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神々の戯れ~ゴッドゲーム~   作者: 歌ポケ
第一章〜邂逅編〜

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これからのこと

屋敷の中は、想像以上に慌ただしかった。


それもそうだろう、当主と息子が帰ってくるだけならまだしも、事前連絡もなしに派閥の最高神がこっちに向かっているのだから。


私も準備をしなければならないが、まずはまともに言葉を発することができないほど疲弊している息子を休ませなければならない。


「忌悪(いお)を医務室へ連れて行け。私は準備に取り掛かる。」

「その必要はない。」


突然、上のほうから声が聞こえる。


穏やかだが底知れない何かを感じさせる、何度聞いても慣れない声だ。


見上げてみると、上空には無数のイナゴが飛んでおり、凄まじい数が私の目の前で密集しはじめた。


イナゴの塊はだんだんと人の形になり、一瞬だけ黒く光ると男が一人現れた。


背丈は私と同じくらいだが、髪は白髪混じりの黒い長髪で、黒と紫の模様がまだらに入った着物を着ている。


その場にいた私や部下だけでなく、屋敷全体に緊張が伝わる。


我が災禍家の大元、荒闇(あらやみ)家当主のお出ましだ。


「ようこそ、大御神(おおみかみ)様。たった今、こちらに来られることを知ったもので、まだ何もできておらず申し訳ございません。」

「よい、他も似たようなものだ。」

「他と申しますと、全ての分家に分身体を送っているのですか?」

「左様、火急の用事だったのでな。」


荒闇家の分家は十を超える。


天翔家よりも劣るとはいえ、他の神々から見たら神界(ワンネス)屈指の戦力だろう。


その分家へ、同時に訪問など常軌を逸している。


「準備ができるまで、ひとまず別の部屋を用意しますので、そちらでお寛ぎください。」

「その前に、やるべきことがあるだろう。」


荒闇大御神(あらぶるやみのおおみかみ)は、忌剛(いごう)に抱えられている忌悪(いお)に手を向けた。


「【荒闇劇薬(あらぶるやみのげきやく)】!!」


荒闇大御神(あらぶるやみのおおみかみ)の手から放たれた黒いオーラが、忌剛(いごう)の腕から忌悪(いお)を奪い、宙に浮かぶ。


やがて、忌悪(いお)の体が黒いオーラで覆われ見えなくなった。


そして、オーラが光を放つと同時に、


「ごがあ!!うぼおおおおおおおお!!!」


忌悪(いお)の悶え苦しむ声が聞こえてきたが、私は何もしなかった。


何もできなかった。


拳を強く握り、ただ息子の苦しむ姿を目の前で見ているしかなかった。


一分ほど経過し、黒いオーラが弾けて忌悪(いお)が地面に落ちた。


「ごほぉ!うばぁ……。」

「忌悪(いお)!!」


駆け寄って様子を見ると、咳き込んではいるが、ほとんどの傷は癒えており体力も戻ったようだ。


「……はあ……はあ、大御神(おおみかみ)様、お手を煩わせてしまい申し訳ございません。」

「このくらい気にするでない。それよりも、おまえはもっと気にしなければならないことがあるだろう。」


私と息子に緊張が走る。


「……おまえの父親も含めてな。」


どうやら今日は、厄日のようだ。



-----------------------------


「るおーーーーーーー。」


龍郎(たつろう)の鳴き声で目を覚ます。


まだ空を飛んでいるようで、綺麗な夜空が広がっていた。


少し腕を動かしてみると、さっきよりは随分と痛みは和らいだようだ。


……が、まだ寝てていいなら寝てたい気分だったので、二度寝することにした。


瞼を閉じようとしたそのとき、またもや視界が全て夜空から龍白(るはく)の顔になった。


「うわあ!!」


驚いて思わず上体を起こす。


龍白(るはく)は、迫り来る俺の頭を余裕そうに避けた。


「うん!回復できたようで何より!」


攻撃しようとしたわけではないが、ほぼ零距離でも軽く避けてみせる。


改めて、龍白(るはく)との格の違いを見せつけられた気がした。


「おかげさまでだいぶ良くなりました。ありがとうございます。」

「お礼なんていいわよ。それより、ほら。」


龍白(るはく)が下を指さす。


龍郎(たつろう)から落ちないように下を覗いてみると、たくさんの灯篭が輝く大きな街が広がっていて、歴史の授業でよく見るような建物がずらりと並んでいた。


「あれが天翔(てんしょう)家の領地の首都、建翔(けんしょう)よ!!」


龍白(るはく)が誇らしげな笑顔を向けてくる。


空から見た首都の夜景があまりに綺麗だったので、俺はこの世界に来てから初めてワクワクした。


「さて、それじゃあ行きましょうか。」

「え?どこにですか?」

「然るべき場所よ。」


龍白(るはく)がそう言った途端、龍朗(たつろう)がどんどん都市から離れていく。


「ちょっと!?都市に行くんじゃないんですか!?」

「都市になんか行けないわよ。行ったら、全員殿に捕まっちゃうわ。」

「えぇ!?なんでそんなことになってるんですか!?」

「言ったでしょ?それも今度ゆっくり話すから、回復したならあっち行ってなさい。【白龍癒(はくりゅうのいやし)】!!」


突然、俺の体が浮き上がり、後方へ引っ張られた。


そのまま、龍郎(たつろう)の尻尾にある球体にぶつかった。


……と思ったが、ぶつかったというよりは中にツルンと入ったような感覚で、球体内は優しい光で包まれていて、ゆっくり着地できた。


少し顔を上げると、目の前にはカンナが横たわっていた。


「カンナ!」


急いで駆け寄ってカンナの様子をみると、


「父(とと)様ぁー、母(かか)様ぁー、やりましたよぉ。」


カンナは寝言を言いながら気持ち良さそうに寝ていた。


「なんだよ、脅かすなよ」


少し頭にきたが、それ以上にカンナが無事でほっとした。


ほっとしたと同時に、また眠気が襲ってきたので、再度二度寝をすることにした。


カンナからちょっと離れて、仰向けになる。


「一体これから、どうなるんだろう。」


胸の中にあった不安を思わず呟いてしまった。


「だぁいじょぅぶでぇすよぉ。」


カンナの寝言があまりにもタイミングが良すぎてびっくりしたが、心が安らいだので瞼を落とした。



ーーーーーーーーーーーーーーーー


「大助、起きてください。」


体を揺すられている。


頭がまだ寝ぼけていたが、目を開ける。


見たことのない天井が目に入った。


体を起こしてみると、いつの間にか布団に寝かされていた。


横を見ると、日の光に照らされたカンナがいて、少し心配そうな顔をしている。


「大助、具合はどうですか?」


疲れが抜けきったわけじゃないが、眠れたおかげで元気と言えるぐらいには回復していた。


「まあまあかな。ところで、ここはどこなんだ?」

「ここは首都近くの刑務所です。」

「刑務所!?なんで刑務所なんかにいるんだよ!?」

「落ち着いてください。刑務所ではありますが、白(はく)姉様の管理下なので安全です。」

「そうなのか。龍白(るはく)さんは?」

「白(はく)姉様は、首都の天翔大御神(あまかけるおおみかみ)様のところに報告に行きました。」

「あれ?龍白(るはく)さんが、首都になんか行ったら捕まるって言ってたんだけど…。」

「とりあえずご飯にしませんか?そのあと、白(はく)姉様が戻ってくるまで、昨日話せなかったことも詳しく話しますので。」


そういえば、もう朝か。


昨日の夜からずっとバタバタしていたので、何も食べてなかった。


「そうだな、まずは腹ごしらえからだ。」

「はい!」


布団を片付けて部屋を出る。


そのまま、カンナに連れられて高級中華料理屋のような食堂に行き、ご飯を食べた。


メニューは、王道の和食って感じで、白ご飯に焼き魚、味噌汁など、どれも美味しかった。


食べている途中、カンナが美味しいか確認してきたので


「めちゃくちゃ美味い!」


と伝えると、ご機嫌そうにニコニコしていた。


後片付けをして部屋に戻ると、カンナが高級そうな座布団を二枚持って床に置いた。


「大助、白(はく)姉様はまだ戻らないみたいなので、今のうちに私から話せることを話したいと思います。どうぞ、座ってください。」

「わ、わかった。」


二人で座布団に座ると、カンナが深呼吸をし、話し始めた。


「改めて、私と契約してくれてありがとうございます。おかげで、目標への第一歩を踏み出せました。」

「いや、こちらこそ守ってくれてありがとう。」


カンナが少しだけ微笑むが、すぐに真剣な表情に戻る。


「何から話すか迷いますが、まずは私のことを話さないといけませんね。」


カンナは少し拳を握った。そして、曇りのない瞳で俺を見る。


「私は元上位神・流星天香守神(ながるるほしのあまかおるもりのかみ)とその妻、天翔龍桃女神(あまかけるたつのもものめがみ)の娘、本当の名は流星類無女神(ながるるほしのたぐいなきめがみ)といいます。」





------------------------


「天翔龍白女神(あまかけるたつのしろのめがみ)様、御成!!」


扉係により、目の前の扉が開かれる。


部屋の中には円形の大きな机が置いてあり、席は五つ用意されている。


正面の扉から見て、一番左が私の席。


ゆっくり席へ向かい、先に座っている三人の顔を見る。


全員揃うのはいつぶりだろう。


皆、変わり者だけど頼り甲斐のある仲間たちだ。


その中の一人、鳳翠(ほうすい)が「早くしろ。」と言わんばかりの視線を送ってくる。


無視して、ゆっくりと自分の席に着いたが座りはしない。


円の下半分には、私含む四人の席が用意されており、その席は全員埋まった。


上半分は空席のままだ。


鳳翠(ほうすい)が不機嫌そうな顔をしているが、咳払いをして立ち上がり、口を開いた。


「大御神(おおみかみ)様、四天翔(してんしょう)全員、ここに見参いたしました。」


その言葉を聞いた途端、残りの二人も立ち上がる。


数秒後、空白の席に凄まじくも優しい風が巻き起こった。


そして一瞬だけ眩い光を放つと、空白の席には夜空のごとく色鮮やかな紺色と白い雲のような模様が入った着物を着た、黒髪の男性が現れた。


私たちの殿、天翔大御神(あまかけるおおみかみ)様が顕現された。


大御神(おおみかみ)様は辺りを見渡すと、優しい笑顔を作り口を開いた。


「龍白(るはく)、虎紅(ここう)、亀蒼(きそう)、鳳翠(ほうすい)、よく集まってくれた。」



--------------------------


やっと準備が整い、荒闇大御神(あらぶるやみのおおみかみ)様を重客用の客間に案内した。


大御神(おおみかみ)様は終始無表情で何を考えてるのかわからないが、これから話すことはなんとなく予想がついている。


忌悪(いお)も同席するように言われ私の隣にいるが、体の震えが収まらないようだ。


それはダメージが残っているわけではなく、目の前の怪物から放たれるオーラがとてつもないからだろう。


忌悪(いお)ほどではないが、自分の体が震えそうになっているのがわかる。


私はこの先、この日のことを忘れることはないだろう。


そう思ってしまうほどの、悪夢にも似た時間が始まろうとしていた。


【この日、二人の大御神が同じ時間に席に座り、同じ言葉を言い放った。】


「それでは話そうか、これからのことを。」
















第八話読んでいただきありがとうございます!

感想等はドシドシお待ちしております!

次回投稿は10月22日21時頃予定です!

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