第四十五話 藤井くん学校へ行く!二日目編&「かねやん」と「花さん」
僕は藤井聡。一週間と一日前まで、引きこもりの不登校だった。
でも昨日学校へ行き、一日いれた! 楽しかったし、勉強も完全についていけないというレベルではなかった。
だから今日も学校に行くことにした!
***
僕は一人で登校した。
うーん……。一人で外に出るのが不安だったけど、意外と気にならないなぁ。
通り過ぎる人たちも僕のことなんか見てないし、不登校のときも外に散歩くらい行けば良かったかも……
学校に着いたらまずは職員室に向かう。なぜなら担任の先生が話したいことがあるらしい。
――職員室
「藤井さん。今日もよく来たね! さっそくだけど、藤井さんは、進路どうする?」
「進路ですか……あの……僕は中学に上がってからは学校来てないんですが、僕は高校に行けるんですかぁ?」
多分三年間で、半年分くらいしか登校してない。
「学校によっては行けるよ。藤井さんは四組の林くんと仲良いよね? 林くんが進学する。『うなぎ自由高校』なら藤井さんでも行けるよ」
「『うなぎ自由高校』? どんな高校なんですか?」
「すごく自由な高校だよ。それに入学するだけなら誰でも入れる高校なんだ。でもが卒業するのが大変だよ。単位取れないと容赦なく留年になるよ」
「そうですか……他の高校で僕が行ける高校もありますか?」
「あるよ。藤井さんなら、定時制とか、通信制の高校の方がいいかもしれないね。親御さんや友達とも話し合って決めてね。まだ時間あるから。とりあえず『うなぎ自由高校』のパンフレット渡しておくね」
僕はパンフレットを眺める。立派な校舎の写真は表紙に乗ってあった。
先生から「教室に先に行っててね」と言われたので、僕は職員室を出て教室へ向かった。
そういえば一人で教室に入るのも久しぶりだなぁ。
***
「おう! 藤井! おはよう。今日も来たのか」
教室に入るなり、長谷川くんがあいさつしてくれた!
「長谷川くん。おはよう! 今日も来てみたよ!」
僕はちゃんと名前を呼んであいさつしてみた。
「あの……『くん』は付けなくていいからな……」
長谷川くんは僕がくん付けしたからちょっとイヤな顔をする。
「ごめん。つい『くん』付けしちゃうんだよ……」
僕は素直に謝る。怒られるかなと思ったけど、
「ははは! 小学校の時に『くん付けにしろ』って言ってた俺が悪いんだ! 藤井は謝る必要ないぞ! これから呼び捨てにしてくれたらいいんだ!」
長谷川くんは笑って返してくれた!
「そうだ! 藤井。今日の昼休みは矢沢に将棋を教えてもらおうぜ!」
「やざわくん? ああ! 将棋をやってた子だね! うん! いいよ!」
矢沢くんは目立たなかったけど、たまに声をかけてくれた男の子だったな!
矢沢くんともまた話したいしね! 今日は四組には行かなくてもいいか!
***
――昼休み
僕も長谷川くんは矢沢くんと会うため、将棋部の部室に行った。
「おう! 矢沢。こいつのこと覚えてるか?」
「うん。もちろんだよ長谷川くん。藤井くんでしょ?」
「矢沢くんも僕のこと覚えていてくれたの!?」
矢沢くんは小学校の時からは、大人になっていた。
背は高くないけど、控えめなイケメンになっていた。まるで将棋マンガの主人公みたいだ。
そんな子でも僕のことを覚えてくれていたんだ!
「なあ……矢沢。『くん』は付けなくていいって言ってだろ? お前はともかく藤井には呼び捨てで読んでほしいんだよ……」
長谷川くんは静かに矢沢くんにお願いする。
「ははは! 長谷川くんは僕にとっては一生長谷川『くん』だよ! 藤井くんもそうでしょ?」
矢沢くんは高らかに笑いながらお願いを拒否する!
「ははは! そうだね! 長谷川くんは一生長谷川『くん』だよ! そういえば修くんも長谷川くんって呼んでるよね?」
僕も高らかに笑い。長谷川『くん』をからかう!
「……勘弁してくれよ……もう中学生だし、来年は高校生になるんだぞ……」
長谷川くんはからかいに対して、静かに反論する!
それがおかしくて矢沢くんと僕はまた笑う!
(もう僕も一生くん付けにしようっと!)
僕はこの時こう決めた!
一通り笑ったあと……
「そうだ! 藤井くん。将棋のことはどこまで知ってるの?」
矢沢くんが僕に質問する。
「えっとね、駒の動かし方はわかるよ」
「そうなんだ。じゃあ、将棋の戦法を教えるよ!」
「えぇ……それ難しいんじゃない? 僕にできるかなぁ」
僕が不安になっていると……
「藤井! 将棋には定跡というのがあるんだぞ! これを覚えたら簡単に強くなれるんだ!」
長谷川くんがフォローしてくれる。
「そうだよ。藤井くん! そうだ! 藤井くんと長谷川くんで一局指してみたら? 藤井くんは僕がサポートするから!」
矢沢くんの提案に僕と長谷川くんは乗った!
そして矢沢くんのサポートがあった僕が長谷川くんに勝ってしまった。
そして長谷川くんが「もう一局だ!」と言いもう一局指す。
それを昼休みが終わるまで繰り返した。
矢沢くんは「ここに歩を打つことで相手の角をブロックするんだ」とか、「金を前に出して相手の攻めを防ぐ」などを教えてくれた。
将棋って面白いんだなぁ。これからは矢沢くんとも仲良くできるかな?
***
――その頃四組では――
「金本くん……藤井くん来ないね……待ってるんだけどね……」
金本満と花田花は「藤井くんがやってくるから、二人で待ってあげてね!」
と林修の指示を受けたので待っていた。
「花田さん。修はどこに行ったの?」
「なんか、悩んでいる子は他にもいるから桜ちゃんと調査してるんだって」
「修は忙しいな……止まっていられないのか!? アイツ不動山部屋でも常に動いているんだよ」
「ふふっ! 修くんらしいね! ねえ金本くん。藤井くんが来ないから、二人で昼休み話そうよ! 私、修くんが不動山部屋でどんなことをしているのか気になるな!」
「お! 聞いてくれる?」
「うん! 聞きたい!」
花田は金本に満面の笑みを浮かべてそう言った。
金本は少しドキドキしているのを必死に隠している!
「不動山部屋の部屋長の大鉄城さんが修がやってきてから調子いいんだよ! 修はちゃんこ作りなんかをして助けてくれたからだと思うんだ!」
「あれ? 修くんって、ちゃんこ作り以外のことも手伝っているの?」
「それが……いろいろやってくれているんだ! この前は未来にパーカーで買い出しを…………」
――金本と花田の会話は昼休みが終わるまで盛り上がった!
そして昼休みが終わると――
「もう昼休み終わっちゃったね! あー! 楽しかった! ねえ! 金本くん。私も修くんみたいに『かねやん』って呼んでもいい?」
花田が少し恥じらって聞く。
「えっと……いいけど……」
金本は戸惑いながらもOKした。
「じゃあ! 『かねやん』も私のことを昔みたいに、『花ちゃん』って呼んでよ!」
「……それだとユーキが怒らないかな?」
金本は『花ちゃん』が芹沢勇気という友人の恋人だと知っているので迷いがあった。
「別に怒らないよ! それに私の名前は『花田花』だから、『花ちゃん』って呼んでも大丈夫だよ!」
「た、確かに……苗字にも花が入っているからいいのか! じゃあ『花さん』って呼ぶよ! それでいい?」
「ふふっ。今はそれでいいよ!」
『花さん』はちょっと『かねやん』をからかって自分の席にへ去って行った。
(『花さん』って呼ぶのか……照れるけど少し嬉しい……それに今はって言ってたな……もしかしたら!)
『かねやん』は午後の授業が頭に入ってこなかった――
かねやんと花さんって実は相性良いかもね!
次回は水曜日更新です。時間はいつも通り20時です。
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