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修ズ!スター! 〜未来からやってきた友達!?林修が巻き起こす青春群像劇〜  作者: まくお


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第三十二話 長谷川くんの悩み 前編

 俺は長谷川陸はせがわりく

 埼玉県さいたま市うなぎ区。蒲焼かばやきで一番の内科の病院。長谷川医院はせがわいいんの息子だ。


 俺は勉強もできるし、運動もできる。背も高い。

 ……顔もいい方だと思う。目が悪くメガネを掛けているがそれが好きだという女子が告白してくれた事が何回もある。

 

 ……付き合う気にならなかったのでまだ女子と付き合った事はないが。まあいつか彼女はできるだろう。


 これだけを聞くと俺に悩みはないと思われるかもしれないが。俺にも悩みがある。

 それは小学校からのライバル矢部秋男やべあきおに勉強もスポーツも負けている事だ!


 あいつはサッカーをガチでやっているのでそれに勝てないのはいいんだが、問題は勉強でも勝てない事だ!

 矢部がうなぎ蒲焼中学では学年一位で俺は二位だ! 三年間ずっとだぞ! ずっと!

 必死で負けないように勉強しているのに! 一体なぜだ!?


 それで三年生の今はいじめられているわけではないが、クラスにはなじんでない。いやなじもうとしてないのだ。

 

 あの未来からきたとか言う同級生の林修はやししゅうに言わせると闇落やみおち状態にあったのだ。


 林は俺に将棋しょうぎをやらせた。

 金本かねもと矢沢やざわといっしょに帰った後、俺は自分の部屋でずっと将棋について勉強していた!

 

 将棋ってこんなに面白いんだな! 俺は頭が良いし、棋士を目指してもいいかもな!


 ***

 次の日の放課後……

 俺は矢沢に将棋の事を教えてもらうために時間を作ってもらった。

 将棋教室に行くより。部員が矢沢しかいない学校の将棋部の部室の方がゆっくり話せると言われたので、部室で将棋を打っている。


 俺は矢沢が昨日「もう詰んでいる」と言ったところを再現してそこから、「どうしたらいいのか?」を教えてもらっている。

 

「なあ……この時に俺が守りに入ったらどうしたんだ?」

 確か俺はそこから一か八かの攻めに出た。もし守りに入ったらどうなるのかが聞きたかった。

 

「その時は僕が攻めるだけだよ!」

「飛車や角で攻めるのか?」

「いや、金や歩で攻めるよ!」

「それはなんでなんだ?」

「取られてもダメージが少ない駒で攻めた方が取られても困らないからね! そうだ!試しにここから打ってみようよ! 長谷川くんは全力で守ってみてよ!」

 俺たちは対局たいきょくを始めた。いや指導してもらっている……と言った方がいいだろう。

 

「そこまで駒を固めても動けなくなるよ! 金と銀が置物になってるでしょ!」

「そうだな……言われてみればわかる」

 矢沢は俺に嬉しそうにしかも丁寧ていねいに教えてくれる。だが俺には一つ気になることがある。


「なあ……矢沢って確か将棋のプロを……棋士きしを目指していたんじゃないか? 俺みたいな素人に教える時間なんかあるのか?」

「……それが僕、奨励会しょうれいかいに入れなかったんだ……」

 矢沢はうつむいてポツリとこう言った。

 今までの楽しい空気がこの一言で変わってしまった……

 

 聞かない方が良かったかな……

「……えっと矢沢。奨励会ってあくまでプロの入り口? だろ? そこに入るのも大変なのか?」

 

「……そうなんだよ……奨励会は子供の頃から天才って言われてた子の中から選ばれた天才だけが入れるんだ……」

 プロの手前でそんなにきびしいのか!?

「でも奨励会に入れても必ずプロになれるわけじゃないんだよな?」

 

「そうだよ。まず奨励会の一番上の『三段リーグ』まで上がらないといけないんだ。三段リーグには四十人くらい、いるんだけど、その中の上位二人しかプロの棋士になれないんだよ……」

 

 矢沢はうつむいて説明してくれた後。頭を上げて俺の目を見て。こう付け加えた。

 

「長谷川くん……そんなに甘くないんだよ。棋士ぷろの世界」

 

「………………」

 その目を見た俺は黙り込んでしまう。

 どうやら俺はとんでもない勘違かんちがいをしていたようだ……

 なんで昨日の俺は「棋士を目指してみようか!」なんて考えてしまったんだ……


「矢沢! すまん! 俺は昨日軽く将棋の勉強しただけで棋士になれるかもと思ってしまった!」

 もうここは素直に謝るしかない! 俺は矢沢に頭を下げた!

 

「ははは! 長谷川くん! なんであやまる必要があるの?」

「え?」

 矢沢が笑って返してきたので俺はおどろく!


「別に棋士を目指す事は自由だよ! 僕も将棋を初めたての頃は『余裕で棋士になれる』って思ってたよ! それに僕もまだ諦めたわけじゃないんだ!」

 矢沢はさっきのうつむいていた時とは違いさっきの将棋を教えてくれていた時の楽しそうな口調で続けた!

 

「そ、そうなのか!? てっきり夢を諦めたから俺のために時間を使ってくれてるのかと思っていたよ!」

「初心者に将棋を教えるのも棋士の仕事だからね! それに人に教える事で自分の勉強になったりするんだよ!」

 

「た、確かにそうかもな……」

 普通の勉強でもそうだったりするもんな。俺は小学校の時にそんな経験がある。

 

 矢沢はさらに続ける。

「それに僕はこうやって長谷川くんと二人で将棋を打てて嬉しいんだよ! 小学校の時は君が僕の憧れだったからね!」

「え!? そうなのか!? でも俺たちあんまり絡みなかったよな?」

 

 思い返してみたが憧れられるような事を矢沢にはしてないが……矢沢は勉強もできる方だったから教えてないし。いじめられていたわけでも無かったから助けてもない。

 特に仲が良かったわけでもなかったが……


「だって長谷川くん。『うなぎ蒲焼かばやき小学校』のヒーローだったんだよ! 勉強もできる。スポーツもできる。しかもかっこいいし!」

「そ、そうか……」

 

 矢沢からそう褒めちぎられて俺は照れてしまう。そう思われてたのか! 俺は!

「林くんから『長谷川くんが闇落やみおちしてるから、将棋で助けてくれ!』って言われた時嬉しかったよ! 僕と将棋が長谷川くんの力になれるんだってね!」

「…………」

 

 そんな事をはやしは言って矢沢を連れて来たのか……

 矢沢はさらに話を続ける!

 

「そういえば林くんはプロサッカーで長く活躍したって金本くんが言ってたよね? プロの厳しさを林くんなら知っているんじゃないかな? 長谷川くん! 本気で棋士を目指すんなら聞いてみたら?」

「それ本当なんか? あいつの事をどれだけ信用できるのかわからんぞ!」

 

 矢沢の笑顔の提案に俺はこう返す。金本かねもとから昨日いろいろ聞いたけど、凄すぎて本当かどうか怪しい。

 

「話を全部信じなくてもいいんじゃない? それにさ、林くんは未来からきた友達でしょ? 別に友達と話すくらいいつでもすればいいと思うよ!」

 

「……林はまだ友達じゃないよ! でも電話くらいしてやるか!」

 

 俺はつい照れ隠しでこう返答してしまった。

 だけど……林ともっと話してみたい気持ちは本当だ。


 ……電話してやるか……


 

棋士になるのってめちゃくちゃ大変なんですね!

最近知ってびっくりしました!


次の話は明日20時に公開です!

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