表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/56

ステージ3(A)

 オ:あっ、着いたよっ!


 話をしているうちに、宿屋へと到着する

 建物の構造に他の住居と大きな違いはなさそうだが、玄関の広さや生活感のなさから来客向けのおもてなしを感じられる

 入り口をくぐると、ハイネより少し年上の女性が布団を持ち運んでいるところに出くわした


レ:和風美人!


コ:――からのグラマラスボディ!


母:あら、みっちゃん。おかえり


オ:ミツキちゃんのおかあ、こんにちは!


母:オクトちゃん、いらっしゃい。今日もみっちゃんと遊んでくれてありがとうね……あら、お客様?


レ:こんにちは、麗しのレディ。オレ……じゃなくてワタクシは遠い国からはるばるあなたを迎えに参りましたレンゲ侯爵二世マンと申しま――――ぶっ!


コ:どうもツレが失礼いたしました。ボクはコクメ。ただの旅人です、奥様


レ:なにすんだよコクメ!


コ:お母さんがあまりにも美人だからって抜け駆けは許さないぞ!


レ:美人で留まっているようじゃ、お前もまだまだだな


コ:なん、だと……?


レ:あの奥さんはただの美人ではない……未亡人の美人妻だ……ッ‼


コ:業が……業が深すぎるよレンゲ‼


母:あ、あの……


イ:気になさらなくて大丈夫ですっ。あとでこちらで始末しておきますので


母:は、はあ……っ?


オ:あれ、もうこんな時間⁉ はやく帰らないとおかあにおこられる!


イ:ここまで連れてきてくれてありがとうね、オクトちゃん


母:気を付けてね


オ:うん! また遊ぼうね、ミツキちゃんっ!


ミ:……んっ


 めいっぱい大きく手を振って、オクトが帰宅する


母:それであなたたちは……


イ:あ、ごめんなさいっ!


 ハイネはこれまでの経緯を女将に伝えた

 獣人に関する部分についてあえて伏せたのが功を奏したのか、彼女は快くハイネたちを迎え入れた


母:申し遅れました。わたくし、当旅館の責任者・ゼラと申します。宜しくお願い致しますね


コ:こちらこそよろしくお願いします


レ:ゼラさん一人でここを回されているんですか?


コ:お、おいレンゲ


ゼ:コクメさん、お気遣いありがとうございます。でも大丈夫です。わたくしとミツキの二人でさせていただいております。ミツキが生まれた直後くらいに主人が行方不明になりまして


コ:……すみません、ほんと


レ:それじゃあ今は独り身ってことか! 寂しい夜とかありません? よければオレの腕とか貸しますけど


コ:おまっ、いい加減にっ


ゼ:ふふふっ、面白い方ですね。変に気を使っていただくより肩身が広いというものです。ありがとうございます、レンゲさん


レ:へっ⁉ い、いやその……


コ:まさかお礼を言われるとは思ってもみなかったら珍しく照れてるな


イ:優しいもんね、レンゲくん


レ:ちょっ、やめろって! オレ、風呂入ってくる‼


コ:あ、まってよレンゲ


ゼ:それではわたくしもここで失礼いたしますね


 レンゲとコクメ、部屋を出る

 ゼラもその場を後にし、ハイネだけが残った

 しばらくしてのこと

 スッと、部屋の扉がひらく


イ:あれ、ミツキちゃんっ? どうかしたっ?


ミ:お、ふろ……はいってきた、の


イ:すごく眠たそうだね


ミ:……ん


イ:ゼラさんも忙しそうだし、落ち着くまでわたしの布団で寝る?


ミ:…………んみゅう


 ほとんど閉じたまぶたをこすり、ハイネに身を寄せるミツキ

 ハイネ、ミツキの乱れた前髪をやさしくそろえてやる


イ:ふふっ、ミツキちゃんてば、たくさん遊んで疲れたんだ。遊び盛りなお年頃だもんね


ミ:……(気持ちよく寝息を立てている)


イ:十歳かあ……。わたしにもミツキちゃんみたいな頃があったのかなあ……


 布越しに伝わるぬくもり

 髪をなでる手がとまる


イ:わたしにもきっと友達がいて、家族がいて……わたしは、本当に取り戻すことができるのかな?


 ――――もと居た場所に、戻ることはできるのかな?


ミ:……ぉ、ね……ちゃん


イ:あ、ごめんねミツキちゃん。起こしちゃった?


ミ:こ、れ……


イ:え?


 睡魔に抗いながらも、ミツキはむくりと小さな体躯を起こし、『それ』を差し出した

 微弱ながらも、七色の光を灯す輝石


イ:ひんやりしてる。これって……氷?


ミ:アイスちゃんからもらったの。とけないこおりなんだって


イ:わたしがもらった髪飾りと一緒だっ


ミ:おねえちゃんも持ってるの?


イ:うん、これ。アイスちゃんから貰ったもので、たぶんミツキちゃんのとけない氷と同じものだと思う


ミ:くふふ……っ。それじゃあおねえちゃんも『おなかまどうめい』なんだね


イ:お仲間同盟?


ミ:アイスちゃんにオクトちゃん。それと、ぼく。はなればなれになってもぼくたちのなかよしが変わらないようにってやくそくしたの。それが『おなかまどうめい』! そしてこのふしぎなこおりが、会員のあかしなの!


イ:そっか。それじゃあずっと仲良しでいられるねっ


ミ:うんっ。おねえちゃんも会員しょーをもってるから、なかよししないと!


イ:わ、わたしも……っ?


ミ:じつはぼく、こおりを三つもってるんだ。おねえちゃん持ってないと思ってたから一つあげようとしたけど、いらなかったんだね


イ:大切なものなのに……わたしなんかにくれるつもりだったんだっ?


ミ:だって、アイスちゃんもオクトちゃんも言ってたから。こまってたりかなしいかおをしてる人がいたら、あげていいよって。おともだちになって、たすけてあげようって


イ:それで……わたしにこれをっ


ミ:おねえちゃん……かなしそうにみえたから


イ:……ううん、もう大丈夫。ミツキちゃんが『お仲間同盟』のこと教えてくれたから、元気出てきたっ!


ミ:よかったあ


イ:ミツキちゃんはいい子だね。アイスちゃんも、オクトちゃんもっ


ミ:ぼ、ぼくはべつに……オクトちゃんはそうだけど


イ:ミツキちゃんはオクトちゃんのことが好き?


ミ:ぅ……ん……だいすきだよ


イ:オクトちゃんとは砂のお城のことがあってから仲良くなったんだっけ?


ミ:ううん、ぼくはそのまえからオクトちゃんのこと知ってたの


イ:えっ?


ミ:この村にはね、小さなこうえんがあって。村のこどもたちがあそべるようにおもちゃばこがおいてあるの。ぼくはその、おしゃべりが苦手だからいっつもおもちゃのお人形であそんでて


イ:うん


ミ:王子さまとおひめさまのお人形が好きなんだけど、いつのときからかだれかが先にあそんでることが多くなってきて


イ:早い者勝ち、だもんね


ミ:うん、のろまのぼくがわるいのはわかってる。しかたないって、そう思ってた。でもね、でもっ! おもちゃばこの中におひめさまのお人形がもう一つふえてるのに気がついてね!


イ:あっ、もしかして


ミ:うんっ。お母さんがおしえてくれたんだけど、オクトちゃんがじぶんのお人形をおもちゃばこに入れたんだって。いつもおひめさまのお人形であそんでる子があそべなくてかわいそうだからって


イ:じゃあまたお姫さまのお人形で遊べるようになって嬉しかったんだね


ミ:それもそうなんだけど。じぶんの知らないところでぼくのためを思って行動してくれてたことが、すごくうれしくて。だから、オクトちゃんとはもっとなかよくなりたいと思って……それで


イ:ミツキちゃんが勇気を出したおかげで、オクトちゃんとお友達になれたんだね


ミ:うん。ぼく、がんばってよかった。……今も人とおしゃべりするのは苦手だけど


イ:わたしは自信持っていいと思うよ。だって今もこうしてわたしに話しかけてくれてるでしょ?


ミ:――――あ。そっか


イ:そうだよ。ミツキちゃんはすごい子なのっ


ミ:で、でもっ。おねえちゃんがやさしいからおしゃべりできてるのかもだし


イ:わたしなんて全然っ


ミ:そんなことないもんっ。おねえちゃんなんだかふわふわしててあったかいし、ぼくのはなしもちゃんときいてくれて。なんだか、天使さんみたい


イ:そ、それは言いすぎなんじゃないかなっ


ミ:ううん、ぜったいそうだよ


イ:……そっか。じゃあわたしたちはお互い自信を持たなきゃいけないねっ


ミ:う、ん……がんばってみる


イ:あははっ、ミツキちゃんほどの勇気があれば頑張らなくてもいいと思うけどねっ


ミ:そうかな……?


イ:ぜったいそうだよ


ミ:あ、ぼくのマネしたっ!


イ:ありゃ、ばれたかあ~っ


 仲睦まじく会話しているところに、コクメとレンゲ戻ってくる


レ:いやあ、いい湯だったなあ。ただいま


イ:おかえりなさい


ミ:お、おかえりなさい


コ:あ、やっぱりミツキちゃんボクたちの部屋に来てたんだね。なんだか楽しそうな会話が聞こえてたからさ。なんのお話してたの?


イ:乙女の秘密だよ。ね、ミツキちゃん


ミ:ぉ、おとめのひみつ


コ:え~、気になるなあ


レ:まさか男には言えないようなえっちな内容なんじゃ


コ:レンゲ、さすがのボクでもミツキちゃんの前でそういうことを口にするのは引くよ


レ:安心しろ。言って後悔してる


ミ:ぼ、ぼくだってそういうふれんちなこと知ってるもんねっ


イ:ミツキちゃん、そこは張り合わなくていいからっ


 頬をふくらませたミツキをさとす


 ――――その直後のことだった


 ドグシャアッっ‼


 天井からかが飛来し、木片が飛び散った

 幸いにも負傷者はいない

 宙に漂う木くずの中から人影が立ち上がるのをコクメたちは目撃した


 粘着質な赤い皮膚に、点滅するまだら模様。手に該当する箇所には分厚く鋭利な爪が三日月を描いている

 外はねした髪のような八本の触手は――――、


イ:ヒョウモンダコの獣人……っ


レ:なんで、こんなときにっ。夜分遅くに失礼じゃないですかねっ!


コ:そんなこと言ってる場合じゃないからっ!



 先手必勝。即座に獣人に斬りかかる……ステージ3(B)へ

 とにかく、ミツキを遠くへと逃がすところから……ステージ3(C)へ


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ