騎馬戦
ついに来たこの時が。神無月に負けたあと、俺は必死に練習を積み重ねてきた。何度も失敗したし、何度も挫折仕掛けた。だけど、澪と共に頑張れたお陰で俺はこの日に辿り着くことができた。今日は、澪に恩返しの気持ちを伝えられるチャンスだ。
団体戦当日。トーナメント表が配られた。俺たち一組はファイナル第一回戦にいきなりレベル9と戦う組み合わせとなっていた。
「っしゃぁ!いきなり神無月と戦えるなんてな!やる気でた~」
「アキラが神無月さんと戦うと決まったわけじゃないでしょ。誰と当たっても勝つきでね」
「当然だ。負ける気で行くわけがないだろ?レベル9だ。誰とやっても危ない相手だぞ」
本当に危ない。でもま、最初は騎馬戦とリレーがあるし、楽しんでいくか。
ーこれより団体戦を開始いたします。最初は騎馬戦ですので準備を始めて下さいー
「よっし。いくか!!」
「うん」
俺が1組の方へ移動すると澪はうなずきながら俺の方へテテテッと近づく。
「おっ。来たなぁ。アキラ君と澪君。ちゃんと応援するんだぞぉ」
「ほいほーい」
騎馬戦参加メンバーはクラスでは特に目立っているところのない連中だった。格好があれだな。いかにもヲタヲタしいな。めっちゃ踊ってるよ。
「「「「ぶひぶひ。ナミナミ。ナミリンパー!!」」」
ヲタク達が右に左に手を動かして叫んでいる《ナミナミ》っていうのは、キング聖空学園のマドンナレベル8日向崎波だ。金髪の縦ロールがゆらゆらと揺れていて鬱陶しいな。ドリルか!?って突っ込みたくなるほどだ。たしか、ファイナルに出るんだよな?
「うるさいね、、、1組、、、」
「ああ、そうだな。」
ヲタク達の前に日向崎が寄った。
「あなたたち。五月蝿いわ。身の程と場所をわきまえなさい。分かったらとっとと何処かへ行って」
ヲタク達はブヒー!!!!!っといいながら1組の騎馬戦の陣地へ戻っていく。日向崎さんも大変ですね。
その辺を見回すと9組が見えた。12人という少ないクラスだ。驚くことに9組は1つの騎馬しか作らないみたいだ。能力騎馬戦は好きな数の騎馬でいいらしいからオッケーなのか。それにしても他のクラスは眼中にないってか。
「よし、準備が出来たみたいだねぇ。そろそろ始まるよぉ」
ーー能力騎馬戦スタートですーー
騎馬戦が始まった。クラス対抗。一斉に全てのクラスが動き出す。
技と技とがぶつかり合い激しい爆発が起きたり、音が鳴り響いたり、まるで戦場だな。
「コバルト・ヘブライク」
9組が動きだした。銀色に輝く金属の槍が無数に繰り出された。あるものは技を放ち、あるものはガード技を出すがことごとく破壊され騎馬は崩れる。残る騎馬は少なくなり、上位のクラスの騎馬しか残っていなかった。だが、その騎馬も決してぬるく弱かった訳ではないのにも関わらず9組がすべて蹴散らした。
制限時間二時間。それなのに残り1時間42分残し9組は勝利した。
「ははは、、マジかよ、、たった一人で、、」
「あの人、たしか9組の中でもトップを争うほどの人ではないはずなのに、、それなのにここまでの差が……」
「仕方ない事だねぇ。これが、この学園のレベル制度。個々の能力、身体能力が違うなかで一つのものを手にしなければならないんだ。どんなに王になりたいからといって『力』が無いものにはその権利が与えられない。いつからか『力』がモノを言うようになってしまったんだ……」
軌道院先生は、目の前の光景ではなく、どこか遠くを見ている、そう感じられた。
『力』がモノを言うようになってしまった世界。それは、もう覆せない事なのかもしれない。『力』こそが正義。間違いはない。『力』があるものが従え皆を導いていく。それが、平和へと繋がる。だけど、『力』だけでは本当の平和は生まれない。
そこには、、偽りがあるのだから。
第12話~騎馬戦~




