服装改革、終了
「おはようございます、アリス様。恭弥さん」
「おはよう」
「おはよう、ラルクさん」
朝食は既に用意されていたので、三人で食卓を囲む。
「…ん、時間が無いな。今日は転移魔法で城に行くか」
「あら、そうですか。忘れものはしないでくださいね」
「ああ。…それよりも髪型を団子に戻してくれ。剣で切ってしまいそうだ」
「しかし…時間がありませんが」
アリスは銀の長い髪を鬱陶しそうに手で払う。
「後ろをリボンで結ぶだけで良い。自分ではできないんだ」
「わかりました。」
やがて全員が食べ終わると、ラルクさんが三人分の食器を持って台所に入っていった。
「なぁ、恭弥。」
アリスが突然話しかけてきた。
「どうした?」
「これ…結んでくれないか?」
昨日買ったものなのか、黒い布に白いレースのついたリボンを差し出してきた。
多分リボン結びで大丈夫だろう。
「よし、ちょっと後ろ向いてくれ」
丸で絹糸のようにさらさらとした銀髪を束ねる。
…使っているシャンプーは同じはずなのに、花のような良い香りがする。
「よし、できたぞ」
「ありがとう」
そしてアリスは自分の部屋に戻り、軍服に着替えてきた。
まぁ、似合っているのだが…
そして洗面所に行き、薄く化粧をしてから戻ってきた。
「アリス様、お弁当です」
「よし、行ってくる」
「お気をつけて」
そして靴を履き替え、転移する。
いつもと同じ光景。唯一違う所があるとすれば、
アリスがとても嬉しそうに出かけていったことだろう。
××××
「じゃあ、小麦粉買ってきます。」
「はい。お願いしますね」
ラルクさんのお使いで歩いて街に向かう。たまには歩くのも悪くないな。
小麦粉を袋一杯に買い、戻ろうとしたところで異変に気づいた。
異様に本屋が賑わっているのだ。しかも女性ばかりだ。
「ちょっと確かめてみるかな…」
人混みをかき分けて進んでいくと、雑誌の山があった。多分これ目当てなのだろう。
「モデルが可愛いな。…って、え?」
私服で笑っている女性の写った表紙。
その表紙の女性がアリスだったのだ。
××××
「おかえりなさい、恭弥さん。今日はありがとうございます」
「ただいま。一つ気になることがあるのですが…」
そして今日あった雑誌の件を話した。
「…正直にお話しましょう」
そして雑誌の記者による計画にラルクさんが協力したことを聞いた。
「…そうですか。まぁ、俺は良いと思いますよ?」
「ですが…アリス様は何と言うか…」
「まぁ、出来るだけ誤魔化しましょう」
しかし、事態は思わぬ方向に進んでいった。
××××
「おかえりなさい、アリス様」
やがてアリスが帰ってきた。
例の雑誌を手に持って。
「……ラルク。」
「は、はい。」
見る限りアリスから凄い威圧を感じる。近付けない。
そして雑誌をラルクに差し出し、
「これ、ラルクのおかげか?」
「え?」
「いや、ラルクが写真を撮ってくれたのか?」
「怒って…ないのですか?」
「別に怒ってなぞない。今日の兵士のやる気が高かったのはこれのおかげだからな。」
「そうですか…」
「まぁ、だから一つ約束して欲しい」
するとアリスは俺の方を見て言った。
「次は三人で行こうな?」
ちなみに、報酬の半分はアリスが使うことになったらしい。
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