魔法学園での生活が始まります 5
その後は2人で和気藹々とランチを食べた。フルール様が私に様付けをするのがムズムズしていたので、頼み込んでなんとかさん付けで呼んでもらえることになった。食べ終わってから流れで魔法の話になり、フルール様の魔法について尋ねると彼女が使える魔法は植物の魔法だと教えてもらった。
「でも私の魔力はそれほど強くないのです。出来ることといえば、弱っている草花に少し元気になってもらう程度ですわ。トゥシェさんは、どのような魔法をお使いになるのですか?」
「えっと、私自身もあんまりよくわかってないんですけど、『時の魔法』ってやつらしいです。」
「時の魔法…。」
フルール様が目を見開いた。驚いた顔も美しい…ってそうじゃない。やっぱり珍しいのかな。
「私は、両手で触った物に関する過去や未来を視ることが出来るんです。ただ発動がランダムで役には立ってません。そのコントロールのためにここに来たっていう感じです。」
「まぁ、そうだったんですね…だから先程教室で、魔力が強いと。」
「はい。全部グリモワールさんからの受け売りなんですけどね。」
思わず苦笑いした。そうだ、私の魔法に関する認識は全てグリモワールさんからの受け売り。私はもっと、自分自身を知らなくちゃいけないんだ。そう思うとちょっと怖くなった。
「…フルール?こんな所で何してるんだ?」
隣に座る彼女を呼ぶ声に彼女と同時に声の方を見ると、見知らぬ男の人がこちらに歩いてきていた。フルール様が立ち上がって淑女の礼をとる。慌てて真似しようとしたがやっぱりやり方がわからないので、普通に一礼した。
「フラム様ご機嫌よう。この場所で彼女とランチをしていたのです。」
「珍しいこともあるんだな。」
うわぁ生ご機嫌ようだ!!流石貴族様!!
フルール様のご機嫌ように返事をした彼は、眩いブロンドの髪にガーネットのような紅い瞳をしていた。この人もめちゃくちゃ美しい。フルール様と並んでも遜色ない、いや、お互いがお互いの美しさを引き立てあって絵画の様だ。拝んどこう。
「フラム様、こちら、本日より私のクラスに編入してきたトゥシェ=ルルーさんですわ。」
「!はじめまして、トゥシェ=ルルーといいます!」
「トゥシェさん、こちらはフラム=トゥール=ド=ソルセルリー様。このソルセルリー国の第一王子で王太子殿下ですわ。」
心の中で手を合わせていたら急に紹介されたので慌てて対応する。ほーん王子様かー確かにそんな感じのルックスしてるなー……
…はい?
「王太子殿下!?!?」
思わず大声を出してしまった。しかも裏返った。
存在は知っていたけど、悪役令嬢小説にもほぼ皆勤賞なポジションだけど。
遠目で見て楽しめたらいいなくらいのスタンスだったのに、編入初日に挨拶とかラッキーがすぎる!!!!
クスクスと聞こえた気がして我に帰ると笑いを堪える2人の姿があった。途端に恥ずかしくなって顔が熱くなる。
「…っすまない、君の表情がコロコロと変わるのが面白くて…」
王太子殿下はコホン、と軽く咳払いをしてずっと右手を差し伸べてきた。
「フラム=トゥール=ド=ソルセルリーだ。よろしく頼む。」
えっと、この手どうしたらいいのかな、私からのアクション待ちだよね。何かルールあるとしてもわかんない…ええいままよ!!!!
「こちらこそ、よろしくお願いします!」
差し出された殿下の右手を自分の両手でギュっと包み込んだ。王太子殿下の顔が赤くなった。どうやら私の顔の熱さがうつったようだ。
「フルール様は、王太子殿下と親しいのですか?」
バッと手を離してフルール様へ疑問を問いかける。教室での周囲の反応や今までの立ち振る舞いを見ていれば、彼女が貴族の中でも位が高いことは平民の私でも予想がつく。
「親しいも何も、殿下は私の婚約者ですので。」
「フルールの父はこの国の筆頭公爵、クレモン=ド=モーヴェ公爵だ。俺も幼い頃から良くしてもらっている。」
えっっ
えーーーーー!?!?!?
なにそれなにそれ!?王太子の婚約者の公爵令嬢!?そんな悪役令嬢小説のテンプレ的設定な関係なんですか!?美味しすぎるでしょ!!!!
でもこの世界が本当に小説に出てくるような乙女ゲーム、世界ならフルール様は悪役令嬢のはず…こんな素敵な方が?もしかしてフルール様も転生者で、記憶があるが故に悪役令嬢にならなかった?いや、流石に考えすぎか。
私小説は腐るほど読んでたけど乙女ゲームには興味なかったんだよね。こんなことなら乙女ゲームにも手を出して、悪役令嬢のいない設定のゲームもあるのか調べればよかったな。
本日2ページ更新します。次ページは22時頃公開予定です。




