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ロスト・ライフ~女の子に食べられる前夜~【ロールプレイングゲーム型小説】  作者: 空超未来一
【ステージ5】: ひまわりは夜に出会い、朝を迎える
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ステージ5(B)

コ:すぐに終わらせるから。少し待ってて


橙:……え? なにをする気なの……?


コ:なにをって、もちろんこいつを倒すんだよ


橙:で、でも……


 コクメとウシの獣人とが取っ組み合う

しかしコクメのほうが不利なようだった

 じりじりと力の均衡が崩れ始める


コ:……くっ、くぅ……っ!


橙:ギリギリじゃない! ここはわたしに任せて


コ:だ、大丈夫。だからとりあえず君は離れてて!


 そうは言うもののコクメはすでにひざを曲げて九十度くらいにのけぞっている

 少女は思わず呆れてしまった


コ:はやく!


橙:わ、わかったよ


コ:行ったね。……ここだッ!


 ――――カチっ


橙:なっ⁉


 コクメの姿が消える

 獣人は押し相撲で誘い負けするかのように前のめりで倒れた


コ:ボクならここだよ


橙:うひゃあっ⁉


 唐突に背後に現れたコクメに、少女がその場で跳ね上がる

 ドレスがふわりと揺れた


橙:あ、あなたはいったい何者なの……?


コ:ボクはコクメ。夢を探してたりします


橙:…………


コ:ええっと……そんなに見つめないでもらえるかな……?


橙:……夢を探しているんですか?


コ:ああっ、調子に乗ってすみませんっ! 以後気をつけますから忘れてください!


 土下座までコンマ数秒


橙:……あっ!


 少女がウシの獣人がこちらに突進してきていることに気づく

 少女はすぐコクメに伝えようとした

 口をひらこうとしたところで、


――――ッ


 少女の視界はぐにゃりと歪み、次の一秒後には見える景色が変わっていた

こちらとは反対側へと突進しゆく獣人の後ろ姿があった

少女のいる場所が変わったのだと気づいたのはややあってからのことだ


コ:安心して。ボクがいる限り君に手を出させない


橙:…………


その手にはいつの間にか透き通った色のない剣を握っていた


コ:十秒もいらない。九秒だけ待ってて


 そう言い残して姿を消す

 その後の戦いは一方的なものだった


コ:ちょちょちょちょちょっと! 力強すぎでしょこの獣人!


橙:…………


 あれだけ恰好をつけておきながらこの始末


コ:ぬおおおっ⁉ 角は反則でしょこのばかちん!


橙:わたしもお手伝いしたほうがいいんじゃない?


コ:大丈夫大丈夫! ボクだけで何とかなるからうわあっ⁉


 またもや直前の回避

 

コ:くそう……ッ! 今に見てろ!


 シャリシャリシャリシャリッ!


 やけくそになったのか、剣をむやみに振り回し始める

 しかし、獣人には効かない


コ:なんで効かないんだよぉぉぉぉぉッ‼


獣:ブルオオオオオッ‼


コ:ぬぬぬぬっ! 僕に秘められた力さえ解放すれば……っ。ここか、ここか、ここがええんかああああああああああッ‼


橙:はやく逃げて! あんた本当に死んじゃうから


コ:へ?


橙:――――ッ


 タイミングが最悪だった

 少女が呼びかけた直後、獣人の一撃必殺が放たれたのだ

少女は思った


わたしははまた、同じ過ちを繰り返したのだと

 

橙:あ、あ……ごめんな――――



コ:――――だから謝るなって言ったでしょ



 瞬間、コクメの姿が虚空へと消えた

轟ッ!! と凄まじい衝撃が大地を揺らす


コ:ようやっと隙を見せたよね、牡牛さん


橙:…………え?


少女の瞳に映った光景

 それは図太い剛腕を地面についているウシの獣人

拳の先でクレーターが生まれているしかしそれではない


獣:ごぼ……っ


 獣人の攻撃に見事なカウンターを決める形で

コクメが獣人の胸に透明な剣を突きさしていた


コ:君の身体は鋼みたいに頑丈だった。でも結局は肉体なんだよね。筋肉が弛緩しかんした瞬間に突きさせば楽勝でしょう


 ずるりと肉がこすれる音する

剣を抜いたのだ


ドサっ


 獣人が地に伏す

 その身体が、まるで蛍のように、淡い光をはなって消えていく


コ:じゃあね。来世はいい人生でありますように


 終わりはあっけないものだった


コ:――――そういえばさ


橙:え?


コ:君の名前はなんていうの?


橙:わたしの名前…………


コ:そう、君の名前


橙:わたしは…………


 しばらく考え込んだのちに

 少女はこう言った


橙:わたしは名乗るほどの者じゃないよ


 植物を操る少女との出会い

 コクメは自分を待っているレンゲたちのもとへ急いで戻った



 ステージ5(C)へ


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