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私の魔法ってそんなに珍しいんですね 2



「…運命を変えられるって、どういう事ですか?」



ちょっとスケールが大きすぎてピンと来なかった部分を聞き返す。



「例えば私達が出会った日、本来であれば私はあの場所で死んでいた。一命を取り留めていても今のように五体満足じゃなかったかもね。けれど、トゥシェさんがその未来を予知した事で私は助かったんだ。私の運命は、君の魔法によって変わったんだよ。」



学園長先生が私を真っ直ぐ見つめて微笑んだ。

そうか。私、今目の前にいる人の運命を変えたんだ。



「時の魔法は、過去や未来を知ったり、過去や未来に干渉する事で運命を変える。心の魔法は、他人の心を覗いたり、他人の心を操ったりする事で運命を変える。両者は共に、国を豊かにも出来るし破滅に導くことだって出来るんだ。

だからこそ、トゥシェさんにはこの学園でしっかりと学んでその力を明るい未来に繋げて欲しいと、私は思っているよ。」



またスケールが大きい話にとんで実感が湧かないけれど、この人が私の事を大切に想ってくれている事は伝わってきた。



「ありがとうございます…!」





いつまでも喋ってばかりもいられないので学園案内を再開してもらった。あらゆるところから生徒の声が聞こえるので魔法の分類はいくつあるのか尋ねると、だいたい30くらいかなぁとさらっと言われた。そのほとんどが使えるって、この人どんだけチートなの…?



「そういえば、時の魔法はどこで実技してるんですか?明日から参加する事になるので挨拶に行きたいです。」



途端にグリモワールさんが苦笑いした。あれ、至極真っ当なことを言ったつもりだったんだけど。



「…今、この学園に在籍している者の中で時の魔法を使えるのは、君と、あと1人しかいないんだ。」

「嘘でしょ!?」



どんだけレアリティ高いんだ!でも何で、それで苦笑い?



「…恥ずかしい話だけど、現在時の魔法を使える教師は誰もいなくてね。最初は真面目に登校していた彼も、元々優秀だったが故に教えを乞う相手が居なくなり、やがて学園そのものに来なくなってしまったんだ。」



いわゆる不登校か。部屋に引きこもって親御さん心配させてるのかな。



「彼の家は軍人家系で魔力より武力って考えだから、魔法をコントロールできている彼を魔法学園に行かせる必要は無いと思っているんだ。だから、保護者も不登校に対して何も思っていない。まぁ彼の場合、トゥシェさん同様に時の魔法の使い手であったが故にこちら側から頼み込んで入学してもらった部分もあって、私も強く出られないんだよ。」



親も不登校ウェルカムかい!!



「…じゃあ私、明日以降の午後どうしたらいいんですか。」

「安心して。ヴァン先生に頼んであるから。」

「ヴァン先生って、私の担任の?でも先生、時の魔法使えないんでしょ?」

「時の魔法は使えないけど、座学に関して彼はオールマイティだよ。トゥシェさんはこの学園に来たばかりだから、授業についていくのが大変かもしれない、と思ってね。彼にも予定があるから毎日という訳にはいかないけど、午後の都合が良い日は座学の補習をお願いしたんだ。明日は都合がつくらしいから、彼の部屋で補習してもらうといい。」

「グ…学園長先生!ありがとうございます!!」



助かった…勉強ヤバいと焦ってたから有り難すぎる。心遣いを無下にしないよう頑張らねば!



その後、一応時の魔法の実技スペースとして充てがわれている部屋を紹介してもらった。部屋はもぬけの殻状態ではあったけれど、綺麗に掃除はされていた。



「学園長先生、心の魔法を使える人は今学校にいるんですか?」



時がこの状態なら、心も同様なんだろう。



「残念ながら心の魔法の使い手は、今この学園に誰もいないよ。」



まさかの!私より更にレアリティ高かった!



「…昔、1人だけ在籍していた時期があったけどね。」



そう零すグリモワールさんは、どこか悲しげで切なげで、でも優しい眼差しをしていて、私はこれ以上心の魔法について尋ねることが出来なかった。





半日かけての学園案内はボリュームたっぷりで幕を閉じた。去り際、



「そうそう、私の事は無理に学園長と呼ばなくていいですよ。」



と軽やかに言われてしまった。

無理して修正かけてたの、バレてたみたい。



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