Episode 19:「Jump!! High!!」~跳べ!高き望み求めて~
隆太の家に、ねぶた祭りに行こうと誘いに来た友加里。 隆太は何も支度していなかったので、少し戸惑ったが、友加里に促されて、出掛けることにした。
隆太の胸の内は複雑だった。 何せ、こうしてどこかへ友加里と出かけられるのも、これが最後になってしまうかもしれない…。 そう思うと、思い出を作るべきか、それとも、あえて作らざるべきか…。
強い悩みはあったが、そんな迷いは、友加里をイライラさせてしまった。
「なんだよぉ…!! 出掛けるのイヤだっていうのぉ!? あんたとウチとでどっか行けるの、もう殆どチャンスないんだよぉ…?」
「う…うん…。 でも、、、僕、ねぶたは観たことしかないから、跳ねるのはちょっと…」
友加里は、ぐいっと隆太の腕を引き寄せて…
「心配ないって。 実は今日、愛莉のお兄ちゃんが実家に帰って来てて、みんなの衣装とかも借りて来てくれてるんだよ。 愛莉のお兄ちゃん、仙台に就職してて、妹の愛莉はもちろん、家族や友達にも会えないでしょう。 今回はたまたま、ねぶたの期間に休みが取れたらしくて、私達にも中学生活最後のねぶた祭りを楽しんでもらおうってことで、あきらも含めて声かけてるんだよ。」
「そ、そうだったのか…。 あ、でも、帰りが遅くなっちゃうね。 どうしよう…??」
…話を聞いていた流美が、会話に割り込んで来た。
「心配ないよ。 アタシが車で二人を送ってあげるから。 アタシだって、久々にねぶたで跳ねてみたいしね♪ アタシは、自前の衣装持ってるから大丈夫だよ。 電車だとぎゅうぎゅう詰めで大変だからさ、アタシに任せなさいな。 あ、言っとくけど、後ろの席でイチャコラしたらアタシ怒るからなwww」
友加里と隆太は、互いに「心配ないよ!」…と言いたかったが、お互いに緊張したまま後部座席にペアで座り、最初のうちこそじっとしていた二人だが、友加里はこっそりと隆太の手を握った。 すかさず隆太も手を握り返し、やがて身を寄せ合い、友加里は隆太の頬をツンツンしたり、髪の毛をクルクル指で巻いたりし始めた。
流美はその様子を、ルームミラーで見ていたのだが、一応、大人の女性としての貫禄も示さねばならないと思い、「やめんかー!!ww」…と叫びたい感情を、グッとこらえた…。
街はねぶた祭り期間中だけあって、かなりの人出で賑わっていた。 何とか隆太たちは、愛莉たちと待ち合わせの約束をしている場所へ辿り着いて、そこでハネト(跳人)の衣装と花笠(ねぶたの正装)に着替えた。
「おっ!! みんな似合ってるぜ!! ナイスだ!!」
…その声の主は、愛莉の兄、愛希であった。 隆太たちは以前、愛莉が交通事故に遭った時に少しだけ言葉を交わした程度だったが、今回はじっくりとお話ができそうだ。 お祭りに行く前に、お互いの色々な話に花が咲いた。
愛希「みんな、この前は愛莉がみんなに大変な心配かけちゃって、本当にごめんね。 おかげで愛莉はだいぶ良くなったんだけど、今日は流石に跳ねられないから、みんなの後をついていくことにしてるんだ。」
愛莉「うん。 本当は、あまり歩かない方がいいって言われたんだけど、コース一周くらいなら何とか大丈夫そうだから、みんなと一緒にお祭りに参加したくて…。クスン…」
…愛莉が唐突に涙を浮かべた。 用心のために持っていた杖を、カラン…と床に落として、シクシク泣き出した。
あきらが駆け寄り、「どうしたの?」と声を掛ける。
「うん…。 何だか、悲しくなっちゃって…。 みんなと一緒のお祭り、これで最後になるかもしれないのに、あたしだけこんな身体で…、みんなに、悪いような気がしちゃって…。。。」
愛莉の弱音を聞いた隆太は、すかさず彼女をフォローした。
「愛莉! もうそんな話はよそうよ。 僕達はみんな気持ちは一つじゃないか! それに、…僕だってあまり跳ねるのって上手じゃない…っていうか、恥ずかしい…ww だから、心配ないって!!」
友加里も、隆太の言葉を後押しするかのように…
「そうだよ愛莉。 ウチはまぁその…、バカ騒ぎが大好きな女だから思いっきり跳ねるつもりだけどwww それは、愛莉に元気になってもらおうと思って跳ねるんだよ! 確かに、ウチら、中学卒業したら、みんなバラバラの道に進むけど、夏にまた会おうって約束しようよ!! 生きていれば必ずまた会えるよ!! だから、愛莉が高校行っても、ウチ達の心は繋がっているってこと、教えてあげるって!!」
愛莉は、悲しみの涙を感動の涙に変えて…。
「うん…。みんな…、、、ありがとう!!」
…そんな4人の結束が固まった傍らで、愛希が流美に声を掛けた。
「あの…えぇっと、あなたは確か、隆太くんのお姉さんですよね?」
「ふえっ…!?は、、、はぁい…!! あのバカ弟のバカ姉です~…www」
流美は当惑してしまった。 自分より2~3歳年上の男性に声をかけられて、胸がドキドキしてしまったのだ。 実は流美は、以前、愛莉が事故に遭った時に運ばれた病院で少しだけ話をしていた。 その後もずっと、愛希の事が気になっていたのだ。 流美は現在21歳彼氏ナシ。 ここでハートがときめかなければウソだろうと思っていた。
「流美さん…。すみませんね、僕の車だと、みんなをお迎えに行っても乗せきれないもので…」
「い、いやぁ~ww ど、どうってことはないですよ~www だいぶ運転にも慣れてきましたからね~♪ 弟たちの部活の送り迎えとかで、ドライビングのテクニック磨きましたよ~(笑)」
「あははwwwそりゃ凄いね。 …だったら、もしよければそのテクニック、もう一度披露してみる気はないですか?」
「…へ?」
愛希も、顔を赤らめて流美に語り掛けた。
「いえね、ご存じの通り、7日は花火大会と、ねぶたの海上運行でしょう。 俺が場所取りしておくから、7日にまたみんなで集まって、花火と海上ねぶたを楽しもうと思ってね♪ 愛莉たちにとっても、みんなでお祭り楽しめる最後のチャンスになると思うんで…」
…流美は、少し胸のドキドキを隠し切れない様子で返事をした。
「はは…はいっ!!喜んで!!」
「よかった♪ じゃあ、待ち合わせの場所とか後で連絡するから、メアド教えておくね。」
愛希は、サッとポケットからメアドの書かれたメモ用紙を取り出して、流美に渡した。 もちろんこれは、愛希の計画通りの行動だった。 愛希だって、流美を頭の中でずっと意識していた。 近づくチャンスを窺っていたのだった。
「あれ? どったのお兄ちゃん?? 顔、めっちゃ赤いけど…??」
「ああ、、、愛莉ぃ…なんでもねぇってwww ささ、、、早くしないとお祭り始まっちゃうぞ…ww」
流美も、その場の空気に耐えかねた様子で…
「ほらほらアンタ達www 早く行きましょうっての!!」
…隆太たちにとって、みんなで楽しむ最後のねぶた祭りが幕を開けた。 4人の脳裏には、それぞれの未来が大きく異なるがゆえに、再会しようなんて軽々しく話しても、実現するかどうか保障はなかったので、強い安心感は持てなかった。 しかし、それはあまり深刻に悩んでも仕方がないので、みんなは今宵の祭りで、青春の情熱パワーを燃やすことにした。
「ラッセーラー!! ラッセーラー!! ア ラッセーラッセーラッセーラー!!」
友加里とあきらはお祭り好きな性格なのか、太鼓とお囃子の音に合わせて激しくジャンプした。 愛希も流美も、本当は思いっきり跳ねて騒ぎたいと思ったが、お互いへの意識が先走ってしまい、少したどたどしい跳ね方になってしまっていた。
隆太は暫く、愛莉と一緒に歩いていたが、あきら達の、額に汗が浮かび、服の鈴がちぎれて飛ぶような乱舞を見ていたら、隆太に申し訳なさを感じたようだった。
「…隆太、あたしのこと気にしないで、思いっきり跳ねちゃいなよ!!」
「えっ…!? …でも、僕は跳ねるの下手だし、恥ずかしいし…」
「何言ってんのよこんな時にぃww せっかくみんなで集まったんだよ! あたしも声で応援するから、跳ねろって!! ほら!! ラッセーラー!! ラッセーラー!!」
思いがけず、愛莉から応援を受けてしまった隆太だった。 でも、確かに愛莉の言う通りだ。 最後になってしまうかもしれない、みんなと過ごす青春の夏を楽しまないなんて損だ。 隆太は恥ずかしそうな表情をしながらも、「ラッセーラー!! ラッセーラー!!」の声を張り上げ、太鼓と囃子に合わせて高々とジャンプした。
愛莉も笑顔になり、隆太も気分が高揚してきた。 気が付くと友加里とあきらは、我を忘れて跳ねまくっていた。
…それはきっと、これから来たる試練や不安を少しでも払いのけ、なおかつ、今しかない若い自分の時間を、全力で楽しんでおきたいという願望の現れだろう。
これから迎える淋しさや苦しさは、ひとまず夜空のクラウドに預けておいて、アツく燃えるねぶた祭りで、完全燃焼してしまいたい! きっとそんな気持ちが、友加里やあきらを乱舞させているのだ。
愛希と流美も、徐々にみんなを見ていたら跳ねてみたくなってきた。 そこで愛希は勇気を振り絞り、流美の前で自慢のジャンプを披露した。
「ラッセーラー!! ラッセーラー!! ほら!!流美さんも一緒に!! ラッセーラー!! ラッセーラー!!」
流美は、学生時代に戻ったかのような懐かしさを感じていた。 流美もやはり、中学、高校を卒業してきたことで、親友と多くの別れを経験した。 いま、地元にただ一人残っていた流美は、リアルに付き合える友達が少なく、お祭りへ行くのも一人では面白くないという理由で、躊躇っていたのだった。
だが、愛希の表情やリードは、何だかとても暖かく、まだお互いのことをさほど知らないはずなのに、ずっと長い付き合いのあった友達のように思えてしまった。 いや、それは愛希だって同じだ。
流美は、学生時代に毎年、毎夜のようにねぶたで跳ねていた。 その血が騒ぎ、やがて自分から、「ラッセーラー!! ラッセーラー!!」の声をあげ、愛希と笑顔で夜の青森でジャンプした。
「友加里!!最高じゃん!! 俺達、離れてもずっと一緒だぜ!! またここで、一緒に跳ねようぜ!!」
「あきら…。 当たり前じゃん!! またみんなで集まろうよ!! 絶対だよ!!」
隆太たちも、汗を拭いながら語り掛けた。
「友加里!! 卒業しても、どんな仕事に就いても、僕とずっと仲良しでいてくれよ!!」
「あたり前じゃん!! 隆太だけじゃなく、みんな私にとって、大切な友達なんだもの!!」
愛莉も、何か胸に込み上げる感情を抑えきれなくなり…
「み、、、みんな!! 本当にみんなと友達になれて、、、あきらと、カレカノになれて…、ホントに、本当によかったよ!!!!」
…4人は、お互いに手を組みながら、運行コースの終点目掛けて笑顔で歩いて行った。 愛希と流美も、そんな4人を見ていると、とても微笑ましく思えてきて、お祭りという特別な時間、ムードも相俟って、普段出すことのできない気持ちをいっぱいに解放して、この日の夜は過ぎていった…。
お祭りが終わり、次は7日の花火大会で会うことを約束したのち、隆太と友加里は、流美の車で家路を目指した。
隆太と友加里は、またもイチャイチャするかと思いきや、跳ね疲れて寝息を立てていた。 しかし、手だけはしっかりと繋いでおり、時折寝言で、「ラッセーラー!!…ラッセーラー!!…」と声を出す。
二人はきっと、夢の中で二人きりになり、祭りの続きを楽しんでいるのだろう。
一方の流美は、もちろん疲れてはいたが、それ以上に気になったのはケータイのメール着信であった。 意識してしまう相手、愛希から何かメールが来るかもしれない…。 先ほどは連絡先としてメアドを交換しただけだったが、それだけで済むわけがない…と、本心では思っていた。
残念なことに、この日は愛希からの着信はなかった。 流美も自分からメールを送ろうかと思ったが、帰宅するやいなや、疲れがどっと出てしまい、そのまま眠ってしまった。
…そして、7日の花火大会の日がやって来た。
愛希は朝早く起きて、花火と海上ねぶたが良く見える場所を確保していた。 愛莉は午後に彼のもとを訪れ、その後友加里、あきら、隆太、流美が合流するという計画だった。
友加里は、気合いを入れて(?)浴衣姿での出で立ちであった。 隆太は普段着のままだったが、友加里に促されて、彼も急遽浴衣に着替えた。 そのあとに迎えに行ったあきらもまた、同じように浴衣姿に着替えさせられ、腰にうちわを挟んでの完全なお祭りスタイルとなって、皆は、意気揚々と会場へ向かった。
「おまたせー!愛莉~♪」
「おっつー!!友加里~♪ わぁ~ww みんな浴衣姿とかすげぇ~ww」
…かく言う愛莉も浴衣姿だったのだが、まさか4人揃って浴衣姿になってくるとは予想外だった。
愛莉は、始めてみるあきらと隆太の浴衣姿に興味津々だった。
「おお~~~ww 男子も浴衣似合ってるじゃーんww 何だかかっこいいよ♪」
あきら「そ、、、そんなに見るなよwww ハズイじゃんかぁ…www」
隆太「そ、、、そうだよww 僕の浴衣なんて、ダサいから本当はイヤだったんだけど、友加里が無理やりwww」
友加里「なに言ってんだかwww せっかくの花火大会を普段着で過ごそうなんて勿体ないじゃんww」
流美が、みんなのやりとりを見ていて、思わず「ウフフっww」と笑った。 それを見た愛希は、すかさず流美を手招きして…
「あ、りゅ、、、流美さん!! 俺の隣空いてるよ! ここだとすっごく花火もねぶたも綺麗に見れるよ!!」
「わ…!! ああ、ありがとうございます…」
芝生にレジャーシートを敷いて、花火が始まる前はお弁当で腹ごしらえをした。 そして、十分にお腹が満たされた頃、いよいよ、ねぶた祭りのクライマックス、花火大会が始まった。
「ドォーーーーン!!…」 「ドォーーーーン!!…」
次々と打ち上げられる花火に、会場からは歓声が上がった。 隆太たちもまた、滅多に間近で打ち上げ花火を見ることはないので、そのダイナミックな姿と爆音に心を奪われていた。
一方で彼らの後ろに座っている愛希と流美は、どこかよそよそしく、無言の時間も長かった。
そこで愛希は、何とか会話を作ろうと、辺りに見える施設やねぶたの海上運行の由来などを流美に話した。
「ほら、あの三角の建物が、アスパム物産館で、その下にあるのが、青函博の時に建てられた展望台なんだ。 今日は八甲田丸にも大勢の見物人がいるし、飛鳥IIとダイヤモンドプリンセスも寄港してるんだ。 花火の中には、その船の人達に向けられたものもあって、打ちあがった後に船の汽笛が響くんだよ。 あ、そうそう、ねぶたをなぜ海に浮かべるのかというと、要は、燈籠流しみたいなもので、災厄をねぶたと一緒に海に流してしまおうっていうのがそもそもの由来みたいなんだ。 ま、弘前のねぷたは、最終日に山車を何台か燃やして供養するんだけどね…」
※筆者注:愛希の台詞の内容は全て事実です。
流美もまた、多弁な愛希に少しタジタジだったが、一応、「へぇ~、愛希さんって物知りなんですね。」と答えた。
「あ、いやぁ…、ほとんどガイドブックとかネットでの受け売りですけどね(笑)」
…気が付けば辺りは真っ暗になっていて、海上運行のねぶたに乗った人達が、提灯を左右に振ってこちらにアピールしてきた。 友加里は徐に立ち上がり、両手を振ってさながら子供のようにはしゃいでいた。
隆太も立ち上がるように友加里に言われたが、どうしても恥ずかしくてたまらず、友加里の方が座って隆太たちと一緒に手を振った。
「ホント、友加里はいつまでたってもお子様なんだから…」
「はぁ…?? あきら??なんか言ったか?? え!?」
「ゴホンゴホン!! なな、、、何でもないっての。。。」
そして花火大会も佳境を迎え、三尺玉の連発など盛り上がりは最高潮に達していた。
隆太たちはすっかり花火に魅了されており、時折「おお~~~っ!!」という声を上げる他は、ポカーンと空を見上げているのみであった。
一方で、愛希と流美は焦りと闘っていた。
「ここでもっともらしいことを言えなければ、折角の大チャンスを見逃すことになりそうだ…」
「いけない…。何とか話しなきゃ…。 愛希さん…。」
そして、大きな花火が打ちあがったその瞬間、愛希は全身に宿る勇気を振り絞って流美に告白した。
「ドォーーーーン!!!!」 「流美さん!!お願いします!! 俺と、付き合ってください!!」
流美「・・・・・・・・・・。。。。。。。」 (流美は、花火の音に紛れて聞こえた彼の台詞に、どう答えるべきか、激しく迷っていた。)
続けざまに大きな花火が打ちあがる。 もうすぐで、花火大会が終わる。 併せて、束の間の夏も…。
流美もまた、人生でこれ以上ないというくらい、歯を食いしばって愛希に告白した。
「ドォーーーーン!!!!」 「愛希さん!!ありがとうございます!!こんな私ですが、よろしくお願いします!!」
「流美さん…!!」
「愛希さん…!!」
…クライマックスの三尺玉大連発の音が高々と響き、その明かりで仄かに照らされる芝生の中の彼らは、身を寄せて抱き合っていた…。
そう。 花火よりも鮮やかに輝く恋心の光を放って…。
「花火は一瞬で消えてしまうけど、俺達の恋の花火はいつまでも消えないよ!!」
…流美は、愛希の瞳をじっと見つめていた。 潤んだ瞳からあふれる涙が、彼女の肩を濡らした。
そして、最後の花火が夜空に咲いたその瞬間、二人は初めての「キス」を交わした。 花火が燃え尽きる僅かな時間だけだが、それは二人にとって、とても長い…というよりは、不思議な時間に感じられたのだった。
…花火大会は恙なく終わりを迎えた。 友加里が男子二人に、「あんたら、ずっと口開けっ放しだったけど、そんなに花火が珍しかったのぉ??」と声を掛けたが、あきらも「何だよ!! 友加里だってねぶたに向かって両手をデカデカと降ったりして恥ずかしいwww」…と反論。
「な、なんだよーーーwww ウチはねぇ、またと来ない今の時間を存分に楽しもうってことでねぇ…」
隆太が、ケンカになりそうな火種を悟ったか、すかさず二人を止めに入った。 「まぁまぁ…、それぞれに楽しい方法を満喫しましたってことでOKじゃんかぁwww」
…友加里は、少し都合悪そうに口を閉ざし、帰り道(駐車場まで)を歩いた。
愛莉はそれを見ていて一言。 「ホント、隆太ってパシフィスト(平和主義者)だねぇ。 もっともその性格が、女子に密かにモテる遠因なんだってこと、知ってるのかなぁ??」
愛希が、雑踏でごった返す会場で迷子になっては大変だと、4人に手を繋いで歩くよう命じた。 流石に恥ずかしいので、実際には手を繋がず、固まって歩いただけだったが、愛希と流美は、強くお互いの手を握って離さなかった…。
…それから数日後、隆太たちは知った。 愛希と流美は、自分達の真後ろで愛を告白していたことと、その誓いの口づけも交わしていたことを…。
友加里は「何かロマンチックだねぇ~♪」と悦に入っていたが、隆太の心境は複雑だった。
「僕の姉が、愛莉のお兄ちゃんと彼氏彼女になっちゃっただなんて…www」
その後、お盆が過ぎる辺りに愛希は勤め先のある仙台へと帰っていった。 流美とは遠距離恋愛でお互いの繋がりを維持することにしたが、愛希は1~2週間に一度のペースで、青森へ帰って来ていた。 流美と過ごす時間が欲しくて、徹夜で高速道路を走って来るのだった…。
隆太もまた、自分の恋の事も考えて、未来の自分がどうなっているべきか考える日々が続いていた。 涼子とは夏休み中、何度か水泳の練習をしたり、デートっぽいこともした。 だが、中学3年生の彼は、高校受験を控えているので、夏休みの多くは勉強に時間を割かれてしまい、あまり休みの雰囲気に浸っている余裕はなかった。
やがて、夏休みが明けて、秋の風が頬にヒヤリと感じられるようになったある日、隆太は涼子に、姉の流美が愛莉の兄、愛希と恋人関係になったことを話して、それをどう思うか感想を尋ねた。
「いいじゃん♪すっごいロマンチックだし、最高の告白し合ったんじゃん(≧ω≦)♪ 隆太くん!! 私に告白する時は、とびっきりロマンチックな告白の仕方をお願いねっ(^^♪」
「は、、、はぁ…。。。 な、、、何とか、考えますwww」
「うん。 でも、今はお勉強が大事だろうから、そっちに力を入れて頑張ってね!! 隆太くんが望む進路へ進めるように、私も応援してるからね(*^-^*)♪」
「はい!! ありがとうございます!! 僕、本気で頑張ります!!!!」
短い夏の夜空に咲いた恋模様は、思春期の彼らにとっては刺激的な出来事だった。 だが自分達もやがて、大切な人を見つけて共に歩むことになる…。
それを絵空事で終わらせないためにも、過ぎ行く秋の日も日々勉強に勤しんだ。 いまは苦しい試練に立ち向かわねばならない。 だけど、それを越えた先には、眩しく輝く新しい世界が待っている!!
…隆太たちは、叶えたい夢を一途に信じて、勉強に恋愛にと、大忙しな毎日を送っていった。
- つづく -




