第五十話 新嫁候補!?梶原音!
俺は芹沢勇気。みんなからはユーキと言われている。
未来からやってきた林修こと修と嫁候補の花田花こと花ちゃんと、埼玉県さいたま市うなぎ区から自転車でとなりの市の川越市の埼玉県立ぽてと視覚特別支援学校までやってきた。
やってきたのだが……
行くまでの道中に花ちゃんが全く話してくれなかった……
それも修が昨日にここで、「新たな嫁候補に出会う」なんて言ったからだ。
……でも実は、俺はここで新たな嫁候補に出会うことを、知っていた。
なぜなら母親の芹沢マリアにそう言われたからだ。
俺の母親はどうやら「神の声」が聞こえるらしい。この埼玉県立ぽてと視覚特別支援学校に新たな嫁候補がいると前もって電話がかかってきた。
――俺は本気では信じていない。母さんの神の声は外れることがある。
だけど当たる時もあるので、今日はわざわざ来てみたのだが……
――さてどうなる!?
***
――埼玉県立ぽてと視覚特別支援学校に着いた!
「安藤先生! 初めまして! 僕は林修! 未来からやってきたみんなの友達です!」
修はいきなりいつもの決め台詞を言う!
「林修くん? 君は何度もここ来てるの? 初めてだよね?」
「25の時に一回きました! 安藤先生は名前で呼ぶと怒ることも知ってます!」
「25!? 君は中学生だよね? どういうこと?」
安藤先生と修に呼ばれた女の先生は、戸惑っている。
ダメだ、なんとかしないと……
「あの僕たちは、梶原音さんに会いに来たんです。YouTubeを見て!」
俺は話題を変える! 梶原音さんが、既にYouTubeで活動をしているのは調査済みだ。
「あなたたち! 音ちゃんのファンなの!? 今音楽室でピアノを弾いてるよ! 会いに行ってあげて!」
俺と修は、音楽室へ向かった。花ちゃんとは別行動をすることになった。
……この時も、俺には一言も声をかけてくれなかった……
***
――音楽室にて
そこにはドビュッシーの「月の光」を弾いている梶原音さんがいた。
「初めまして! 僕は林修! 未来からやってきた君の友達だよ!」
「え!? 未来からきた? 友達?」
梶原さんは困惑している……
この決め台詞はいつも言わないとダメなの?
もう今日、2回目だぞ……
「えっと……私目が悪くて……」
「知ってるよ。友達だからね。でも。視野が狭かったり、見えない色があるとかじゃないんだよね」
修。そこまで調べているのか……いや、調べたのではなく知っていたのだろう。
「はい……私は視力が低いだけです」
梶原さんは、ビビりながらも答えてくれる。
「じゃあ僕の顔見る? 僕は結構イケメンだよ! ちょっと近寄ってもいい?」
「はい……1メートル位なら……」
修の提案に梶原さんは了承してくれ、修はゆっくりと近寄る。
「確かに林さんはイケメンだと思います」
修の顔を見た。梶原さんは、素直な感想を言う。
「ありがとう! じゃあ結婚もしてくれる?」
「えぇ! それはちょっと……」
「ふふっ! ジョークだよ。」
修のジョークに梶原さんは「ふふっ」と笑う。
「音ちゃんに紹介するよ! こいつが君の未来の夫だよ! その名も芹沢勇気だよ! 知ってる?」
「修……俺のことなんて知ってるわけないよ……俺が経営しているYYゲームズは、まだベンチャーだし……」
俺は自虐的にちゃちゃを入れる!
「知っています。地元の有名人ですから。私実家はさいたま市のうなぎ区ですので」
「え!? マジで!?」
梶原さんがこう返してくれる! 和風美人さんのうれしい反応に、俺の声は弾む。
修は梶原さんにさらに問いかける。
「じゃあ。芹沢まく美さんも、知ってる?」
「いえ……」
「音ちゃんはまく美さんと一緒に『ひなげしの花』と言う作品を作るんだよ! 音ちゃんが音楽を担当するんだよ!」
「私が音楽を……!?」
ここまで冷静だった梶原さんの声が上ずる!
「じゃあ僕他の子のところに行かなきゃいけないからさ! 後はユーキよろしくね!」
修は、風のように去っていった……
***
俺と梶原さんが2人残された……
「あの芹沢さん? 芹沢まく美さんって妹さんか何かですか?」
梶原さんが話しかけてくれた。
「そう思うのは普通だよね……でも、妹でも姉でもないんだ。まく美さんは嫁候補だよ」
「恋人ということですか?」
「うーん、わかりやすく言うとそうだよ」
……俺はちょっとごまかす。どう説明したらいいんだろう?
ちゃんと説明したら、引いちゃう気もするしなぁ……
梶原さんは「そうですか……」と不思議そうにしている。
そうだ!
「梶原さん! 今度まく美さんに会いに来なよ! ちょうど『ひなげしの花』を書いてるとこだよ」
梶原さんクリエイターなら興味を持つだろう。
「わかりました。芹沢さんも物語を書いているんですよね? そのお話を聞かせてもらえますか?」
「いいよ! 僕のデビュー作は、『探偵少女f』って言うんだけど知ってる?」
「知ってます! 私読みました!」
この後、俺は梶原さん、いや! 音さんと、俺の小説の話で帰る時間まで盛り上がった!
最後に伝えなきゃいけないことがある。
「音さん。君は未来に僕の嫁の一人になるらしいんだ」
「えっ!? どういうことですか? 嫁になるのではなくて嫁の一人ですか?」
「俺もよくわかんないんだけどね……修……さっきのやつが言うにはそうなるらしいんだ。でも、俺は強制はしないからね。それだけはわかってね!」
これだけ伝えて部屋を出て行った。
――帰り道でも花ちゃんは、話してくれなかった……
……一体なぜ?
ここから梶原音編が始まります!第五十五話まで続きます。
次回の更新は日曜日の20時です。
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