優男と魔道具、そして秘密主義
「むしろその姿はどないしたん?」
次の質問をどうするか考えながら奥の階段まで小走りで目指していると、彼の方から少し気になっていた身体についての話題が出る。
王国騎士の人間なら魔道具について詳しく可能性がある。
「俺にも分からない。アンタレス王国で変な剣の魔道具持ちの男と遭遇してからこうなった」
「……ウェンベル・レンスタンがそんな魔道具を持っとる話は聞いたことないなぁ」
「よく今のだけで誰の話か分かったな」
「すまんが、坊主らの動向は調べさせてもろた」
「なるほど」
調べられていたことは逮捕された以上おおよそ想定していた。
それにしてもあの優男、確かエーデン侯爵とかいう所の騎士だったか? 魔具も厄介だったけど、剣術がずば抜けていたな。
彼ともう一度戦いたくはない。少なくとも今の状態では。
「貴族のお抱えならそんな魔道具を隠し持ってたりしないか?」
「子供になる魔道具なんて聞いたことないが……うーん……エーデン侯爵家なら持っててもおかしないなぁ」
「持っていてもおかしくない、か。ウェンベルとその侯爵ってどんなやつなんだ?」
「そうやなぁ。ウェンベルの方は簡単に言えば──最強、やろな」
「最強……」
何事もない会話のように先程までと同じ声音から告げられた二文字に引っかかりを覚える。
実力は高いだろうが、その言葉がハマるかと問われると首を傾げてしまう。
短期間での戦闘で考えるならむしろアルタイル王国の武闘大会で出会ったフードの女性の方が合っている気がする。
しかし実力者からの評価なら参考にしておく方が良いはず。
「ウェンベルはなんとなく分かった」
「おう。それでエーデン侯爵なんやが、俺もそこまで詳しないねん」
「秘密主義?」
「せや。というか隠蔽されてて情報が全然表に出んのや。だから貴族の話は出るんやがその中にエーデン侯爵のとこだけ異様に少なくてな」
「なるほど。確かにそんな人間の所なら周知されていない魔道具がある可能性も高いか」
「ただ、悪いんやがアンタレス王国は大国やから知らん魔道具はこの国より入ってくる。せやから他の貴族の可能性も十分にある」
「問題ない。元々ない情報をかき集めて元に戻るのが目的だからな」
彼らについて知れていれば対策が取れるだろうと尋ねた。
その目的のためだから少なくても構わない。
「とりあえず彼らについては分かった。それで次になんだが──」
「あ、すまん。少し黙っててくれ」
次にコランドさんの言っていた首長の権威について質問したかったが、質問前にブライアンに待ったをかけられる。
その理由が階段が見えてきたからだとすぐに分かる。
そして階段の前には二人の門番が立っている。
「(俺の今の姿はモモっていう看守になっているけど、問題は姿だけなんだよな……)」
通行を誤魔化すために彼女の姿を借りたが、体躯が足りないから上半身でも触られたらすり抜けてバレるし、高くなっているとはいえ女性の声でもない。
だから黙っていて欲しいのだろう。




