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第十話 親子の対話

「成し遂げたな」

「死ぬかと思ったぜ」


「未踏を達成した気分はどうだ」

「悪くない」


「語り部が三部作に仕立て上げるだろう」

「本拠より前にこっちの子どもたちさ」


「そうだな、では解体を始めるぞ」

「あぁ」


強敵の解体は肉や毛皮の取得よりも優先すべき事がある。

臓器位置や筋肉構造の把握である。


内部へ衝撃を浸透させる鈍器を振るう以上は

効果的な打撃部位の調査は何度でも行うべきだ。


そして何よりダメージ量の検証である。

全て観察していたナカタは攻撃が当たった場所と、

その攻撃の重さを把握している。


「外皮を破るには位階2の女の腕力では厳しいだろうな」

「カエデが挑むには目鼻と腹部しか有効箇所がないじゃねぇか」


「潜伏攻撃で五感を奪う長期戦だな」

「隠密と精密射撃ねぇ、どうも苦手なんだよな俺は」


「適正は個体差もあるからな、お前は俺に似たのさ」

「ありがたいことにな」


「さて、持ち帰るのは肉と頭部に掌部だな」

「次の留め足看破訓練、熊役は俺か...」



「ところで、お前から見てシノブはどう映る」

「ほとんどの転生者は弱いが、あいつは別格だな」


「タケルの師匠の座は奪われるかもな」

「複雑だぜ、最近のタケルは父親の俺よりシノブに憧れつつあるんだぞ」


「タマを乗りこなすのに夢中だからな、仕方があるまい。その嫉妬は無益だ」

「分かっちゃいるんだよ全く......」


「シノブの成長速度もお前の努力があってこそ、だろう」

「指標ってやつだな」


「この時代の大英雄はイツキとシノブさ......後世にはヒタチと並ぶかもしれん」

「俺たちは、その立役者ってわけだ」


「不服か?」

「いや全く」


「そこまで俺に似ることもあるまいに」

「アンタが俺の指標なんだよ」


「......そうか」

「黙っていたがな」


「......」

「......」


「シノブの15歳まで3年......見届けられないのは少し心残りだな」

「......有益な事に想いを集中しろ、だろうが。

天命まで残り1年あるんだ。その間の指導に集中しやがれ」


「はは、その通りだ。さて帰るぞ」

「あぁ」


「帰投したら【気になる木の棒】を引き継ぐ。もちろん呪文は暗唱できるな?」

「当たり前だろ」


「では確認だ。合わせて唱えながら走るぞ」

「無駄な音を立てることになるぞ」


「そういう気分なんだ」

「なら仕方ねぇな」


「「この木なんの木 気になる(気になる)木......」」


二人の足取りは、いつしか走るというには遅くなっていた。

それでも同じ歌を、何度も繰り返した。

世代を超えて歌い継がれる、祈りの歌を......

※この作品は実在の企業とは一切の関係を持っておりません

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