第三十一話 長谷川くんを光戻し
俺は金本満。
修が長谷川陸くんを光戻しする策は将棋!?
「将棋!? どういうことだ!」
長谷川くんが取り乱している! 正直俺も困惑している! なんで将棋!?
「長谷川くんと将棋は切っても切れない関係なんだよ! この矢沢くんと対局するんだよ!」
「どんな関係だよ!? てか矢沢ってどのくらい将棋打てるんだよ!?」
矢沢くんはうなぎ蒲焼小学校の同級生だ。将棋をやってるとは聞いていたような気がする……
「矢沢くんはガチで将棋やってるんだよ! ね? 矢沢くん!」
「そんなに強くないけどね。一応、将棋道場に通っているんだよ。逆に聞くけど、長谷川くんはどのくらい打てるの?」
「棒銀くらいはわかるよ」
「そのレベルなんだね! じゃあ僕が絶対に勝てるよ。しかもただ勝つだけじゃなく、ボコボコにできるよ!」
矢沢くんは自信満々に言う!
「……面白い! どうせ帰ってもやることないし、付き合うよ!」
長谷川くんも乗ってきた! これが修の考えた策なのか!
「じゃあ。将棋盤を出すね!」
修はそう言うと、学ランの下に着ているパーカーから、プロの対局で使われるような立派な将棋盤を出した!
「はぁ!? なんなんだ!? そのパーカー!」
長谷川くんもこれに驚愕する! そういえば、パーカーの事は話してなかったな……
「これは未来のハイエンドパーカーだからね! そんな事はどうでもいいでしょ! 早く対局するよ!」
「わかったよ……やるよ……」
長谷川くんは修の勢いに負け。対局をするようだ。
多分、長谷川くんもいろいろツッコミたいと思うが、修の勢いに負けてしまう。仕方ない! 後でパーカーの事は説明するか!
……でも修。別に将棋打つんだったら、百均の安いヤツでもよくね?
「長谷川くん。駒落ちはしなくて良いんだね?」
矢沢くんが対局の前にこう提案した。俺は将棋の事はあんまり知らないが、わかりやすく言うとハンデをつけるつけないという事だろう。
「ああ! もちろんだ。早速始めるぞ!」
対局が始まった。俺と修は将棋盤を置いている長谷川くんの机の両側で見ている。
長谷川くんが先手だ。まず飛車の前の歩を前に出す。
矢沢くんも同じく飛車の前の歩を前に出す。いわゆる飛車道を開けるというやつかな?
二人とも一分も考えずに駒を動かしていく。
ここからの対局は、俺にはよくわからない……わからないが相手の駒を多く取っているのは、長谷川くんだ。
長谷川くんが有利なのかな……と思った時だった。
「長谷川くん。もう君は詰んでるよ。ここからどうやっても勝てないよ」
矢沢くんは静かに勝利を宣言する!
「は!? どういう事だよ! 矢沢! まだ全然中盤じゃないか!? 王手にもなってないだろ!?」
長谷川くんは矢沢くんの言葉に納得できないようだ。
俺が見てもまだ勝負は決まっていないように見えるんだが……
「長谷川くん。将棋って強い人は何十手先までわかるんだよ。僕もよくわからないけど、絶対。矢沢くんの勝ちだよ」
修は落ち着いた口調で長谷川くんをなだめる。
「いや! わからないだろ!? まだ中盤なんだからここから逆転できるかもしれないだろ!」
長谷川くんは立ち上がり修に詰め寄る!
「じゃあ長谷川くん。今の盤面をスマホで写真を撮って残しておいたらいいんだよ。矢沢くん! 後から長谷川くんに説明してくれるよね?」
修は詰め寄られてもビビらず、あくまで落ち着いて対処する。
「長谷川くんが時間作ってくれるならそうするよ」
「わかったよ……だけど、負けるまでは打ってくれよ!」
矢沢くんも落ち着いて対処している……長谷川くんはスマホで今の盤面の写真を撮って、席に座り。また対局が始まった。
その後何手くらい指したかは、わからないが長谷川くんは普通に負けた。
「なあ……矢沢……負けるのはわかってたんだが、これでボコボコにしたって言えるのか?」
勝負が終わった盤面を見ると、素人の俺もどうボコボコなのかがわからない……
結構な駒を長谷川くんは持っているし……
「ははは! そう思うよね! これは一言で言うと僕は『肉を切らせて骨を断つ』戦法だよ!」
矢沢くんはこう言ってさらに続ける。
「長谷川くんの飛車や角をあえて取らずに動けなくしたんだ! よく見てみてよ! 飛車は僕の歩と後ろの金で動けなしてるし、角は歩を使ってふたをして動けなくしてるんだよ!」
これを聞いた長谷川くんはハッとする!
「な、なるほど……ただ相手の駒を取れば良いものだと思ってたよ!」
長谷川くんはそう感想を伝えた後こう付け加えた。
「なあ矢沢……もっと将棋の事を教えてくれないか? 時間がある時でいいからな?」
「いいよ! 長谷川くんならきっと強くなれると思うよ!」
矢沢くんは嬉しそうに長谷川くんのお願いを受け入れた!
「じゃあみんな今日は帰ろうよ! もう下校しなきゃいけない時間だからさ!」
修はそうこの場を切り上げた!
「おう! じゃあ四人で帰るか! いいよな!」
長谷川くんが提案する。
「いや僕はもう帰らないといけないんだよ! 今日はビーフン作らないといけないからね! 三人で帰ってね!」
修はそう言い残して、颯爽と去って行った!
「おい……金本……いくら居候だからって林を不動山部屋はこき使いすぎじゃないか?」
「それが修が自主的に手伝いまくっているんだよ……親父は『そこまでしなくていい』って言ってるんだけど……これから帰り道で説明するよ……」
俺が説明すると矢沢くんがこう言った。
「この三人でつるむのって初めてじゃない? 金本くん! 林くんの事いっぱい聞かせてよ!」
そういえば同じ小学校だったけど、グループが違ったからそんな機会なかったな!
「ああ! 林修の事を話してやるよ!」
矢沢くんと長谷川くんと俺、金本満の初めての下校はめちゃくちゃ楽しかった!
これも修のおかげだな! ちなみに修が作ったビーフンは絶品だった。
修の料理のレパートリーはどれだけあるの?
映像化する時の棋譜はプロの人が考えてくださいね♪
次回は明日20時に公開です。
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