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卒業パーティー当日となりました 4



教室に辿り着くと、既にフルール様以外の生徒はそこにいなかった。私が戻ってきた事に気づいた彼女は優しく微笑む。けれど、どこへ行っていたのか、何をしていたのかは一切聞いてこない。ただにこやかに「お待ちしてました。」とだけ言うと、何事もなかったように私が帰りの荷物をまとめるのを見て、それが済むと一緒に教室を出た。



何も聞かれなくて安心した。


フルール様は優しいけれど優しいだけじゃ無い。お節介かなって思うくらい色々してくれる時もあるのに、本当に辛い時は絶対に無理矢理介入しこないの。ただ寄り添ってくれる、それだけ。たまに核心ついてくるけどね。



フルール様がヒロインなら良かったのに。

彼女みたいな人がヒロインだったら、誰も選べない上に返事すらまともに出来ない…なんて最低な事はしないはず。どのルートに行くか瞬時に決断して、思い描くままに楽しい乙女ゲームライフを送るんだろうな。



正面玄関にはぽつんと馬車がひとつ。「遅かったですね、何かあったのですか?」と尋ねてくる御者さんに対しても、フルール様は私のせいで遅れたという事を一切言わなかった。

揺れる馬車の中、私は元気がない事を悟られないよう必死に楽しそうに振る舞った。フルール様相手だからその辺もぜーんぶ見透かされてるかもしれないけどね。


ふと窓から外を見る。行き交う人々はとても楽しげで、私のワクワク吸い取った?と感じてしまうくらいだ。この王国ってゲームの世界だからか髪や目の色が割と派手なんだよね。セピアの髪に瑠璃色の瞳の私は地味な方。なんでヒロインのキャラデザがこんなにシンプルなんだい運営よ?シンプルな方がゲームする人が感情移入しやすいだろう!とか思った結果ですか?


その時、人混みの中に一瞬、私の瞳と同じ色の髪を見た気がした。驚いて2度見した時にはもう、どこに行ったかわからなくなってしまったけど。





「お帰りなさいませお嬢様。フルール様、本日もお越しいただきありがとうございます。」



フルール様の屋敷に到着し、スクレさんを中心としたメイドさん達にお出迎えされる。昨日もだし、その数日前だってこうやってお出迎えしてもらった。初めて来た日は『お嬢様だって!!』とかテンション上がっていたけど流石に慣れてきた。この国筆頭公爵のお屋敷でのお出迎えに慣れるって、どんな平民よ…。



私は制服のまま、フルール様は一旦楽そうなワンピースに着替えて2人でランチをいただく。私ようにもワンピースを用意しますと言われたけど、どうせこの後ドレスに着替えるし、本気で好意に甘えすぎだと思うので丁重にお断りした。


テーブルの上には柔らかいパン、温かい野菜スープ、高級フレンチに出てきそうな鶏肉のソテー等々。勿論美味しいんだけど、いつものように素直に美味しい!と笑顔で言うことが出来なかった。




食後の紅茶を頂いたらいよいよドレスへのお着替えです!



…と、思っていたら。




「…どうして私は今、お風呂に入っているの!?」




着替える前にまずは身体を綺麗にしましょう。そう言われた時は、確かにその方が良いな、くらいにしか思わなかった。清潔なタオルで身体を拭うなり、せいぜいシャワーをお借りするものだと。


ところがこれはどういう事でしょうか?

案内された場所は広い湯船のあるお風呂場だった。びっくりしていると、あれよあれよという間に服は剥ぎ取られ湯船に浸からされ…ここまでならまだいい!1番謎なのは!

どうしてメイドさん達が、私の身体を洗っているの!?!?



「待ってくすぐった…ストップストップ!このくらいは自分でしますからぁぁあ!!」



際どい場所に泡を滑らせようとするメイドさんに慌てて静止をかける。彼女は一旦手を止めたものの、至近距離でにこやかに言った。



「…お嬢様から、トゥシェさんを徹底的に磨き上げるよう仰せつかっておりますので。」



笑顔かわいい…じゃなくて!発言終了と共にメイドさんは手の動きを再開。私はまたストップするよう言うけれど、聞いてくれなくなってしまった。



赤面必須のお風呂タイムがやっと終わったかと思えば、次は何故か台の上にうつ伏せで寝かされて。タオルはかけられているけどそれを除けば裸のまま、これって、もしや…?



「それでは始めますね。」

「ヒッ!?」



女の人の声とほぼ同時に、ひんやりぬるっとした感触が背中を襲った。次に誰かの手が添えられて、ひんやりしたものが背中全体に広がると共にじんわりあったかくなっていく…気持ちが良い。これ、いわゆる『エステ』ってやつですか?何故こんな事に…。


そして私は身体中のあちこちをマッサージされ、お肌ツヤッツヤのプルンプルンになった状態でドレスが用意されている部屋に案内された。



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