世界を護る為剣を取る
朝食をラルクさんとアリス、俺の三人で済ませ、アリスは手早く王国騎士団の制服に着替える。
「アリス、今日はいつもよりも準備が早いんだな」
「…もうすぐこの平和な日常が崩れ去ってしまうと思うと不安で仕方がなくてな」
「きっと大丈夫だ。俺たちならこの世界を護れる。もちろん…」
アリスのことも、と続けようとしたがやはり恥ずかしい。言いかけた言葉を飲み込む。
「頼もしいな、恭弥。こちらの世界に来てくれて本当にありがとう」
急に畏まったアリスは俺に向かって頭を下げ、俺の手を取る。少し強めに握られたその手からは不安が滲み出ているようだった。
「…アリス、今日は俺も王国騎士団へ行くよ。何だが胸騒ぎがするんだ」
ジュークから貰った緑色の宝石も、不気味に輝いている。
「私も…嫌な予感がする。一応探偵かぶれと似非忍者も連れて行くとしよう」
「あぁ…気のせいだと良いんだけどな」
××××
「全く、君の胸騒ぎ如きで呼び出される僕の身にもなってくれ。根拠の無い物事は僕が最も嫌う物の一つだよ?」
「ルミアがいつもすみません…ルミアったら今日の朝からずっと不機嫌なんですよ。何か得体の知れない物の動きを感じる、って。」
「ダルク!それは言うな!」
ルミアとダルクも雲行きが怪しいと薄々感じては居たのだろう。
「すまんな。だが、もう一刻を争う。いつ戦闘になってもおかしくない。戦う覚悟は出来ているか?」
覚悟を決めたかのようなアリスの表情。それを見た探偵コンビの表情も真剣なものとなる。
「当たり前だよ、僕を誰だと思っている」
「アリスさんのお力になれるよう、頑張りますよ」
そして今いる王国騎士団の客間に、乱暴なノック音が響いた。
「こんな忙しい時に呼びやがって…ってアリスさん!?」
「あらら、アリスさん。二日酔いじゃ…なさそうですねぇ〜」
「おう、お前ら。そんな真剣な顔して何話しとるんや?」
テッペイ、ティア、ロイ。分隊16番のメンバーだった。
「分隊16番か。ティア、ロイ。きちんと七神器は持ってきたか?」
するとティアは古びた魔術書、ロイは金に輝く鉤爪を取り出す。
「本当は十三人目の地獄のほうが、私より使いこなせるんだけれどねぇ…」
「まぁ、任せてくれや。お前らのフォローはきっちりするで!」
そう、七神器がここに全て揃ったのだ。テッペイも、物言わぬ剣を背中に担いでいる。
その時だった。乱暴にドアを開き、哨戒兵が口を開いたのは。
「町の西に…魔物の大軍です!…まるで指揮されているような動きで、歯が立ちません!」
そう、胸騒ぎが現実となったのだ。
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