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魔法学園での生活が始まります 6

本日2ページ更新しています。こちらは2ページ目となります。



【フラムside】



長期休暇が終わり、今日から新学期が始まった。俺にとっては学生最後の半年となる。

休暇の間は王太子として今まで以上に公務に出ることが多かった。周囲からはそつなく公務をこなしているように見えたらしいがまだまだだ。政治的な能力も、知識も、武力も、魔法も。こんな俺のままでは、いつ王太子の称号を剥奪されるかわからない。



カフェの一角にある半個室で友人…と向こうは思っているであろうクラスメイト数人とランチを済ませた後、1人になれる場所を求めてカフェの付近を散策するも、お昼時故に人が多い。流石にここは大丈夫だろうとカフェの裏側まで来たが、どこからともなく女の話し声が聞こえてきた。


ここもダメか。


そう思い引き返そうとした時、遠目に声の主の姿が見えた。

木陰のベンチに腰掛けるローズピンクの髪に見覚えはあったが、その隣の女子生徒は初めて見る風貌だ。

あれはフルールだな、あんな所でなにやってるんだあいつは。隣の女は誰だ?




「…フルール?こんな所で何してるんだ?」



なんとなく気になって思わず声をかける。何ををしているんだは俺の方か、1人になれる場所を探していたはずなのに。



「フラム様ご機嫌よう。この場所で彼女とランチをしていたのです。」

「珍しいこともあるんだな。」



相変わらず令嬢の鑑のような対応だ。面白くない。

隣の女を見ると、なんと淑女の礼ではなく普通のお辞儀をしていた。なんだこいつは。

顔を上げた女は、如何にも興味津々といった表情で俺を見た。



吸い込まれそうな程大きなラピスラズリの瞳と、一瞬目が合う。



その時、胸の奥で何か跳ねた気がした。



「フラム様、こちら、本日より私のクラスに編入してきたトゥシェ=ルルーさんですわ。」

「!はじめまして、トゥシェ=ルルーといいます!」



名ばかり婚約者が彼女を紹介した。トゥシェ=ルルーか、編入してきたということは、学園長が言っていた時の魔法の使い手だな。名乗りと共に再度お辞儀をする姿が愛らしい。



「トゥシェさん、こちらはフラム=トゥール=ド=ソルセルリー様。このソルセルリー国の第一王子で王太子殿下ですわ。」



フルールが、今度はトゥシェに俺の紹介をする。会釈をして自らも名乗ろうとした矢先。





「王太子殿下!?!?」



鼓膜が破れんばかりの大声で叫ばれた。しかも裏返っている。

何が起きたのか一瞬わからなかったが、彼女は大変驚いた顔をしたかと思えば瞬時に瞳をキラキラと輝かせ口角もグイッと上がった。

あまりの表情の豊かさに思わず笑いそうになる。それに気づいた彼女が顔を真っ赤にした。かわいい。



「…っすまない、君の表情がコロコロと変わるのが面白くて…」



流石に失礼だと思い軽く咳払いをして誤魔化した。挨拶として手の甲にキスを落とそうと、彼女が手を差し出せる様こちらから右手を出す。



「フラム=トゥール=ド=ソルセルリーだ。よろしく頼む。」




…おかしいな?普通ならここで女性が手を出してくれるはずなんだが、彼女はなかなか出してくれない。ちらっと目線を自分の手から彼女にうつすと、なんと百面相をしていた。そして俺の右手に手を乗せるではなく、自らの両手で俺の手を包み込んだのだ。



衝撃的だった。彼女の小さくて柔らかい両手のひらから彼女の体温が直に伝わってくる。さっきまでの百面相はどこへやら、セピア色のポニーテールを靡かせて、満面の笑みで彼女は言った。



「こちらこそ、よろしくお願いします!」



包む両手に一瞬だけ軽く力が入れられた。全神経が右手に集中しているかの様で、顔が、いや全身が熱を帯びる。



心の中で跳ねた何かが、その瞬間大きく弾けた。



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