ステージ3(F)
二体の獣人を抑えてから、一時間
先に目を覚ましたゼラはコクメたちから状況を説明された。あまりに絶望的な現実にふらりと倒れそうになる
だが、彼女は腕の中で眠る小さな娘を目にして、ぎゅっと抱き寄せた
震えが引いていく
ゼ:……これから別の町で暮らそうと思います
コ:もう、大丈夫なんですか……?
ゼ:不安はもちろん残りますが……この子が生きてくれているだけで、それだけでいいんです。それにわたくしたちには生きなきゃいけない理由がありますから
コ:……そうですね
イ:あの、これを持っていてください
ゼ:虹色に光る……ペンダント? それも二人分
イ:ミツキちゃんが持っていた氷をわたしの力で加工したものです。不透明な部分がまだ多いんですけど、どうやら獣人の力を抑える効力があるようで。これでひとまずは安心できると思います
レ:ハイネ、いつの間にそんなことできるようになったんだよ
イ:記憶は戻らないけど、少しずつ力が戻ってきてるみたいでね。使い方は身体が知ってて、イメージが湧いてくるの
レ:身体が知ってるって……なんかえっちですね
コ:雰囲気ぶち壊しで怒らなきゃだけど……ごめん、同意する
イ:もう……
ゼ:本当に、ありがとうございました。みなさんと出会わなかったら、わたくしたちは今頃どうなっていたことか
イ:わたしたちは大したことしてませんから
コ:一宿一飯の恩義ともいいますし
レ:まあ、一晩の途中なんだがなー
ゼ:それでは、わたくしはこれで。みなさんと一緒にいたいのは山々ですが、ミツキのことを思うと……
コ:そうですね。ボクたちも別れるのがもっと辛くなる
ゼ:さようなら、みなさん。この恩はいずれ、必ず
イ:どうか、お元気で
年頃に見合った寝顔のミツキを背負い、ゼラは歩き出す
二人の親子の後ろ姿が消えていく
コ:……さて、ボクたちも行こうか
レ:野宿確定だなあ。あの温泉が、おふとうんが恋しい
イ:もしよければ、わたしの膝枕なら提供できるよ?
二人:まじすかッ⁉
イ:有効期間はこの旅の終わりが終わってからね
コ:見事な詐欺っぷり!
レ:オレは一向に構わんがね
コ:こっちは潔すぎる!
レ:だってほら、生きていれば報われる日が来るって話だったろ?
コ:そういうことじゃないでしょ!
イ:ふふっ、そうだねっ
生きていれば、必ず。
*
それから彼らはたくさんの村や町を旅した。
行く先々で出会う獣人たち。
欲望のままに人を襲う者がいれば、人々に紛れて生活する者もいた。
けれど、彼らには必ず共通点があった。
――――彼らはみな、傷を負っている。
身体的な傷を負っている者、心に深い闇を背負った者。
みな獣人という病気をわずらい、治療を必要としていた。
彼らと出会う度に、ハイネは迷わず手を差し伸べ、その傷を癒した。
そうしていつか、隻翼の少女はこう呼ばれるようになる。
『世界の傷』を癒す者。
天使、と。
次なる目的地は、自然豊かな氷の地。
緑と冬が共生する、摩訶不思議な村で。
彼らの物語が加速する。
ステージ3、クリア
※コクメのステータスが上昇し、クリティカル・スピードともにオールマイティ型へと変化しました。




