第四話 七人の幼なじみって?
翌日の朝に俺が起きた時には林くんはいなかった。どこに行ったのかと思ってお袋に聞くと……
「修くんなら、朝の稽古を見てくれてるよ」
「え! なんで!」
「なんか、修くんには未来のスポーツの知識があるみたいで親方もそれを学びたいんだって」
「でも、林くんは今中学生でしょ! 普通は学校行くもんだろ!?」
「学校には明日行くってさ。多分手続きがあるんじゃないかしら?」
未来からきたんだから急には行けないか……
「仕方ないか……」
つい、つぶやくと、
「ふふっ満! 修くんといっしょに学校行けなくて残念だね。明日まで我慢しなさい」
とお袋にからかわれてしまった。
「昨日会ったばかりなんだ! まだ友達じゃないよ!」
ムカっときてつい、こう言い返してしまった。でも昨日会ったばかりなのは本当のことだ。林くんは果たしてもう友達なのだろうか?
……俺にはまだ迷いがあった。
***
学校が終わり家に帰った。玄関から入ってリビングに向かう。すると親父がいた。
「満! おかえり。今日は早かったじゃないか。修くんに早く会いたかったのか?」
親父にまでからかわれてしまった……でも早く会いたいのは本当だ。
「親父! 林くんはどこにいるの?」
「修くんなら、髪結いをしてもらっているよ」
「か、髪結い!? 林くん出来るの!?」
髪結いとは力士のまげを整える事だ!普通は床山さんにやってもらうが……
「それが出来るんだよ。大銀杏を結うのは無理みたいなんだが、ちょんまげは出来るんだよ」
「えぇ……林くんって何者なんだよ……」
「そりゃ未来人だよ!普通の中学生に出来るわけがないだろ!」
「はは! 確かにそうだね!」
俺と親父は笑い合った!そういえば親父と笑い合うなんていつぶりだろう。
「親方! 終わりました!」
ちょうど林くんが髪結いを終えてリビングにきた! 聞きたい事だらけだけど、今一番聞きたい事を聞かないと……
「林くん学校には明日から行くって本当!?」
「本当だよ! ミラスマで戸籍作ったから行けるよ。あとかねやんと同じクラスにもなるように細工もしといたよ!」
林くんやばい事してるよ……でも、
「別に俺がいっしょのクラスじゃなくてもさ、林くんならどのクラスでもやっていけるんじゃない?」
林くんは一日でこの不動山部屋にも馴染んだからね。
林くんは真顔で淡々と返答する。
「僕の中学時代にかねやんは必要だからね。僕が不良から絡まれたら誰が助けてくれるの?」
「えっ?未来でもそうだったの?」
確かに俺はいじめられている子を庇ったりしてるけど。
「そうだよ。だって僕の中学時代を語るバラエティ番組にはかねやんもいっしょに出てもらったからね」
「未来の俺の中学時代ってそんなにすごかったの!? どんな事が起こるんだよ!?」
俺は大声でツッコむ! バラエティ番組になるような中学時代ってなんだよ! ドラマみたいな事があったのか!?
今のところそんな大きな事件は起こってないはずだけど。
「それは、おいおいわかると思うよ。親方! 満くんと二人で話し合っても良いですか?」
「おう! 晩飯まで二人で過ごして良いぞ!」
俺たちは俺の部屋へ向かった。
***
「林くん! 話ってなに?」
「埼玉スーパースターズのみんなを集めて!」
「えっ、なにそれ?」
「埼玉うなぎFCに所属していた幼なじみたちだよ! 現代ではみんなでYouTubeグループ作ってないの!?」
林くんは怒っているように言った。でも不思議とムカつかない。
これが林くんの魅力なんだろうか?
「そんなグループYouTube作ってないよ……いっしょにプレーしていた同級生全員集めたらいいの?」
埼玉うなぎFCで同級生と言ったら、男子女子含めて十一人いた。
「全員じゃないよ! 本当にみんなでYouTubeやってないの?」
「俺みたいに個人でやっているヤツもいるけど、全員ではやってないよ!」
俺がこう言うと、林くんは頭を抱えて、
「なんでやってないんだよ……普通やるじゃん……」
とつぶやいた。俺は思わず吹き出してしまう。
「ふふっYouTubeやる事は普通じゃないよ」
当たり前の事を言うと、
「みんなはYouTubeドリーム掴みたくないの!?おかしいよ……YouTubeやれよ……」
どんだけYouTubeが好きなんだよ!
話がそれたので話を戻す。
「じゃあ誰を呼び出せばいいの?あだ名じゃなくて、本名を教えて?」
未来の俺たちだけがわかるあだ名で言われても、困るので俺はこう聞いた。
「具体的に言うと、『芹沢勇気』『矢部秋男』『橋本翼』『宮本茂雄』『李承燁』の五人だよ。この五人を呼び出して!」
「その五人だね。わかった。埼玉うなぎFCのグループロインに送ってみるよ!」
俺はスマホを操作して長いロインを打つ。ちゃんと林くんの事も出来る限り説明した。しかしさ……
「なんでその五人なの?嶺井とか田中とか女子三人はYouTubeに誘わなかったの?」
「桜と咲ちゃんは本気でサッカーだけやりたかったみたいだし、嶺井くんと田中くんはあんまりサッカー上手くなかったからね。花ちゃんはYouTubeを裏方で手伝ってもらっていたんだけど今回は呼ばなくていいかな」
「えっ別にYouTubeにはサッカーの上手さ関係ないでしょ?」
「僕ら本気でサッカーとYouTubeにも取り組みたかったからさ。両方の夢を叶えたかったんだよ。これに僕とかねやんを加えて七人で『埼玉スーパースターズ』だよ!」
俺はこれを聞いてかなり濃いメンバーだなと思った。確かにこのメンバーでグループユーチューバーをやっていたら面白いかも。
そういえば集合場所を指定してなかったな。
「林くん。みんなでどこに集まればいいの?うち?」
「もちろん、決まっているよ! 僕たちが覚醒したクラブチーム! クレセールバルセロナFCだよ!」
「えっそんなクラブチームあったの!?聞いた事がないクラブだな。林くん、場所はどこなの?」
「うなぎ区蒲焼三丁目8-1だよ」
「あんまり行った事がないとこだな。まあ、スマホで調べて行けばいいか!伝えておくよ。でも、林くん。現在ではみんな初めましてなんだろ?こんな一気に集めなくても一人一人友達になった方がいいと思うけど……」
個性が強いメンバーだからまとまるかな……と俺は心配になる。
「埼玉スーパースターズのメンバーは運命共同体だから大丈夫だよ! それに……」
林くんはちゃんと間を空けて、満面の笑みを浮かべながらこう続けた。
「それにもうさ、かねやんと僕は友達でしょ!」
俺はそう言われて即答した!
「そうだね!林くんもう友達だよ!」
こんなに良くしてくれる同級生なんていないからね! もう俺には迷いがない!
「かねやん! 違うよ。修でしょ? 僕がトンチンカンな事を言ったらフォローしてよ!」
「ああ! わかってるよ修!」
この後みんなからロインが返ってきて、たまたま今晩に七人の幼馴染『埼玉スーパースターズ』が集まれる事になった。
呼ばれなかったヤツらからは文句を言われたが、俺はワクワクしていたため気にならなかった。
LINEではなくロインなのは伏線です。覚えていたら、そのうち「あ!あれそうだったの!?」って思うかもしれませんよ!
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