ステージ3(C)
相対するコクメと獣人
逃げ出す隙を伺う
コ:とにかく……ミツキちゃんだけでも逃がしてあげたい。けど……ッ
レ:室内ってのが厄介なところだな。コクメが相手してるときにオレたちが連れ出すしかないか
コ:ボクがおとりになるのは確定なんだっ⁉
イ:待ってっ。なんだか様子が変だよっ
ヒ:…………ジュルルルっ
まだら模様の点滅が加速する
赤、黄、青と、まるで信号機のようだ
と、ヒョウモンダコの獣人の背後から脱皮するかのように黄、青色をした瓜二つの獣人が誕生した
コ:ぶ、分裂した……っ!
レ:お、おい。これ本格的にまずくないか……?
イ:くるっ
コ:ぐうっ⁉
レ:コクメ、大丈夫か――――ってうひょお⁉
黄、青の獣人が二人を襲う
残る赤の獣人と、ミツキをかばうようにして前に出るハイネ
イ:大丈夫……ミツキちゃんは必ず守ってみせるからねっ
ミ:お、おねえちゃん……あれ
イ:え……?
怯えよりも驚きを隠せずにいるミツキのその態度に、ハイネは疑問を抱いた
ミツキが指さす先は、赤い獣人の腰回り
袋だまりのような体の一部に――――虹色の輝石が埋まっていた
イ:あれって……でも、そんなはずは……っ!
ミ:オクトちゃん、なの……?
ヒ:…………
ミツキの問いかけに獣人は答えない
それがまた彼女の心を掻き立てる
ミ:オクトちゃん、オクトちゃんだよねっ⁉ ぼくだよ、ミツキだよ! ぼくのことがわからないの⁉
イ:獣人に近づいちゃだめ、ミツキちゃんっ!
ミ:で、でもあれを持ってるってことはきっとオクトちゃんなんだよ!
ヒ:じゅるるる……っ
ミ:ひっ……
相手が親友だと分かっていながらも、その残酷な見た目にミツキは腰が抜けてしまう
イ:ミ、ミツキちゃんっ
ヒ:じゅるらっ!
獣人が獲物に食らいつかんとする、直後
ゼ:大きな物音がしましたが、どうされ――――
最悪のタイミングだった
ゼラと獣人の目が合う
ゼ:あ――――、
イ:ゼラさん、逃げて……っ‼
ハイネが呼びかけた時には手遅れだった
獣人はゼラのほうへと飛び出し、彼女を押し倒した
獰猛に開く口から粘着質な体液がゼラの顔面にこぼれる
ゼ:い、イヤ……っ
イ:…………ッ‼
ハイネは一目散になって駆け出した
手に握られたのは小さな注射器
獣人の症状を抑え込むことができる、彼女唯一の力だ
イ:(一か八か、お願い……っ!)
人が願えば願うほどに――――現実はあざ笑うものだ
ほんの数メートル手前まで近づいたときには、ゼラの首元に獣人の爪が触れようとしていた
確実に間に合わない
ヒュッ
ハイネの脇元を小さな風が追い越す
そして、惨劇が繰り広がった
イ:――――……どういうこと?
獣:……ぐぶ、ぶ……っ
貫かれたのはヒョウモンダコの獣人だった
獣人を穿つもう一体の獣人
半透明なゼラチン状の皮膚から延びる、どす黒く染まった触手。頭部は水色の麦わら帽子のような形をしており、ふちは紫をしている
突如として現れた――――カツオノエボシの獣人がヒョウモンダコの獣人の胸部を貫いている
カ:…………
体液とも……涙ともとれる何かがカツオノエボシの瞳から零れている
イ:まさかっ
ハイネが振り返ったその先の――――ミツキの姿が消えていた
ヒ:――――
ヒョウモンダコが絶命し、光となって消えていく
カツオノエボシの意識が、そばで呆然としているゼラへと向く
イ:まずい……っ!
カ:――――うぶっ
注射器に打たれた獣人は穴の開いた風船のようにしぼんでいく
ついには可愛らしく寝息をたてる少女の姿へと戻る
ゼ:……みっちゃん……?
イ:やっぱり……ゼラさんを守ったのはミツキちゃんだったんだ
ゼ:それって……どういうことですか?
イ:……たぶん……すでに獣人に感染していて、ゼラさんを守りたいと願ったのがきっかけで変身したんだと思いますっ
ゼ:そんな……みっちゃんが獣人、だなんて……
イ:ぜ、ゼラさん気を確かにっ
コ:ねえ、イっちゃん。獣人が突然消えたん、だけど……
レ:……どういう状況だ、これ?
イ:…………
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