第十二話 李承燁の悩み
僕は李承燁。浦和蒲焼ジュニアユースというクラブに所属しているサッカー選手だ。自分で言うのもなんですが僕はサッカーが上手い。それこそプロを目指せるほど。
僕は在日コリアンだ。国籍は北朝鮮。(厳密にいうと朝鮮国籍)だが僕はあんまり自分が在日コリアンだという事を気にしていない。
何故なら僕の友達や知人、近所の人も僕を差別する人はいないからだ。
ただ日本でサッカーするには不利になる。何故なら在日コリアンはJリーグのチームに所属するには「在日枠」で登録されるからだ。在日枠は一つのチームに一人しか登録できない。
日本国籍に帰化すると日本人と同じ扱いになるのだが、これがめんどくさい。
めんどくさいのは手続きじゃない、親戚の人たちだ。
なぜかというと……もう一度言うが僕はサッカーが上手い。
親戚の人たちの中には、僕に北朝鮮代表としてプレーしてほしい人がいる。
両親は日本国籍をとって日本代表としてプレーしてもいいと言ってくれているし、僕も産まれも育ちも日本なので本当は日本代表としてプレーしたいんだけど……
でも今、僕が一番悩んでいる事はそれじゃない、妹の李承美が学校に行かずに部屋に引きこもっている事が一番の悩みだ。
この林修とかいう、未来からきた僕の友達だと主張する少年なら何とかしてくれるのだろうか?
僕と林くんは僕の家に向かっている。
「スンヨプ! スンミちゃんはどういう状況なの?」
「それはですね……」
僕はスンミの状況を話した。
「そっかぁ……あのスンミちゃんが……でもスンヨプ。スンミちゃんかわいいし、いい子だよね? 何で学校行けなくなっちゃたは本当にわからないの?」
「それが話してくれないんですよ。茂雄にも協力してもらったんですけど、出てくれないんです」
僕の一番の親友は、小学生からいっしょにサッカーをやっている宮本茂雄だ。
スンミを加えてよく三人で遊ぶこともあった。
「みやほんでもダメなのか……どうしようかなー」
この林修というヤツは頭をかきながら何か策をねっているようだ。
スンミを救ってくれるなら正直、どんな方法でもいい。僕は気になっている事を聞く。
「林くん。二百年後の未来の道具で何とかなりませんか?」
「スンヨプ。どんなに時が経っても、人を助けれるのは人だよ。道具は道具だからね」
林くんは淡々と僕の質問に答えた。そんなものなんですかね……
そうこうしていると家まで着いた。僕は林くんを家に招き入れた。
***
「ただいま。今日は友達連れてたんだ」
「初めまして! 僕は林修未来からやってきたスンヨプくんの友達です!」
僕はすでに帰っていた両親に林くんを紹介する。
「こんな遅い時間から遊ぶのか? 明日にした方が……」
と母さんが言う。
母さんの指摘はもっともだ! 練習終わりでもう夕方の遅い時間ですからね。
僕は説明する。
「実は、林くんにはスンミを何とかしてもらうために来てもらったんだ」
「スンミのために来てくれたのか! でもスンミは今日も部屋に篭り切りなんだよ……林くんなら何とか出来るの?」
父さんの説明を聞いた林くんは、
「お父さん! 僕もやれるだけやってみます。僕はスンミちゃんがいい子なのを知っていますから。今からスンミちゃんの部屋の前まで行っていいですか?」
僕たちは全員でスンミの部屋へ向かった。
***
林くんはスンミの部屋の前に来ると。ドアをノックしてこう話しかける。
「初めまして! 僕は林修! 未来からやってきた君の友達だよ!」
これが林くんの決め台詞みたいですね。ドアの向こうからは返事がない。林くんはさらに続ける。
「スンミちゃん! 僕は未来からきたから君が素敵な女性だって知ってるよ! 出てきて話そうよ! きっと楽しいよ! 自分で言うのも何だけど僕はイケメンだよ! スンミちゃんイケメン好きでしょ!?」
確かにスンミはイケメン好きだ。それを知っているという事は……もしかしたら……
「私、林さんに会えません…………こんな服で人に会えません……」
スンミから回答が返ってきた! これに僕と両親は驚きつつも何も言わずに林くんがなんて返すか待つ!
「服なら着替えればいいじゃん。スンミちゃんかわいい服いっぱい持ってるんでしょ?」
「ふふ、でも私メイクもせずにイケメンに会えません……」
スンミが笑った! 俺たち家族も笑顔になる!
軽く笑っただけだが、それでも僕らが嬉しいのは、スンミの笑い声なんてしばらく聞いてなかったからだ。
林くんは明るい口調で返す。
「じゃあ今からメイクすればいいじゃん。僕、リビングで待ってるからさ。リビングで話そうよ!」
「時間がかかりますよ。それでも待ってくれますか?」
「いいよ! だけど今日中にね!」
「ふふふっ。わかりました今日中ですね」
この会話に父さんも母さんも「林くんすごい!」「久しぶりにスンミの顔が見れる」と関心している! 僕も林くんに声をかける。
「林くん! なかなかやりますね。さすが未来人ですね!」
僕ら家族が褒めたたえるが、林くんは冷静にこう言う。
「李承信さん。李志恩さん。ここは僕たちに任せてください。スンミちゃんは多分両親のお二人には聞かれたくない悩みを抱えていると思うんです」
李承信は父さんの名前で李志恩は母さんの名前だ。
ちゃんと合っている。当然今日会ったばかりの少年に名前を呼ばれた二人は戸惑う。しかし言われた意図を理解したのか……
「わかったよ。林くん。スンミを君とスンヨプに任せる」
父さんが代表して林くんに答える。おそらく父さんと母さんも僕と同じ気持ちなんだろう。
スンミを救えるならどんな方法でもいいのだ!
僕、まくおが在日コリアンの方や韓国について現在思っていることを書いたエッセイをnoteや活動報告に載せて置くので良かったら読んでください。
今回の話を書くのに自分なりに在日コリアンの方や在日コリアンのサッカー選手の方について調べました。
間違えていたら教えてください。
次回は今日20時に更新です。スンヨプの悩みというかスンミちゃんの話が続きます。
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