私の魔法ってそんなに珍しいんですね 3
「つっかれたぁぁあ〜。」
寮の自分の部屋の扉を開けてソファに座り込む、今日はいろんなことがあったなぁ。
めちゃくちゃ美人な御令嬢に庇ってもらうわ、ランチ誘われるわ、王太子殿下現れて御令嬢の婚約者とか言い出すわ…。
私の魔法は想像以上にとんでもないものだったと判明するし。
「お腹すいたなぁ…でも今日の授業の復習もしないと。流石にノー勉で補習受けに行くのは失礼過ぎる。」
無理矢理気力を呼び起こし教科書を開いた。その後時間をみてカフェに夕食を食べに行き、夜も可能な範囲で勉強を進めた。昨日は食べ損ねた夕食はこれまた絶品だった。
次の日。
今日の授業に必要な教科書の他に昨日の分の教科書も鞄に詰めて登校した為、肩紐部分が昨日より食い込む。でもそんな事は言ってられないのでその状態のまま教室に向かった。到着後、昨日同様後方端の席に腰を下ろす。荷物整理をしていると誰かが隣の席に座った。
「おはよう御座います、トゥシェさん。」
「フルール様!おはようございます…席ここでいいんですか?」
「お友達の隣に座る事に何か問題でも?」
くっ、朝からそんな女神のようなお顔立ちを至近距離で…目が潰れそう。って、今私のこと…
「…お友達、ですか?」
フルール様は思わず溢れた私の言葉きキョトンとした後、眉を少し八の字にした。
「…お友達と思っていたのは、私の方だけだったのですね…。」
「えっ?…あー違う違う、違います!!私だってお友達になれたらって思ってます!でもその、公爵令嬢様と、平民だし…。」
そりゃ、私だって友達になりたいけど。田舎娘には恐れ多いというか、何というか…。
「トゥシェさん。昨日も言いましたが、私は学ぶことに身分は関係ないと思っています。そして同じ学舎で学ぶ者は友になれると。…私は、貴女と友達になりたいのです。お友達になって頂けませんか?」
ペリドットの瞳に優しく見つめられた。そうだ、この人は昨日初めて言葉を交わした瞬間、既に身分など視野に入れていなかった。私、友達になっていいのかな?
彼女を傷つけてしまったかもしれない、申し訳ないことを言ったなと思いつつ、今求められているのは謝罪ではないと感じとる。ゆっくり、彼女の手を取った。
「勿論です!私みたいな人間で良ければ、是非友達になってください!」
フルール様の瞳を真っ直ぐ見つめ返した。ペリドットが柔らかく細められた。
「ありがとう、トゥシェさん。」
「フルール様トゥシェ様、私も混ぜてください!」
「私も!」
「私も、お友達になって欲しいですわ!」
昨日フルール様に嗜められてた御令嬢トリオがいきなり参加してきた。びっくりしたけど悪い気はしない。彼女達だって、昨日私にグイグイきたのは私のことを知りたくて興味を持ってくれていたからだろうし、だったら私も友達になりたい。グイグイトリオに勿論です!と返事をすると、ぱあっと明るい表情になった。
その後、雰囲気を察したクラスメイト達がどんどん集まってきて、気づけば私とフルール様の周りに人集りが出来ていた。皆友達になりましょうと言ってくれる、嬉しいなぁ。ラン、村の皆、私学園で友達が出来たよ。
ただ一点だけ、友達になりたかったら私に様付けをしないでくださいと全員に頼み込んだ。
午前の授業が終了した。昨日同様わからないことだらけで質問したい内容は膨れる一方だ。はぁ、と息が溢れるが、お腹の虫の方が立派に鳴いたのでため息は掻き消された。はやくお昼ごはん食べたい。
「フルール様、今日も昨日と同じ場所でランチしますか?」
「ええ是非。…ただ私ちょっと寄るところがありまして。後で追いかけるので、先にベンチでランチを召し上がっていててもよろしいですか?」
「そうなんですね。私全然待っときま」
ぐ〜…
…何故ここで鳴るのだ、我が腹の虫よ。フルール様笑ってるし!
「私のことはお気になさらず、お体の為にも行ってきてください。」
「…そうさせていただきます。」
恥ずかしい。けど有り難い。
足早にカフェに向かってランチを注文、受け取った食事を手にカフェ裏のベンチに向かった。早急に空腹を満たすと、お腹の虫は鳴りを潜めた。
「はぁ〜…今日もいい天気。」
見上げると青空が広がっている。ボール村からも同じ色の空が見えてるかな。
視線を上にしていたら足音が聞こえてきた。フルール様やっと来た、そう思って顔の向きを変えた。




