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ステージ2(C)

 人の姿へと戻ったカケスの獣人

 その正体は十五才前後と思われる小柄な少女だった


少:う、ううん……?


コ:あ、目が覚めた


少:え? ……きゃああっ!(ゴキブリをスリッパで叩いたときの音)


コ:あぺっ⁉


少:どうしてウチ、あんたみたいな男に抱かれてるの⁉ え、もしかしてそういうことなの一線越えちゃったの! ひゃあ、大人になっちゃっあああああ‼


コ:ちょっ、落ち着いて。ボクはなにもしてな(蚊を殺した時の音)あぺっ⁉


少:あんたどういうつもり! 獣人になって意識を失ったことをいいことに、ウチになにしたっていうのよ! そりゃあ、興味がないわけじゃないけど、ウチにも初恋の人がいるわけで……


コ:だ、だからボクは……


イ:ストップコーくん。それ以上言ったらハチの巣をつついた人みたいな顔どころじゃすまなくなるよ


コ:ずびばぜん(パンパンな顔)


イ:コーくんがえっちでごめんね。でも何にもしてないから大丈夫だよ。何かしようとしてもわたしが制裁を下すから


コ:もしもしハイネさん……?


レ:お前も苦労してんだな


イ:あなた、お名前はなんていうの?


少:……アイス、だけど。あなた、ひょっとしてウチを助けてくれた……


イ:あ、もしかして獣人のときの記憶があるの?


ア:ぼんやりしてるけどね。あなたがウチを助けてくれるって言ってくれたのははっきり覚えてる


イ:そうなんだ


コ:ボクも言ってたはずなんだけど……


ア:ウチを助けようとしてくれた人なんて初めて……。だって獣人は人を襲って食べようとするんだよ? それに近くにいるだけで感染するし


コ:……うん


ア:だから普通の村にいれば腫物扱い。なのにあんたたちと来たら……


イ:獣人は病気みたいなものだから。あなたは好きで人を襲ったりする?


ア:それは……


イ:アイスちゃんは患者さん。だから手を差し伸べるのは自然なことなの


コ:イッちゃん……


ア:村のみんなと同じなんだ、あなた


イ:村のみんな?


ア:ウチの村はね、みんな獣人なんだ


コ:村の人全員が獣人⁉ それって収拾がつかないんじゃ……


ア:ウチの村はね、特別な進化を遂げてるの。獣人の症状が強くなっても、それをおさえられる仕組みが発達してる。だから誰も暴れない。むしろ平和なんだよ


コ:獣人の村、か


ア:ウチもね、村を出るまでは獣人でいることが普通だと思ってた。でも旅に出てみたら、世界は本当に残酷で……


 彼女はたくさんのことを語らった

 獣人というだけで、忌み嫌われ

 恐れられ

 親友ですら、彼女を裏切ったということを


イ:つらい旅だったんだね


ア:正直いつ気が狂ってもおかしくなかった。いっそ獣人の力に任せてしまおうとしたこともあった。でも、ウチには旅を続ける義務があったから


コ:そうまでして旅を続けた理由……


ア:獣人を『幻獣』へと進化させる石。幻獣に進化すればとんでもない力を手に入れられるの。ウチにはそれがどうしても必要だった


コ:…………


 誰も彼女に対して言葉を発することができなかった

 アイスの瞳の奥に、触れてはならない炎が垣間見えたからだ


ア:そんでこの通り、無事に手に入れることができたのさ!


コ:虹色の鉱石……


イ:……すごく綺麗


レ:これは――――


コ:レンゲ……?


レ:……高値で売れそうだな


ア:あんた馬鹿じゃないの! これは売り買いするレベルの代物じゃないの。どうやって使えばいいか分からないけど、村に戻ったら調べてみるつもり


イ:すごいね、アイスちゃん。まだ大人にもなってないのに


ア:大人とか関係ないよ。ウチがしたいからしたことだし


 にししとアイスは笑う


ア:あなたには助けられた。あの子に裏切られて、命を奪って自我を失って――――あのまま暴れてたらウチは村に帰れなかった


イ:わたしが感謝される覚えはないよ。コーくんが頑張ってくれたおかげだしねっ


ア:あんたもその……ありがと


コ:ボクのほうこそ、ありがとう


ア:え? なんで……


コ:君はほとんどボクに攻撃という攻撃を仕掛けてこなかった。それはきっと君が誰かを傷つけたくないって抗ってたからじゃないかなとボクは思う


ア:……うんっ。……うん


コ:それにようやく、ボクのことを認めてくれたしね!


ア:やめて、キモイから


コ:ボク、一度死ぬネ


レ:人に罵倒されたり雑に扱われるとつらいよな。大丈夫、オレも同じような立場にいることが多いから、お前の気持ちは痛いほどよくわかる


コ:レンゲ……


レ:ただし、死ぬなら一人で死ね


コ:まずお前を殺してからな


二人:……ッ(がんを飛ばし合う)


 そんな彼らを見て、くすくすと笑うハイネとアイス


ア:はい、これ(そう言って、氷の結晶のようなものを差し出す)


イ:これって?


ア:ウチの能力で作った氷のアクセサリー。助けてくれたお礼にと思ってさ


イ:ありがとう。透明感があってすごく綺麗だね


コ:よかったね、イッちゃん。桜色の髪に氷のアクセサリーは相性抜群だよ!


ア:そうだな。雪解けの春って感じで


イ:~~~っ


コ:あ、イッちゃんが照れてる!


イ:もう、コーくんってば!


ア:そんで……あんたにはこれだ


コ:へ?


 アイスが差し出したのはコクメの愛刀だった


ア:氷の膜を張ってコーティングしてみた。切れ味がよくなってるはずだから


コ:へえ、そりゃいいや! ありがとうアイスちゃん!


ア:……お礼を言うなら、ウチのほうだから


 夕焼けに照らされた彼女の表情はどこか赤らみを帯びている


レ:…………オレは?


ア:えっと……どちら様ですか?


コ:こいつは放っておいて大丈夫。ところでさ、このあたりに町とかあるの?


ア:ウチが暴走した街なら近くにあるけど……あまりおすすめはできないな。ウチの一件があってみんな気が立ってるだろうから


コ:……ごめん、辛いことを思い出させちゃって


ア:あんたたちは寝泊まりできる場所を探してるのか?


コ:うん。ここのところ、ずっと野宿だからさ。そろそろ屋根の下でゆっくりしたいと思ってて


レ:本命は記憶のヒント探しだけどな


ア:それなら、ちょうどいいところがあるよ。この先を真っ直ぐいくと事件があった街に着くんだけど、その手前で曲がると道がある。そこをずっと真っ直ぐに行くと別の街がある。みんないい人だし、行ってみるといいよ


コ:まじか! これでようやく目途が立ったよ


イ:ありがとうね、アイスちゃん


ア:うん!



 そうしてコクメたちは――――最期の別れを告げたのだった



 ステージ2、クリア


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