↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
キミのタマはボクのモノ 巻の二  作者: しかも・かくの
第一章 由々しき病と麻太智の試練について
PR
12/14

第十二回

 顕光(あきみ)が自信なさげに尋ねる。麻太智(またち)が答えようとする矢先、清乃(きよの)は被衣(かずき)を取り去って顔をさらした。

「いいえ。私は御君(おんきみ)にお仕えするものです」

 暗がりに目が慣れ、顕光は相手が朝議の際に蒼(あお)の君(きみ)の名代として座を司る采女(うねめ)だと気付いたらしい。公卿でこそないが、君の信任厚いと目される人物である。あだやおろそかには扱えない。顕光はそそくさと麻太智から離れ、会釈をした。

「これは、大変失礼致しました。三条(さんじょう)顕成(あきなり)が嫡子、顕光と申します。それでこたびは一体どのようなご用向きでありましょうか」

「御君の思し召しです」

 清乃は愛想のない答えを返す。というか実質答えていない。顕光は萎縮した様子で麻太智を見る。もしや、昼間に顕成が口にした「蒼の君をも手中に収め」云々を、逆心の証として咎められるのかと懸念したのかもしれない。

 麻太智は落ち着いた調子で告げる。

「邸に上げてもらってもよろしいか? 顕成様の病ですが、あるいは解明の手掛かりが得られるやもしれません」

「も、もちろんでございます、どうぞ」

 顕光は二人を門内に差し招き、背を向けて先に立った。その後ろを歩きながら麻太智は隣を窺った。清乃は肩をすぼめ、小さくため息など洩らしている。おそらく顕光とのやり取りを悔いているのだろう。清乃には珍しく尖った態度だったが、もう心配することもなさそうだ。

 座敷に通され向かい合ったのちも、顕光は頻りと清乃を気にしていた。だが清乃はあくまで慎ましく控えている。やがて顕光も切り替えることにしたらしく、麻太智の方を相手に定めた。

「荒城殿、父の病に見込みがあるとのお話でしたが」

「今はまだそこまで確かではありません。そこでお尋ねするが、顕成様は最近変わった物を召し上がられたことはないだろうか」

 顕光は少しく考えてから、記憶をたどるように口を開いた。

「変わった、というほどではありませんが」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。