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キミのタマはボクのモノ 巻の二  作者: しかも・かくの
第一章 由々しき病と麻太智の試練について
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第十一回

 三条邸を訪れた時には既に日が落ちていた。麻太智はかなり夜目が利く方だが、清乃はそうもいかない。麻太智が龕灯(かんどう)で足元を照らし、清乃は麻太智の衣の端をそっと摘んでしずしずと付いてくる。

「疲れたのではないか?」

 門の前で麻太智が振り向いた。宮仕えの采女(うねめ)が、自分の足で外を出歩く機会がそうそうあるとも思えない。

 被衣(かずき)で面を隠した清乃はふるふると首を振る。

「この程度でめげているようでは、晴花様の側仕えなど務まりませんもの」

「はは、確かにな」

 麻太智は小さく笑うと、改めて通用門に向き直り、扉を叩いた。

 今回もそれなりに待たされたのち、昼間見たのと同じ門番は、麻太智を認め些か不審そうにはしたものの「暫しお待ちを」と取り次ぎに戻っていった。

 麻太智は大人しくその場に佇む。清乃は一歩下がった位置に控えている。

 やがて慌ただしく走ってくる音が近付き、扉が開いた。と同時に小袖姿の女が足をつまづかせ、麻太智の胸に倒れ込む。

「荒城ど、ひゃっ!?」

 邸の使い女かと一瞬思いきや、顔を見れば三条顕光である。珍しい格好をしているものだと軽く驚く。

「も、申し訳ありません。また荒城殿が訪れたと聞いて、つい居ても立ってもいられず」

「こちらこそ度々申し訳ない。怪我はありませんか」

「はい。おかげさまで、なんとも」

 顕光は麻太智の着物の袂に指を添えた。もの問いたげに見上げ、ゆっくりと唇を開く。

「荒城殿……私はあなたのことを、お、お……?」

 顕光はびくりと身を竦めて横を見た。いつの間にか場所を移した清乃が、麻太智のすぐ傍らに寄り添っている。

「その……こちらは荒城殿の下女でしょうか?」

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