第二十八話 未来のプロ野球選手?黒崎くんの悩み 後編
「え!? そうなの! 修! 未来の道具でなんとかならないの?」
ここも俺がフォローするしかない!
「スポーツの怪我は治せないよ。黒崎くん……野球は続けてるの?」
そうなのか!? 未来の道具だろ! 万能じゃないのか?
「ああ……チームには置いてもらっているよ……今はリハビリ中だけど……」
守はうつ向いて答える。
「黒崎くん! 左投げに転向したらいいじゃん!」
「チームメイトからも言われたよ……でも俺は右利きだし、左投げじゃ上手く投げれないんだ。だからプロになるのは無理だから高校では野球を辞めようと思ってるんだ……」
修の素朴な提案に守は淡々と答える。
守は落ち着いているように見えるが、仲がいい俺には、守がどれだけプロ野球選手になりたかったか知っているので、この決断に至るまでに相当考えたのだろう。
野球を辞める選択を選ぶのはきついよね……俺もスポーツをやってるからわかる。
俺が何も言えないでいると……修はあっけらかんと一言
言う!
「黒崎くんは、スワローズにピッチャーとして入るけど、活躍するのはファーストになってからだよ」
この一言で守の顔が一気に変わる!
「ファ、ファーストで俺は活躍するのか! 林! その時に俺は左投げだったのか!?」
「さあ……僕あんまり野球見ないしわからないな……ただバッティングが評価されていた事は知ってるよ!」
「そうか! それなら! なあ満! 林! 今日の放課後時間あるか!?」
急に守は元気になった! 一体何が守の気持ちを変えたのだろう?
***
俺たちは公園に集合するように守に言われた。
「グローブを持ってきてくれ」
と言われたので持って来た。ちなみに修は持ってなかったらしく、未来通販で注文してパーカーのポケットに入っている。
未来の通販便利すぎない? やばいよ……
「おう待たせたな! 左投げ用のファーストミット買うのに手間取っちまった!」
やって来た守はいつもの元気な様子だった。
俺たちは三人でキャッチボールを始めた。
守は左投げでもちゃんと投げれている。修もちゃんとキャッチボールができている。しかも結構上手い。
「守! 左でもできるじゃないか!」
「まあ、右投げのピッチャーでも左でキャッチボールくらいはするからな」
「じゃあ左投げでピッチャーをやればいいんじゃないか?」
「いや……利き手じゃない方でピッチャーやるのは大変なんだ。アマチュアではやれるかもしれないけど、俺の左肩ではプロにはなれないって監督に言われたんだ」
そんなもんなのか? マンガとかではよくある話だと思うが……
「かねやんは全然わかってないね! プロのピッチャーってやばいんだよ!」
修が自慢気に言う!
「いやおまえ、サッカー選手だったんだろ! 野球にも詳しいのかよ!?」
「そこそこ知ってるよ。僕は野球一家だったし、黒崎くんはこれからファーストでやってくんだね! 良いと思うよ!」
俺のツッコミに修は微笑みながら答える。え!? じゃあなんでサッカーやってたんだよ!
「ああ、ファーストなら左でも守れるし、俺の足じゃ外野は無理だしな!」
守も微笑みを浮かべて答える。
「あのさ……俺は野球の事はだいたい知ってるけど。守。なんでサードとかキャッチャーやらないの? 内野手ならできるんじゃない?」
足が遅い選手のポジションってファーストだけじゃないと思うんだが……
「かねやんはホントわかってないな〜! 左投げだとサードとキャッチャーできないんだよ!」
なぜか修に指摘される……
「え!? 守! そうなの!?」
「そうだよ! ははは! 満はわかってないな! サードとキャッチャーで左投げでプロで活躍した選手はいないんだ! 送球する時に左投げだと不利になるからね!」
守は少し笑いからかうように俺に説明してくれる。
「え!? マジで! ファーストなら大丈夫なの?」
「ああ! そうだよ! ファーストなら左投げでもプロで活躍している選手はいるんだ!」
俺の疑問に守は答えてくれた。
「野球って難しいんだな……てっきり野球は左投げが有利だと思っていたよ」
そんな事を話していると、突然! 米津玄師の「アイリスアウト」が流れる! 一体なんだ!?
「やばい! 不動山部屋の呼び出しだ! ごめん黒崎くん! 僕行かなきゃ!」
不動山部屋からの着信音をアイリスアウトにしてるの!? 修はどんだけ米津玄師好きなんだよ!
「おう! 林! また今度キャッチボールに付き合ってくれよ!」
守は気にしてないみたいだ。コイツ思ってたより大物かも……
「黒崎くん! 僕らもう友達だよね!? 僕の事は修って名前で呼んでね!」
「ああ! わかったよ修! 俺のことも名前で呼んでくれよ!」
「なに言ってるんだよ黒崎くん! 僕にとっては黒崎くんは一生黒崎くんだよ! 僕はもう行くよ!」
そう言い残し修は去って行く! 修は黒崎くんって呼ぶことにこだわりがあるらしい。
俺と守は修が嵐のように去った後もキャッチボールを続けていた。
「名前で呼んで欲しいな……なんとかならんかな満……」
「わからないよ……修とは会ったばかりだし、修は謎が多いんだよ」
守はテンションが下がっている! 話題を変えないと……
「なあ守。高校はどこへ行くんだ?」
「それが今考えてるところなんだ。右肩壊したから野球では進学できないし……そうだ満はどの高校へ行くんだ?」
これを聞かれた時に俺はいいアイデアを思いついた!
「なあ……おまえもうなぎ自由高校に進学しないか?」
「え!? うな高!? 満はうな高に行くんか!?」
「ああ、そうなんだ! 埼玉うなぎFCの幼馴染の男たちといっしょにね! もちろん修も行くよ!!」
守はそれを聞いてニコッとしてこう言った!
「それは面白そうだ! うな高の野球部は結構強いし俺も行くわ!」
***
この後、黒崎守は、両親やシニアチームの監督と相談して正式に「うなぎ自由高校」に進学する事を決めた!
これで高校に入ったらだいたいの高校にはあるイベント。「野球部の応援」への絶対参加が、イヤなイベントじゃなくなりそうだ!
友達がいたら応援したいもんね!
左投げが野手だと不利になることを知ったときは衝撃でした!
左利きの選手って右利きの選手よりも有利だと思い込んでいましたので、野球って難しいね。
「黒崎守」は野球の話に出てくるので「あ〜そういえばいたな〜」くらいに思っていてくださいね!
次回は明日20時に公開です。
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