第三十四話 将棋対決!矢部VS長谷川
俺は長谷川陸小学生の頃からの憎いライバル。
矢部秋男に勝つ方法を思いついた! それは将棋だ!
次の日。俺は昼休みに矢沢のクラスまで行って相談してみた。すると……
「将棋で矢部くんに勝つ!? いいよ! すごく面白いと思うよ!」
矢沢は嬉しい返答を返してくれた!
「頼むよ! 勝負は一週間後に林がセッティングしてくれたんだ! 俺はただ勝つだけじゃなくてボコボコにしてやりたいんだよ!」
俺がこう言うと矢沢は満面の笑みでこう言った!
「ははは! じゃあ一週間特訓しなきゃね! 勝負には僕も立ち会って良い?」
「もちろんだ! 林も来るらしいぞ!」
「じゃあ長谷川くん! 今日から放課後に将棋部に来てよ!」
「ああ!」
ここから俺たちの特訓が始まった!
***
一週間後――
俺と矢沢矢部をボコボコにすべくある戦術をする事に決めた。
それは、四間飛車と美濃囲いの二つだ。
俺と矢沢は将棋部の部室で矢部と修の到着を待っている。五分も経たずに二人はやってきた!
「久しぶりだな! 長谷川! 勉強じゃあかなわないからって、今度は将棋か!? 面白いじゃねえか! お前が俺に何にも勝てない事を教えてやるよ!」
矢部は入ってすぐに俺を煽ってくる!
「矢部! その言葉覚えておけよ! 俺は一週間この矢沢に教えてもらったんだよ! ただ勝つだけじゃなく。ボコボコにしてやるからな!」
俺も矢部を煽り返す!
「矢沢くん! やっぱりこの二人の勝負は面白いね!」
「うん! そうだね。林くん! いやー! これは見応えあるよ!」
矢沢と林はこんな事を言って将棋盤の両脇に位置取る!
そして対局が始まった!
***
ここからはこの場で一番将棋に詳しい僕! 矢沢が解説するよ!
先手は矢部くんだ。
矢部くんは飛車の前の歩を動かす。いわゆる「飛車先を突く」と言われる将棋の定跡だ。
矢部くんはどのくらい将棋を知っているのだろうか?
長谷川くんは四間飛車をするために、角道を開ける。
矢部くんはさらに飛車の前の歩を動かす。長谷川くんは角道の横の歩を前に出す。4四歩。
矢部くんは飛車を前に出す。2六飛車。
長谷川くんは飛車を横に振る。4ニ飛車。これが四間飛車という戦法だ。
矢部くんは前に出した飛車を左に一つ移動させる。3六飛車。
長谷川くんは守りを固めるため王を斜め右に動かす。6ニ玉。
「おう! 長谷川! 攻めなくていいのか!? 俺はこれからガンガン攻めるぞ!」
矢部くんはこう挑発して、横に動かした飛車を前に出して。長谷川くんが角道を開けるために動かした歩を取る! 3四飛車。
「おい! 矢部そんな攻めではダメだぞ!」
長谷川くんはそう言って王を右に動かす。7ニ玉。
「なに言ってるんだ! はーせがーわ! ってあれ?」
ここで矢部くんは気づいたようだ。飛車を前に出したはいいものの、問題はその飛車だけでは攻めれない事に。
矢部くんの飛車は長谷川くんの角と飛車が睨みを利かせているので、下手に動かすと飛車を取られてしまうのだ。簡単に。
今となりの4四歩を取りに行ったら長谷川くんの飛車に取られてしまうし、一歩前に出しても角に取られるし、3一銀を取りに行ったらとなりの金に飛車が取られてしまう。
矢部くんは将棋での最強の駒の飛車が機能しない状況になってしまったのだ。
それに気づいた矢部くんは角道を開ける。7六歩。
長谷川くんは玉をさらに逃す。8ニ玉。
「こ、これは……」
矢部くんは動揺して考え込んでしまう。矢部くんがいくら角道を開けたところで、長谷川くんの4四歩がブロックしているのでこのままでは矢部くんは攻めれない。
角を動かしたも歩が取れるだけで長谷川くんの角に角を取られてしまうからだ。
「矢部くん! あんまり考え込まないで直感で打ってみたら?」
僕は思わずアドバイスをする。矢部くんは、
「あ、ああ……」
とだけ言い。長谷川くんが始めにやったように角道のとなりの歩を前に出した。6六歩。
長谷川くんは逃した玉のとなりに銀を打つ。7ニ銀。
これでも「片美濃囲い」と言って強い戦法だ。
矢部くんは飛車と角で攻めれないと思ったのか右の銀を前に出す。2八銀。
長谷川くんは左の金を右斜めに動かす。5ニ金。
これで「美濃囲い」の完成だ! ここまでできたら矢部くんが長谷川くんの守りを崩すのは難しいだろう。
矢部くんはその後右の銀で攻めようとするも長谷川くんの桂馬で簡単に銀を取られてしまう。
その後桂馬の攻めを防ぐために金を前に出したが、長谷川くんは矢部くんの飛車の前に銀を打ち、矢部くんの飛車を追い詰めた!
何もしなかったら銀で飛車を取られるし、飛車で銀を取りに行くと角で飛車を取られてしまう状況になった!
矢部くんはまた考え込む!
「おい! 矢部! どうしたんだ! 早く打てよ!」
長谷川くんは矢部くんを煽る!
「わかったよ! 勝負はこれからだからな!」
矢部くんはそう言って飛車の目の前の銀を取った! 長谷川くんは即座に角で矢部くんの飛車を取る!
これが勝負の決め手になっただろう。はっきり言ってこの手は悪手だ。
対局はわずか44手目で終わった。最後の方は矢部くんは王を逃す事しかできなかった。
これは矢部くんは長谷川くん相手に何もできずに一方的に負けた――そう言っていいだろう。
***
対局は俺、長谷川陸の大勝利で終わった!
矢部秋男の野郎は頭を抱えている!
ざまあみろだ! めちゃくちゃスッキリした。
「おい! 矢部! また対局してやってもいいんだぞ?」
俺は矢部を煽る!
「く……! 勝てる気がしなかった……そうだ! 矢沢! 俺にもワンツーマンで教えてくれよ!」
く、く、く! そうだよな! あんなにぼろ負けしたらそう思うよ! 矢沢は教えてくれるのか? と考えていたら矢沢は一言こう返した!
「イヤだよ」
「え……?」
矢部は最高に切ない顔をする! いやー傑作だ!
「なんでだよ矢沢!」
「だって矢部くん。態度デカいしさ。ワンツーマンで教えるのはしんどいよ! そうだ! 矢部くんもたまに将棋教室に行けばいいんだよ!」
「将棋教室に行けば矢沢が教えてくれるのか?」
矢沢の提案に矢部がまた教えてもらいたそうに矢沢を見ている!
「いや! 矢部くんはおじさんたちに教えてもらってよ! 僕は長谷川くんと打つからさ!」
「なんでだよ……」
矢部はまた頭を抱えて落ち込んでる!
「おい! 矢部! 矢沢は『俺の矢沢』なんだよ! お前には渡せないな!」
誰かが聞いたら俺と矢沢の関係が変に思われてしまう発言だが、ついこの言葉が出てしまった。
「やべっちは良くも悪くも王様なんだよ! やべっちの事を大好きな人もたくさんいるけど、大っ嫌いな人もたくさんいるんだよ! これは覚えておいてね!」
ずっとニコニコしながら、対局を黙って見ていた林がついに発言した! 矢部は「あ、ああ」と生返事をするだけだ!
林はさらに続ける。
「矢沢くん! 長谷川くん! もう僕たち友達だよね! 僕の事は修って名前で呼んでね!」
「そうだね! はや……修くんにおかげで長谷川くんと将棋ができて嬉しかったよ! もう僕たち友達だね!」
「俺も矢沢と将棋ができて嬉しかったよ! 矢部もボコボコにできたしな! 修! これからもよろしくな! 俺の事は呼び捨てで呼んでくれよ!」
俺の提案に修は意外な回答をした。
「僕の中では長谷川くんは一生長谷川くんだよ! じゃあ僕は牛丼を10人前買いに行かないといけないから帰るよ!」
「……え?」
俺がツッコむ間もなく修は風のように部室を出て行ってた! なんでなんだよ!
小学生時代に「くん付けで呼べ!」って言ってた俺も悪いけどさ……
もう中学生なんだから呼び捨てで呼んで欲しいんだよ……
この後は矢沢と二人で帰った。矢部?そんなヤツといっしょに帰りたくないよ!
やべっち!棒銀くらい調べてこい!
次回から週二回公開になります。ここがキリがいいので。毎日投稿しんどかった…
次回は日曜日に公開です。時間は常に20時にします。
ジェミニがそうしろと言うので。
これからも更新していくので、「修ズ!スター!」をよろしくお願いします!
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