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卒業パーティー当日となりました 5



磨かれて埃ひとつ付いていない姿見の前に立たされ、ドレス用のコルセットをつけられる。体のラインを綺麗に見せるためと分かってはいるけど、ギュッとウエストを締められる瞬間はどうしてもグエッてなります…。お次は以前選んだドレス。光の当たり方によってキラキラと輝く瑠璃色のそれは、纏うと瞳の色と相まって想像以上にしっくりきた。なんなら前に着たピンクのドレスより好きかもしれない。


からの今度はヘアセットとメイクアップ。メイドさん達にドレッサーの前の椅子に座るよう促されて腰を下ろす。今回のメイクはドレスのイメージに合わせて可愛い感じよりも綺麗めを意識してもらう事になっている。髪型も、特に何もいじらずストレートに下ろす予定。丁寧に櫛でとかれた後、毛先だけ緩めに巻いていただいた。

シンプルなアクセサリーをつけ、最後に持参した白いパンプスを履いたら完成!姿見の正面に戻り、恐る恐るそこに写る自身の姿を見た。




「うわぁ…!」



…今までのドレスアップと全然違う!!

ドレスやメイクの雰囲気でグンと大人っぽく見える。それに、肌やら髪の艶が何度脱皮したの?ってくらいキラキラで…お風呂からのエステ効果か!?


新しい自分を見た気がして胸が高鳴る。その場でクルクル回ってみせる私の後方に立つメイドさん達も、心無しか嬉しそうな表情をしていた。嬉しそうというか、達成感に満ちた感じって方が近いかも?彼女達は私の出来栄えに小さく拍手をしてくれた。



コンコン



「フルールですわ、入ってもよろしくて?」

「あっはい、どうぞ!」



どうぞ!って言ったは良いものの、私が許可して良かったのかな?メイドさん達咎めなかったから良かったんだよね、うん。

ガチャリとドアが開かれ、声の主が室内に入ってきた。




「…っ!!?」



フルール様…めちゃくちゃ綺麗なんだけど!!!!

涼しげな水色にシャンパンゴールドのリボンがあしらわれた愛らしくも上品なドレス。長くウェーブのかかったローズピンクの髪は、少しの後毛を残してアップスタイルに纏められていて。普段の大人っぽい印象とは異なる年相応な美しさを彼女から感じた。

鼻血出そう、耐えろ私…!



「トゥシェさん、本当にお綺麗です。今まで見てきたあなたの中で、最も美しいですわ。」

「それはフルール様の方です!あんまりにも素敵なので鼻血が出るかと思いました。」

「面白い冗談ですこと。」



冗談じゃ無いです。そんな麗しいお姿で微笑まれたら、ギリギリ耐えてる私の鼻の血管がまじで崩壊しそうです。私は血管保護のために一旦彼女から視線を逸らした。




「…今日という日のあなたを誰よりも美しくする手伝いが出来て、私は光栄ですわ。」

「光栄?」



私を着飾っても彼女にメリットなんて無いと思うんだけど…強いて言うなら楽しんでもらえてるのかな?ってくらい。思わず首を傾げる。



「気にしないでください、個人的に思う事があるだけですの。」

「はあ。」



フルール様は何を思っているんだろう?気にならないと言えば嘘だけど、尋ねても教えてもらえない気がしたので突っ込みはしなかった。

時計を見ると既に16時半。卒業パーティーの受付は17時から始まるので、そろそろ王城に向かう準備をしないと18時のパーティー開始に間に合わなくなる。私達は屋敷の入り口に向かう事にした。



卒業パーティーは生徒だけでなく、生徒の親族や親しい間柄の者も参加するのが通例らしい。

私?辺境に住む平民の家族を王城で行われるパーティーの為に呼び寄せるなんてしませんよってか出来ません。つまり私はある意味ぼっち!


けどフルール様はそうじゃ無い。彼女は貴族で、彼女の父親はこの国の重鎮だ。

故にパーティーへ向かう馬車には、私とフルール様の他にフルール様のご両親も乗る事になっている。まさかこの国の筆頭公爵とその奥様と同じ馬車に乗る事になるだなんて…お2人が素敵な方達なのは知ってるけど、それでもやっぱり緊張する!!



私とフルール様が玄関に到着すると、そこには既に彼女の両親が立っていた。お2人に待たせてしまった事を謝罪するも、気にしないでいい、ドレスがよく似合っているねと優しく話してくださった。



「では、そろそろ行こうか。」



モーヴェ公爵について行きいつもより大きめの馬車に乗り込んだ。動き始めた窓から見える空は、徐々に茜を帯びていく。やがて茜に照らされた白亜が近づいて、馬車はそこに吸い込まれていった。



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