたのは、昨日この場所で初めましてをしたフラム王太子殿下。ちょ、座るなら許可取って、距離近いし。

お尻を浮かせて王太子殿下から少し離れた。



「フルール様は用事があるらしくて後で来ると。…それにしても遅いなぁ。」

「まぁいいだろいない奴のことなんて。よかったじゃないか、1人寂しく昼休憩を過ごしていたら俺に会えたんだから。」



いや別に、貴方とフルール様が並んでいるところを遠くから拝むのはお金払ってでもしたいけど、この距離で2人で話す事は求めていないんだが。


この気持ちを正直に言っていいのかわからず、苦笑いすると同時に更に距離をとる。殿下は顔をむっとさせて距離を詰めてきた…え、近いんだが。ちょっと何なんですか!?



ていうか昨日とキャラ違い過ぎない?昨日お話しした時はなんかこう、もっとザ・王子様って感じ?だったのに、今日めちゃくちゃグイグイくるしなんかオレ様?系なんですけど!?トリオよりグイグイきてないかこれ。


初対面じゃ無くなったからこうなったのかな。でもフルール様と喋ってる時もこの人こんなオレ様じゃなかったような気が…なに、どっちが素!?



脳内パニックになっていた私だが、なんとなく視線を感じたのでそちらを見る。殿下が私をガン見していた。



「ッハハハ!!!!やっぱお前面白いな!この一瞬でそんなに表情変えて顔の筋肉痛めないのかよ?」

「ちょっと、なんなんですか!?確かに私は色々と顔に出ちゃうけど、そんなに笑います!?」

「ごめんごめん、でも仕方がないだろう、そんな顔するトゥシェが悪い。」



サラッと呼び捨てされた。



「ハハ…あー、お腹痛い。」



人通りの少ないカフェ裏のベンチ。そこに大爆笑の王太子殿下と平民の私ってどんな状況だよ。殿下の婚約者様が来る気配も今のところ無いし。


殿下には悪いけど、フルール様が来ないのであればこれ以上ここにはいたくないと思った。

スッとベンチから立ち上がり彼の方を向く。見下してるみたいになっちゃったけど、一瞬だし人目もないから許してください。



「私失礼します。」

「えっ?なんでだよここにいろよ。」

「いや、私と殿下2人きりってあんまり良くないと思うんです、てか駄目でしょ。今日はこの場所、殿下の好きなように使ってもらっていいので。」

「全然駄目じゃない。駄目じゃないから座れって。」

「結構です。」

「なっ…!?なんでだよ身分は気にするな、何をそんなに嫌がってるんだ?」



なんで?…なんでって、常識から考えても身分的におかしいからだよ気にするよ。

いやちょっと違うな。身分とかそういう事を差し引いても私、突如キャラ変した王太子殿下と今絡みたくないんだわ。



「……殿下のキャラ変にびっくりしてるんですよ。」



ぼやいた後にハッとした、これ不敬罪とかそーゆー類にならない?なったらどうしよう!?

恐る恐る殿下の顔を見ると、なんだかポカンとしていた。



「キャラ変とは…何だ?」



よかった通じてないみたい、ホッと胸を撫で下ろす。

殿下のポカン顔がなんだか間抜けで、さっきまでこの人相手に困惑していた自分が馬鹿らしく感じた。そして冷静になる事もできたので、1番根拠がしっかりしていそうなここにいたくない理由を口にする事が出来た。



「何でもありません気にしないでください。でも、殿下にとっては問題無くても、私は友達の婚約者とこんな風に会うのは心苦しいのです。なので立ち去ります、ご機嫌よう!」



発言終了と同時に体の向きを変え、早足からの駆け足でベンチを離れた。後ろの方で殿下が何か言ってるっぽいけど聞こえませーん聞きたくありませーーん!脱兎の如くとはまさにこんな感じだろう。一応王族相手だし、ちょっとでも上品な方が良いかなって言ってみた『ご機嫌よう』も、この状態では台無しだったけど気にしない事にする。

丁度鐘の音も聞こえた、ナイスタイミングだ。ある程度離れた後スピードを落とし、ゆっくり息を整えながら教室に教材を取りに行った。




フルール様結局来なかったな。





教室からヴァン先生の部屋に行く道のりで、時の魔法の実技部屋の前を通った。


まぁ…いないよね、きっと。そう思いながらドアをノックしてみる。

勿論無反応で、絶対無人とわかっているけどそれでもドアを開けてみた。



いないねー誰も。うん知ってた。



ゆっくりとドアを閉める。気を取り直して、ヴァン先生の部屋に向かって歩き出した。



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