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神々の戯れ~ゴッドゲーム~   作者: 歌ポケ
第ニ章〜霊生(れいき)の森編〜

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14/16

その先にいたのは

森への道は静まり返っていて、中央に行けば行くほど木々が増えてきていた。


敵には遭遇せず順調に進んでいる。


亀蒼(きそう)の策が見事にハマったようで、おそらく敵の大半は蟹蔵(かにぞう)に壊滅させられた部隊の救出や再編で手一杯なのだろう。


作戦の功労者の蟹蔵(かにぞう)は無事らしく、今は海の中で待機しているそうだ。


作戦の第一段階はクリア、今は第二段階の呼魂(こだま)の祠を探す段階に進んでいる。


そこに行けば、俺とカンナの新しい仲間の自眷属(ファミリオン)も見つかり、神々の戯れ(ゴッドゲーム)への参加条件も満たせる。


災禍(さいか)家の情報によれば、この島の呼魂(こだま)の祠は最近発生したもので、前人未到の場所だそうだ。


「呼魂(こだま)の祠って、よく発生するものなんですか?」

「そんなわけなかろう。あれが大量発生すれば、世界に秩序というものは無くなってしまう。」

「え!?なんでそんなことになるんですか?」

「先に説明したと思うが、あそこは自眷属(ファミリオン)を増やせる場所だ。そして、強さや数は神の力量によって決まる。」

「つまり、神が強ければ一人で最強の軍隊を作ることも可能ってことですか?」

「例外はあるが、我々の多くはそう考えている。故に神々は、自眷属(ファミリオン)を増やす場合は他の神への報告を義務付けているのだ。」

「なるほど。でも、ここで俺とカンナが自眷属(ファミリオン)を仲間にしたらいろいろと問題になりませんか?」

「それについては.....。」


亀蒼(きそう)が龍白(るはく)のほうを見る。


龍白(るはく)は何故か、悪戯をするときの子供のような顔をしていた。


「え?問題も何も、私たちは災禍(さいか)家の悪事を止めに来ただけよ?祠に着いたときには、既に誰かが自眷属(ファミリオン)を連れて逃げていた。これでいいでしょ!」


不安に思っている俺とは対照的に、龍白(るはく)は誇らしげな顔で話した。


そんな適当なシナリオでまかり通るのだろうか。


「大丈夫よ。災禍家(あっち)と違ってこっちは他の神への通達は済ませていて、緊急性が高いから対応は任されているの。私と亀蒼(きそう)の報告なら他の神も文句ないだろうし、今後のことは鳳翠(ほうすい)が何とかするでしょう。」

「鳳翠さんって誰なんですか?」

「私と亀蒼(きそう)の同僚よ。むかつくけど、頼りになるから安心して。」


《その頃、鳳翠(ほうすい)は背筋が凍るような感覚に襲われていた。》


「白(はく)姉様は相変わらずですね。」


カンナが見慣れた光景を見るように笑っている。


なんとなく、鳳翠(ほうすい)って人は苦労しているんだろうなと思った。


「まあ、所有されている祠だともっと面倒なことになるからね。今回はとっても都合がいいのよ。」


綿密とは言い難いが、現状最短かつ最善に物事が進んでいることを考えると、改めて龍白(るはく)と亀蒼(きそう)の凄さを実感した。


すると、龍白(るはく)が右腕からオーラの塊を後方に飛ばした。


実はさっきから同じようなことを、龍白(るはく)は繰り返している。


「白(はく)姉様、先程から何をしているんですか?」

「敵が感知内に入ってきたから片付けているのよ。」

「え!?敵が近くにいるんですか?」


カンナも俺も驚く。


「敵の感知部隊が機能していないから、感知広げ放題なのよ。視認できないけど障害になりそうな距離まで来た敵は全て片付けているわ。謎の襲撃者もいるし、蟹蔵(かにぞう)効果も考えれば私たちのことはほぼバレないわね。」


知らない間にそんなことまでしてくれているとは……。


ここまで格が違うと悲しくなってくるが、落ち込んでいてもしょうがない。


俺は自分のやれることをやればいい。


そんなことを考えていると、突然龍白(るはく)の表情が変わった。


「亀蒼(きそう)!」

「わかっている!【蒼亀濃霧(あおがめののうむ)】!!」


亀蒼(きそう)から溢れ出たオーラはどんどん霧状になっていき、ほんのり青い霧が俺たち全員を包み込んだ。


「何があったんですか!?」


俺が聞くと、龍白(るはく)が真剣な表情で話し始めた。


「正体不明の存在が急に現れたわ。災禍(さいか)家の部隊とは明らかに違う。おそらく、謎の襲撃者ね。亀蒼(きそう)、敵の詳細はわかる?」

「私の感知によると、今までに遭遇したことない敵だ。しかし妙だな、敵の神力が島に溢れる神力に酷似している。」

「蒼(そう)様、それはつまり……。」

「簡単に言えば、島自体が敵と言っても過言ではないだろう。」


そのときだった。


霧の向こうから、何かがぶつかったような衝撃音が鳴り響いた。


時間が経つ毎にどんどん衝撃音の回数は増えていった。


明らかに誰かから攻撃を受けている。


「亀蒼(きそう)、この術って気配も消せる防御の術だったわよね?」

「あぁ、覚えているだろう?西の神と戦ったとき、この術を使って敵の懐まで潜り込んだことを。」


龍白(るはく)が一回体を伸ばすと、突然立ち上がった。


そして、ゆっくりと歩きだす。


「白(はく)姉さん!何処に行くんですか!?」


俺が声をかけると、龍白(るはく)は振り返り微笑んだ。


「ちょっと面倒な相手だから私が対応するわ。ここからは別行動よ。作戦通り、あなたたちはやるべきことをやりなさい。」


龍白(るはく)も亀蒼(きそう)も知らない未知の相手が現れた。


俺にすらわかる、今は非常事態なのだと。


「亀蒼(きそう)、二人のこと任せたわよ。」

「心得た。」

「白(はく)姉様!ご武運を!」


カンナがそう言うと、龍白(るはく)は霧に包まれ姿が見えなくなった。


「大丈夫でしょうか?」

「あの龍白(るはく)だぞ?何も心配ない。唯一あるとすれば……。」

「あるとすれば?」


俺とカンナが亀蒼(きそう)をじっと見る。


「情報も集められず、あっさり倒してしまうことだろうな。」

----------------------------


霧が晴れると、目に入ってきたのは太い木の根だった。


小規模な樹海のように地面から生えていて、私を見つけた瞬間根を伸ばして攻撃を仕掛けてきた。


それなりに早いが、避けるのは容易い。


やはり、問題になってくるのは数だろう。


術で全て吹き飛ばしてもいいが、またすぐに生えてくるだろうし、何より術を使って災禍(さいか)家に気づかれるのはなるべく避けたい。


幸い、この木の根全てに神力で操っている痕跡を感じる。


研究馬鹿な亀蒼(きそう)がこれを見逃すはずがない。


私は最小限の力で情報を集めて、それを亀蒼(きそう)に見せればいい。


感知もできるだけ広げ、三人の位置を確認しながら戦う。


類(たぐい)ちゃんと大助は神力を抑えるのがうまくないので、亀蒼(きそう)の術でも隠しきれていないがそれでもぼんやりわかる程度。


亀蒼(きそう)は全くわからないが、動きだせば残穢くらいは残るはずなので、今は観察中なのだろう。


それほど亀蒼(きそう)の術は優れている。


それなのに、敵はすぐにこっちの位置を把握して攻撃してきた。


油断はできない。


しかも、最小限の力で最大限の情報を得なければならない。


こんな状況だが、少しだけ胸が昂った。


「来なさい、遊んであげるわ。」


---------------------------------


亀蒼(きそう)が術を調整し、外を見えるようにしてくれた。


霧の術と調整の術は違うらしく、これが面倒なのだと小言を言っていた。


思い返してみると、カンナも雲の術と調整の術を使い分けていた気がする。


それよりも、今は目の前の戦いだ。


龍白(るはく)が大量の木の根と戦っている。


木の根は次から次へと龍白(るはく)に襲いかかるが、龍白(るはく)はそれをスレスレで避けたり攻撃で粉砕している。


側から見るとどうにも心臓に悪いが、龍白(るはく)はどこか楽しんでるように見えた。


亀蒼(きそう)は目の前で繰り広げられる戦いを、ただじっと観察さていた。


亀蒼(きそう)になぜ移動しないのか聞くと、情報を集めてからじゃないと木の根の対策が取れないと言っていた。


亀蒼(きそう)の見立てでは、あの木の根はここから移動したとしても、また別の場所まで追ってくる可能性が高いそうだ。


それを龍白(るはく)もわかっているから、俺たちに攻撃が来ないよう自分に攻撃を集中させつつ、亀蒼(きそう)に分析させている。


打ち合わせも無しに連携を瞬時にとり、状況を打破しようと動ける。


この二人からは本当に学ぶことが多い。


そんなことを考えていると、亀蒼(きそう)が立ち上がった。


「敵の位置が分かった、行くぞ。」

「はい!」


霧に包まれながら三人で走る。


龍白(るはく)が引きつけているおかげで、こっちは何の障害もなく進めている。


「亀蒼(きそう)さん!何処に向かっているんですか!?」

「木の根を操っている神力を辿っているのだ。もう少しで、敵の根城がわかる。」

「大助、私たちも戦う準備はしておきましょう!」

「分かった!」


この先に敵がいるかもしれない。


緊張と不安で心臓の鼓動がどんどん速くなる。


でも、ここまで来て泣き言なんか言っていられない。


できることをやる、ただそれだけだ。


三百メートルほど走っていると、洞窟のような場所が見えた。


なんとなく、入り口に黄緑のオーラのようなものが見える。


「突入するぞ!」


亀蒼(きそう)が入り口のオーラを拳で破った。


中は洞窟とは思えないほど草が生い茂っていて、木の実や果物がたくさん置かれている場所があった。


食糧だろうか。


すると、洞窟の奥から無数の緑の葉が飛んできた。


亀蒼(きそう)がオーラで全て弾く。


無数の葉は俺たちを避けるように、後ろに飛んでいった。


葉が飛んでこなくなると、五十メートル先に燕くらいの大きさの黄緑色に光った妖精のような生き物と、そのすぐ後ろに高校生くらいの少女の姿が見えた。


敵の神従者(パートナー)か?


妖精のような生き物は疲れているのか、黄緑色の光は点滅しているように見えた。


亀蒼(きそう)がゆっくりと前に進み、俺たちも後に続く。


「葉(よう)ちゃん!ダメ!」


少女が妖精に向かって大声で何か言っている。


この声、聞き覚えがある。


三十メートル程の距離まで詰めると、少女が両手を広げて妖精の前に出た。


「この子に手を出さないで!」


やっぱりだ。


この声、そして幼さの残る顔にスラッとした容姿。


俺の記憶が間違いないと言っている。


でも、なんでこんなところにいるんだ?


「光……なのか!?」

「え!?大助!?」


少女がこっちに向かって走ってくる。


亀蒼(きそう)とカンナが身構えるが、俺は手で二人を制止した。


そして、少女は俺に抱きついて、わんわん泣き始めた


「大助ぇー!何でここにいるのぉー!」


俺の胸の中で泣いているこの少女は、幼馴染の高田光(たかだひかり)だった。








十四話ご愛読ありがとうございます!

まだ不定期更新となりますが、最低二日に一回ら投稿するようにしますのでよろしくお願いします!

寒い季節になってきたので、皆様風邪を引かないように元気にお過ごしください。

ちなみに、今回最後に出てきた光は一話に名前だけは出てますので良かったら読み返してみてください^ ^

それではまた次回お会いしましょう!

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