↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神々の戯れ~ゴッドゲーム~   作者: 歌ポケ
第ニ章〜霊生(れいき)の森編〜

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
12/16

作戦開始

龍郎(たつろう)に乗ってから随分と時間が過ぎ、気づけば日が落ちかけていた。


雲がどんどん流れている様子を見るに、尋常じゃない速度で移動しているのがわかる。


前もそうだったが、龍白(るはく)の術のおかげなのか、雲を通り抜けても雨風は感じなかった。


今回の目的地の霊生(れいき)の森がある雫島には、災禍(さいか)家の部隊が大勢いる。


龍白(るはく)曰(いわ)く、倒すだけなら一人でどうとでもなるが、最大の目的は俺達の新しい仲間の自眷属(ファミリオン)を見つけること。


下手に攻撃すれば、森に被害が出て探索が困難になるだけじゃなく、天翔(てんしょう)家と災禍(さいか)家の全面戦争になりかねない。


なので、今回はどうしても避けられない場合以外は隠密行動で、見つからないように暗くなるタイミングで島に潜入するらしい。


この世界に来て二日目、忙しなく動いているが慣れてきている自分に少し驚いてしまう。


そんなことを考えていると、亀蒼(きそう)が隣に座ってきた。


「隣、いいだろうか。」

「いいですよ。」


興奮している姿ばかり見ているせいで、こんなに落ち着いている亀蒼(きそう)を見ると変な感じがした。


聡明な男性に見えるのが妙におかしく思える。


「なんだ?何か気になるか?」

「え!?いや、別に。」


さすがに本音は言えない。


「そうか。そういえば、先程は礼を欠いてしまい済まなかったな。」

「何の話ですか?」

「君の先祖の話だ。てっきり聞いていると思っていたが、類(たぐい)姫の気遣いを無下にしてしまい、君にも気苦労をかけてしまっただろう。」


龍白(るはく)に怒られてしゅんとなったときにも思ったが、意外と気にしいなのか?


暴走時とのギャップがあり過ぎて、こっちの調子が狂ってしまう。


「別に大丈夫ですよ。御先祖様は御先祖様、俺は俺ですから。」

「ははは、頼もしいな。類(たぐい)姫が君を選んだのも納得だ。」

「カンナも言ってたんですけど、俺っていろんな神様から狙われてたんですか?」

「主に天翔(てんしょう)家の分家がな。験を担ぎたかったのだろう。なにせ、大御神様の神従者(パートナ)の血筋だからな。」

「でも、俺には特別な力なんて無いですよ?」

「なんとも言いづらい話ではあるのだが、だいたいの神は神界(ワンネス)以外の存在を基本見下しているのだ。神々の戯れ(ゴッドゲーム)に出る為の駒だとか、自身の力を高める為の付属品としか思っていない輩が大勢いる。そういう輩は他の神に舐められないように、箔が付いた神従者(パートナー)を選びたがる傾向がある。」


そういえば、忌悪(いお)の実験体だった男も外付けハードがどうのこうの言っていた気がする。


もしかして、カンナもそうなのだろうか。


気持ちはわかるが、なんとなく寂しい気持ちになった。


「私は天翔(てんしょう)家全体の神従者(パートナー)選びを手伝っていてよく相談を受けるんだが、どの神も能力値しか見ようとしない!実に嘆かわしい!」

「あはは。まあ、仕方ないんじゃないですかね。」


作り笑いで誤魔化したが、自分はただの道具なのかと思うと、心の中がモヤモヤした。


亀蒼(きそう)はそんな俺を見て、優しく微笑んだ。


「でも、類(たぐい)姫だけは違った。」

「え?」

「あの子は、幼い頃から心から信頼できる相手と契約したいと言っていてな。立場上、大手を振って助けることはできなかったが、私も微力ながらあの子の手助けをしていたんだ。まあ、龍白(るはく)には及ばないがな。」

「カンナのことで、白(はく)姉さんの右に出る人はいないですよ。」

「違いないな。」


二人で龍白(るはく)とカンナのほうを見る。


あちらも何やら談笑していて楽しそうだ。


「神従者(パートナー)候補を三人まで絞り、あの子に選ばせたら迷わず君を選んだんだ。正直、能力だけなら他の二人のほうが勝っていたのに。」

「何でですか?」

「助けたいと思ったからだそうだ。」


カンナらしいと思った。同時に、心が温かくなりもやもやが晴れた気がした。


「そうですか。」

「だから、迷わず自分達の道を進んでほしい。きっとそれが、星の輝く道になるだろう。」


とても勇気をもらったのだが、どうしても興奮して暴走している亀蒼の姿が脳裏を浮かんでしまう。


それがとてもじれったい。


「ありがとうございます。」

「いや、気にしないでくれ。」

「もしかして、結構気にしてました?」

「どうだかな。」


亀蒼(きそう)は、ほんの少しだけ照れくさそうに笑った。


暴走しなければ、とても良い相談相手に思える。


そう、暴走しなければ。


「心理戦は、研究の余地ありですね。」

「これは一本取られたな。」


二人で笑っていると、龍白(るはく)とカンナがこっちを見た。


「二人とも、そろそろ行きますよぉ!」


カンナが少し大きな声で叫んでいる。


龍郎(たつろう)の背中ともお別れのようだ。


「だそうだ。次に向かうとしよう。」

「はい。」


ゆっくりと立ち上がる。


歩きながら、いくつか亀蒼(きそう)と会話を交わす。


作戦開始の時間が刻一刻と迫っていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「さて、ここからは我が愛亀の亀吉(かめきち)に乗って島へと向かう。」


亀蒼(きそう)はそう言うが、下を見ても海が広がっているだけだった。


もしや……。


「行こうか。【蒼亀誘(あおがめのいざない)】!!」


やっぱりそうきたか。


亀蒼(きそう)の青いオーラが辺りを包み、気がつくと景色が黄昏時の空から海の中へ変わった。


え?海の中!?


呼吸をしようと焦ったが、周りに水は無く、足元には黒くて固い塊が広がっていた。


海の中なので詳しくはわからないが、球場くらいの大きさはあるかもしれない。


「ようこそ、我が愛亀・亀吉(かめきち)の背中へ!」


亀蒼(きそう)が鼻高々に叫ぶ。


おそらく、亀吉(かめきち)は龍白(るはく)で言うところの龍郎(たつろう)なのだろう。


「亀吉(かめきち)!お久しぶりです!」


カンナが話しかけると、前から足のようなものが一つじたばたしている。


龍郎(たつろう)のときから思っていたが、どうやら言葉がわかるらしい。


俺の言葉もわかるだろうか。


「初めまして、俺は大助。よろしく、亀吉(かめきち)。」


俺の言葉もわかるらしく、今度は二つの足がじたばたしている。


「あ!大助ずるい!私より亀吉(かめきち)にたくさん挨拶されてますね!」


なんでそこ張り合うんだよ。


カンナは時々、変なところで張り合ってくる。


「さて、自己紹介は済んだな。では皆の衆、作戦を改めて確認する。」


作戦はこうだ。


まず、亀吉(かめきち)に乗って感知に引っかからないところまで進む。


亀蒼(きそう)の術と策で島に上陸し、霊生(れいき)の森まで進む。


あとは、敵に警戒しつつ呼魂(こだま)の祠を目指す。


非常事態が起きた場合は、龍白(るはく)→亀蒼(きそう)→俺とカンナの順で対応していく。


「して、策に必要な生き物をおびき寄せねばな。」


亀蒼(きそう)が裾の中から、赤い球体を取り出した。


「蒼(そう)様、それは?」


カンナが不思議そうに見ている。


「餌玉だ。私が開発した道具で、今は無味無臭だが海水に浸かると特定の生物が好む匂いを放つ優れものだ。」


某ロボットが、ポケットから秘密道具を出すときに似た雰囲気を感じたが、黙っておくことにした。


「では早速。」


亀蒼(きそう)が餌玉を投げる。


餌玉はある一定の距離まで飛ぶと、膜のようなものに一瞬引っかかったが、すぐに海の中に飛んでいった。


すると、遠くに小さな砂煙が見えた。


小さな砂煙はどんどん大きくなっていき、同時に地響きもし始めた。


地響きが大きくなってきたところで、原因がわかった。


蟹だ。


とてつもなく大きい蟹がこちらに向かっている。


大きさは亀吉(かめきち)より小さいが、それでも大型トラック一台よりはるかに大きい。


「神甲蟹(しんこうがに)じゃないか!これは、大当たりだ!」

「そうね!美味しそうだわ!」


龍白(るはく)が目をキラキラさせている。


「馬鹿者!あの蟹は作戦の一部だ!まあ、見ていろ。亀吉(かめきち)!」


亀蒼(きそう)の言葉を聞いた途端、亀吉(かめきち)が上へと泳ぎ始めた。


蟹はずっとその場で立ち止まり、ハサミで餌玉を掴もうとしているが小さすぎて上手く掴めない。


そんなに良い匂いがするのだろうか。


亀吉は蟹の真上、かつ気づかれない距離まで移動すると、真下に急降下を始めた。


「皆、甲羅に捕まれ!」


亀蒼の一声で、全員甲羅の出っ張りに捕まる。


亀吉(かめきち)は頭と足を引っ込めると、蟹の甲羅に体当たりをした。


海中に鈍い音が響き渡り、同時に蟹が地面に叩きつけられ起き上がれずにいた。


亀吉(かめきち)は旋回して蟹の後ろに回り込むと、蟹を後ろから咥えて泳ぎ始めた。


「はは!さすが亀吉(かめきち)!最高だ!!!」


亀蒼(きそう)が声高々に叫ぶと、亀吉(かめきち)が両前足を高く上に挙げた。


それに合わせて俺以外の三人も楽しそうに両腕を挙げる。


少し遅れて俺も両腕を挙げる。


なんだろう、思い出せないけどどこかで見たことある光景な気がする。


「さあ、準備は整った。このまま乗り込むとしよう。」

「え?ここからどうするんですか?」

「まあ、見ていなさい。【蒼亀絆心(あおがめのきしん)】!!」


亀蒼(きそう)の青いオーラが、一瞬にして蟹を包み込んだ。


亀吉が蟹を口から放し地面に落とすと、オーラが弾けて中からまた蟹が現れた。


特に変化は無いように見える。


「よし!お前の名前は蟹蔵(かにぞう)だ!行け!蟹蔵(かにぞう)!!」


どうやら亀蒼(きそう)は生き物を操ることができるようで、命令を受けた蟹蔵(かにぞう)は両ハサミを挙げると猛スピードで走っていった。


一方、亀蒼(きそう)はオーラを練りながら目を閉じている。


何をしているか聞きたかったが、集中しているようで話しかけづらいので龍白(るはく)に聞くことにした。


「白(はく)姉さん、亀蒼(きそう)さんは何をしているんですか?」

「島に敵の部隊がたくさんいることは言ったわよね?その中には索敵や感知部隊がいて、普通に上陸しようとしてもすぐバレるから、亀蒼(きそう)は蟹を使ってその部隊を混乱させるつもりなのよ。」

「蟹ではない!蟹蔵(かにぞう)だ!」


いや、話聞こえてるのかよ。


「え?でも亀蒼(きそう)さんが操っているってバレませんか?そもそも、蟹で何とかなるんですか?」

「案ずるな、さっきの術は操っているわけではなく友好を結ぶ術で、蟹蔵(かにぞう)は自分の意志で動いてくれている。それに、蟹蔵(かにぞう)はそこらの蟹と違って神甲蟹(しんこうがに)という種類の蟹で、甲羅は上位神の鎧に使われるほど硬く、戦闘力も申し分ない。狙う場所は指示した故、我々は待っていればいい。報酬は餌玉と美味い飯でいいそうだ。」


いつのまにか蟹と絆を育んでいる亀蒼(きそう)に驚きつつも、この人ならそれくらいやってもおかしくないという謎の安心感もあった。


龍白(るはく)が何やら目を閉じている。


すると、目を開け俺とカンナの肩を掴んだ。


「作戦決行の許可が下りたわ、あなたたちの自眷属(ファミリオン)に会いに行きましょう!」

「いよいよですね!頑張りましょう、大助!」

「おう!」


いろいろあったが、新しい仲間が増えるのはワクワクする。


神々の戯れ(ゴッドゲーム)に勝つためにも、必ず作戦を成功させてやる。


そんな俺達を見て、亀蒼(きそう)がニヤリと笑った。


「蟹蔵(かにぞう)から連絡がきた。作戦開始だ。」




第十二話ご愛読ありがとうございます!感想等はドシドシお待ちしておりますのでよろしければお願いします!

次回投稿なのですが、作者の日本シリーズによる心身的影響の為、不定期とさせていただきます。早まるかもしれませんし、遅くなるかもしれません。申し訳ありません。

それでは、皆様次回にお会いしましょう。頑張れ!ベイスターズ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。